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金融全般㉒:「実質金利というもので考える」

こんにちは。

金融全般ブログの第22回目は「実質金利というもので考える」と題して
書いてまいりたいと思います。

「実質金利」という言葉はご存知でしょうか?

「実質」に対するものは「名目」ですので、皆さんが一般的に「金利」
と呼んでいるものは、「名目金利」になります。

では、「実質金利」とは何なのでしょうか?

経済学では、フィッシャー方程式というもので以下のように定められて
います。

実質金利=名目金利+期待インフレ率

金融全般ブログ第11回目でも、「あなたのお金は目減りしてます」と
題して、金利とインフレ率についてのべました。

今回は、その2つの変数から「実質金利」というものを算出して、それ
ベースで考えてみましょうということです。

すでに書かせていただきました通り、現在の日本の実質金利はマイナス
1%程度となっており、2%に向かっていきます。

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どういうことかと言いますと、お金は置いておいては、実質年率1%価値が
目減りしていくということです。

逆に実質金利がマイナスということはどういう事かと言いますと、増やす
ための預金金利も低いのですが、借入金利も低いのならば、借り入れコスト
よりも、インフレ率の方が高い可能性が高く、そうなると「借りてでも値上
がりする資産に投資したほうが良い」ということになります。

実際には借り入れをしてまで投資をしてはダメですが、理屈ではそういうこ
とになります。

そのくらい実質金利がマイナスであるということは、物価上昇に強い資産を
持っていることが大事であるということです。

アベノミクスを振り返って、富裕層や超富裕層がさらにリッチになったとい
うレポートを拝見しましたが、それは、ひとえにインフレに強い資産を保有
していたからと言えます。

前回のNISAでもなんでもいいので、リスク資産を保有することによって、
アベノミクス下で資産を増やすことが出来るということになります。

逆にリスク資産を持たないと、実質金利がマイナスという効果により、資産
はどんどん目減りしていってしまうことになります。

日本においては、株式や不動産などインフレに強い資産をこれから持っておく
必要があるということです。

ただし、投資する際には、「適度な価格で」投資することが大切です。
出来れば「割安に」投資するということがとても大切です。

ではここで世界各国の実質金利を見てみましょう。

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ご覧いただいてお分かりの通り、アメリカやヨーロッパ各国は日本よりも
大きな実質金利のマイナス状態なのです。

欧米も金利水準はほぼ0に近い水準であり、景気の回復を最優先しているの
は日本と同じです。

しかし、先日アメリカが「第3次量的緩和策の終焉」を宣言したように、
アメリカをはじめ、ヨーロッパもこれから金利が上昇していくステージに
入っていくことになるでしょう。

となるとどうなるか、インフレ率が上昇してくると、値上がりに強い資産
の価格が上昇します。株式や不動産、商品市況などです。

逆に金利で運用する国債などの債券の価格は下落します。
今持っているのよりも高い金利の債券が発行されますので、既存の債券の
価値は下がるからです。

皆さんが保有されてる投資信託の中に、欧米の先進国の債券で運用されて
るものが多いのではないかと思いますが、改めてその中身を確認する必要
があるのではないかと申し上げたいのです。

欧米に投資するなら、特にアメリカにおいてはインフレ資産である株式や
不動産というステージにあると言えます。

日本だけではなく、欧米においても安全資産から、リスク資産へのシフトが
有効な環境が整いつつあります。

今一度、このタイミングで、実質金利という側面から、皆さんの資産の
中身を検討していただいて、それに備えたポートフォリオを組んでいく
必要があるということをお伝えしたいと思います。

いつもありがとうございます。

濱本学泰

金融全般㉑:「NISA(少額投資非課税制度)について」

こんにちは。

金融全般第21回目は、「NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)について
書いてまいりたいと思います。

