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by 大熊 一精

大熊 一精
プロフィール

1967年生まれ、埼玉県川越市出身。
銀行系シンクタンクに12年間勤務の後、2002年から札幌市に移り住み、現在はフリーランスのコンサルタントとして活動中。 「一日一冊」を目標に、ジャンルを問わずに、本を読んでいます。読書量全体のうち、電子書籍端末で読む割合は3割ぐらい。 札幌市民になってからは、毎年、コンサドーレ札幌のシーズンチケットを購入し、2014年シーズンで13年目。週末ごとに悲しい思いをすることのほうが多いのに、自分が生きているうちに一度ぐらいはJ1で優勝してほしいと願いながら、懲りずに応援を続けてます。
著書「北大の研究者たち 7人の言葉」(エイチエス、2012年刊)


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『日本代表はなぜ敗れたのか』湯浅健二+後藤健生(イースト新書036)

『日本代表はなぜ敗れたのか』湯浅健二+後藤健生(イースト新書036)

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今年(2014年)の6月から7月にかけて開催されたワールドカップブラジル大会について、湯浅健二さんと後藤健生さんという大ベテラン(お二人とも1952年生まれ)が対談した本です。

タイトルは「日本代表は」ですが、内容は、日本代表の話にとどまらず、ブラジル大会全般に及んでいます。あのブラジルの惨敗や、ドイツの優勝についてはもちろんのこと、ベルギーやナイジェリアの話まで出てきます。

ベルギー?ナイジェリア?そんなこと言われても、わかんないし…と言いたくなるところですが、ベルギーやナイジェリアがどんなチームだったのかを知らなくとも楽しめるのは、湯浅健二さんと後藤健生さんの、長い経験や教養をベースにした語り口があるからです。

教養がありすぎて(?)、ときどき、湯浅さんが、日本の国民性を根拠に日本代表のプレーについて語ろうとすると、後藤さんが、サッカーのことはサッカーの中だけで話をしましょうよとばかりに反論して、けっして「なあなあ」で終わらせないのも、この本の面白さです。

同じお二人の対談本は、前回のワールドカップ(2010年の南アフリカ大会)の直後にも、出版されました(『日本代表はなぜ世界で勝てたのか?』アスキー新書161)。この本には、じつに印象深い記述があります。

後藤 (注:ワールドカップ直前の韓国戦での敗戦について)試合後、岡田武史の口から「進退伺い」が飛び出したわけだけれども、あんなジョークが言えるようになったのだから、岡田も安心できたのだろうと思ったね。
湯浅 あそこで笑ったのは、私たちと大住良之さんの3人だけだったわけだけれども。
(『日本代表はなぜ世界で勝てたのか?』p.011)

 

当時、この「進退伺い」は、翌日に大騒ぎになり、岡田武史監督(当時)が「あれはジョークだった」と言ったのがさらに批判を浴びる、という顛末になったのですが、ジョークをジョークと理解した人もいたのだ−ということを、この本で初めて知りました。

そんなこともあって、同じお二人による同じコンセプト(ただしタイトルは正反対)の対談本を、大いに期待しながら手に取ったのですが、期待をはるかに上回る面白さでした。分量も、前回よりも、かなり増えています。

今回の対談の最後は、こんなふうに締めくくられています。

湯浅 4年後のロシア大会でも、またやりましょう。
後藤 今回、日本代表が負けてしまったから、この本売れるかなあ。次はないかもよ。
湯浅 そこは我々も「売るための意志」を持ち続けるべきじゃないですか。
(『日本代表はなぜ敗れたのか』p.283)

 

次はないだって!?…それは困ります!4年後のロシア大会後も、この対談を読みたい!だから、みなさん、この本を買って読みましょう!と、応援する気持ちから、この本を紹介させていただきました。

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