NISA1

アベノミクスの一環として、日本版ISA(Individual Saving Account)
がNISAとして2014年1月からスタートいたしました。

英国のISAを模範に、年間元本100万円までの上場株式や投資信託への
投資に関して、そこからの分配金や売却益などにかかる20%の税金を
非課税にする制度です。

NISA

銀行や証券会社でNISA専用の口座を、通常の口座と別に開く必要があり
ます。

投資をしている人にとっては、年間100万円とはいえ、そこからの収益が
非課税になるというのはとてもうれしいことです。

年間100万円で最大5年間に渡り投資できるので、最大500万円の投資から
の収益が非課税になることになります。

しかし、一つ大事なポイントがありまして、それは、

「銀行や証券会社すべての中で、NISA口座は1つしか開設出来ない」

というルールです。

既存投資家の新たなキャッシュによる投資、投資未経験者への投資への参入
などを期待して、銀行、証券会社が躍起になって口座獲得に動いていました。

NISA口座はいったんどこかで作ると、他の銀行・証券会社では作れないから
です。

せっかく投資をするならば、一部だけでも非課税になるとよいですね。

ここで、とっても大事なポイントがあるのです。

「NISA口座は、どこで開けたらよいのか?」ということです。

まず、銀行と証券会社の間で選ぶとしたら、、、

あらゆる可能性を考えるなら、「証券会社」で作るのが有利です。

なぜなら、「銀行では投資信託しか買えないから」です。

証券会社であれば、対象の「株式と投資信託の両方に投資出来ます」

投資信託にしか投資しないから大丈夫という方以外は、株式も買える選択権がある
方が良いと考えます。

では、証券会社の中で、いいところはあるか?ということですが、例えばSBI証券や
楽天証券などでは、NISA口座で投資する際の株式の売買手数料を無料としていたり、
NISA口座だけの優遇措置をとっている証券会社があります。

証券会社を選ぶ際には、手数料の優遇措置があるかどうかと、取扱の投資信託の
ラインナップが豊富かどうかということと投資したい投資信託があるかどうかと
いうところが、選択する条件になると思います。

という意味では、前述の2つの証券会社はとてもメリットがあると思います。

各社いろんな施策を打ってきていますので、比較サイトなどをご覧になりながら、
最も良いと思われる証券会社でNISA口座を開設されることをお勧めいたします。

アベノミクスにおいては、NISAの立ち上がりが予想以上に好調なので、将来的に
NISAの非課税枠を月20万円、つまり年間240万円に引き上げることも検討してい
るということで、この先どんどん目が離せない存在になるかもしれません。

すでにNISA口座を開けた方は、それを有効に使って、まだ開設してない方は、
メリットの大きなところでの口座開設と有効利用を考えていっていただけたら
と思います。

金融全般⑳:「FXについて」

こんにちは。

金融全般の第20回は、幅広い投資家層を持つ「FX取引について」
書かせていただきたいと思います。

FX

FXと聞いて「何?」というのが正直なところだと思います。

FXとは、

Foreign Exchange (外国為替)の略です。

ちなみに、一般的にはForeign Exchangeを短縮するのは、「Forex」
といいますが、日本ではなぜだか「FX」と略します。

そして、一般的に「FX取引」といわれているのは、正式には「外国為替証拠金取引」
いう正式名称がございます。

難しくなってきましたね?

読むのをやめないでくださいね。

出来る限り簡単に書きますから。

「外国為替証拠金取引」を分解して説明しますね。

まずは、「外国為替」からですが、こちらは海外旅行などに行く際に、銀行や空港
などで、日本円を外貨に両替しますね。また、帰国したら外貨から日本円に戻します
ね。

それが「外国為替」です。
外国通貨との両替を意味しているとご認識いただければよろしいと思います。

次に、「証拠金取引」ですが、簡単に言いますと、

「証拠金という預け金をすると、その何倍かの取引可能枠が与えられ、
 その範囲内で外貨取引をして、儲けたらその分が加算され、損失を
 出したらその損失額が証拠金から引かれるという取引」

です。

国内のFX会社では、一律25倍という倍率を提供してくれているので、
100万円預けたら、2500万円分の取引をしても良いという枠を与えられ
ます。

クレジットカードで、毎月お買い物をしてきちんと支払いをしていると、
買い物可能額がどんどん増えていくのと似ているでしょうか?

金融の世界では、この倍率の事を「レバレッジ」と呼んでおり、FX取引は
このレバレッジが大きな特徴と言えます。

海外のFX会社の口座などでは、数百倍というレバレッジが提供されます
ので、少ない資金で効率よく収益を出していくのにすぐれていると言えます。

どのくらい違うかといいますと、例えば、元本100万円で投資したものが10%
儲かったとすると、


(レバレッジの事例)

・通常の場合        100万円×1.1=110万円
・レバレッジ25倍の場合   100万円+2500万円×0.1=350万円

実際には、25倍の元本をすべて投資するわけではないですが、レバレッジという
ものは、収益率については大きな差を提供してくれます。

一方、損失を出した際にもレバレッジが効いてしまいますから、リスクコントロール
はとても大切になります。

一般的に知られているもので、「レバレッジ」がかかっているものといえば、
株式投資の「信用取引」と、商品先物取引がありますが、株の信用取引で3倍
程度、商品先物だと10~30倍となっております。

よく「株で大きな損失を出した」「商品先物にやられた」という言葉をお聞き
しますが、本当は現実的にはすべて「自己責任」ですから、営業マンに任せた
としても、それは勝手にやられたとしても、それを許可した人の責任ということ
になります。

「外国為替証拠金取引」について、少しは理解いただけましたでしょうか?

次にその特徴を述べたいと思います。

FX投資の特徴を挙げてみると以下のようになります。

①少ない投資元本で始められる
②24時間取引が可能である
③チャートを覚えたら勝てるようになる

他にもありますが、特にこの3つを挙げたいと思います。

まず、「①少ない元本で始められる」に関してですが、株式投資をしよう
とすると、やはり少なくても100万円、できたら300万円くらいの投資元本が
あるといいなと思います。

投資信託は比較的少額から始められ10万円とか、毎月の積立型だと月1万円
くらいから始めることが出来ます。

FXの場合は、出来たら50万円位あると取引に柔軟性が生まれて良いのですが、
少なくても5万円あれば、レバレッジ25倍で125万円分の取引枠が提供されます
から、1万米ドルの取引が出来るので、そこから始めることもできます。

いかがですか?
5万円くらいからはじめられる投資商品て実はなかなかありません。

ですから、資産がある程度お持ちの方という縛りは特になく、資産をこれから
形成していきたいという方々におすすめということになります。

そして、「②24時間取引が可能である」ですが、外国為替市場は東京、ニューヨーク、
ロンドンなど各地で取引されており、時間がたつにつれてその日のメイン市場が
移動していくイメージで、また世界各国の通貨が取引されておりますので、基本的に
は24時間取引が可能になっています。

24時間取引が可能ということは、日中お仕事をされていらっしゃる方は、、仕事
の途中に投資の事を考える必要がなく、家に帰ってから投資をするという風に、今
の生活を変えることなく投資をすることが出来るメリットがあります。

24時間取引と言っても、土日は休みです。
正確には、日本時間の土曜日の朝6時から月曜日の朝7時までは取引が止まります。
祝日は、どこかの国がお休みでも別の国の市場が開いていますので、平日は基本
的にずっと開いています。

これならば、ライフスタイルを変えることなく気軽に投資を楽しむことが出来ます。

そして最後に「③チャートを覚えたら勝てるようになる」ということですが、FXは
とてもシンプルなのです。

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また、株式投資などでよくある「インサイダー取引」とかも起こりえません。
秘密情報を知っているのが、各国の中央銀行総裁と財務大臣くらいですから、
それ以外の人たちにマーケットを動かす内部情報が事前に漏れることはほぼない
といってよいのです。

そして、銘柄数が少ないので、例えば世界中にドル円というものは、ドル円しかない
ので、日本円とアメリカドルの取引をしようとする人は、全世界同じチャートを見る
事になりますので、非常にたくさんの人の目に同じチャートが映ることになりますから
「変な動きをしにくい」という特徴があります。

そして、すべての人がチャートを使って取引をするので、チャートの特徴をうまく理解
して、取り組めばそれだけで勝てるようになるというのがFXの大きな地特徴だと思いま
す。

以上のように、挙げさせていただいた3つの特徴から考えてみても、投資初心者の方が
始めるには最高の投資対象だと思います。

24時間取引をやってて、少額から始めることが出来、覚えることはチャートの原理原則
だけということです。

チャートの原理原則は、株式や商品先物、国債取引などにおいても使うことが出来ます。
投資のチャートはチャートなのです。
皆、全世界ほぼ同じです。

ですから、チャートを覚えるということは、投資の世界においては世界共通言語をマスタ
ーしたのと同じことになります。

本格投資の入門としてFXは最適であるという結論を今のところ私は持っております。

まずは、FXから始めてみてはいかがでしょうか?

濱本学泰

金融全般⑲:「毎月分配型債券ファンドについて」

こんにちは。

金融全般の第19回目は、あえて「毎月分配型債券ファンドについて」書かせていただきます。

前回は「投資信託」というくくりで書かせていただいたのですが、今ではこの「毎月分配型ファンド」が大きな問題になっていると感じましたので、19回目を1回割きまして、こちらにフォーカスしてその特徴をお話申し上げたいと存じます。

「毎月分配型債券ファンド」とは、一般的には長期的に資産の増加を目指す投資信託の中にあって、通常、1年や半年に1回の「分配金」が毎月行われるのが特徴で、主に債券で運用されているものが多いです。

一昔前、一世を風靡した「毎月分配型投資信託」がありました。

国際投信投資顧問の「グローバルソブリンオープン」という商品です。
※参考URL:http://www.kokusai-am.co.jp/fncj037/Init.do?fundCd=148013

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①当時は、銀行での投資信託の窓販が解禁され、銀行の窓口で投資信託が売られ始めた。

②「グローバルソブリン」、つまり、全世界の政府発行の債券(通常は国債)という比較的安全な運用対象。

③毎月分配されるので手元にお金が返ってくるという実感。

以上の3つの理由で、恐ろしいほどの残高を集めて話題となりました。

しかし、それもリーマンショックまででした。

欧米の主要国の金利が軒並み低下して、債券の利回りが急低下。

毎月の分配金を捻出するのに、元本を切り崩してしまうということが行われ、投資信託の価格である基準価額を入り崩しても、実感が得られる毎月の分配金を支払い続けました。

その結果、基準価額が下落。

解約した時に、購入した金額に比べて、解約で戻ってくるお金があまりにも少ないということで問題視されたのでした。

毎月分配型ファンドの利回りの原資は、債券の利息、株式の配当、不動産の賃料などです。

安定的には行ってくるものを原資にしている設計なので、それ自体は問題ではありません。

定期的に利回りが期待できる資産で運用し、利回り部分を受益者(投資家)に毎月分配しながら、投資元本の成長を目指すということが元々の設計だったと思います。

しかし、現在においては、運用状況が全く異なっております。

日本の10年国債利回りが0.44%というのは余り驚かないかもしれませんが、アメリカ10年国債で2.3%程度、ヨーロッパ各国の10年国債利回りも0.8%(ドイツ)~2.4%(イタリア)という状況です。

グローバルソブリンが人気だったころは、欧米の国債利回りは4%程度ありました。

何を申し上げたいかわかりますか?

世界の金利動向が低い水準であるということは、毎月分配される原資が少ないことを意味します。

毎月分配型が人気があるので、毎月分配型の商品を企画した方が売れるのですが、安全な資産で利回りを確保できない。

それが現状です。

となると、どうするかといいますと、選択肢は3つです。

①先進国の国債ではなく、信用度が落ちる新興国の国債を組み入れて利回りアップを図る(信用度の低下)
②投資先は先進国でも、信用度が下がる国債以外のジャンク債(格付け(信用度)の低い債券)を組み入れる
③債券ではない利回り商品(不動産など)を組み入れる

ということになります。

毎月の分配金が欲しいがために、知らず知らずのうちに、最終投資家である皆さんのとるリスクが上昇しているのです。

さらに、海外の資産に投資する投資信託には、通常、「為替ヘッジありコース」と「為替ヘッジなしコース」の2つが用意されているのが一般的です。

どういうことかといいますと、海外の資産に投資するということは、当然、買った時と売った時の為替レートによって投資元本に変動が生まれてしまいます。

海外旅行に行ったときに、外貨を得るのに両替した時と、帰ってきたときと値段があまりにも違って、良い思いをした人もいれば、悲しい思いをされた方もいらっしゃるかと思いますが、そのことです。

その為替による元本の変動が嫌だという方のために、「為替リスクをヘッジする(避ける)」という選択肢が提供されているのです。

当然、リスクをヘッジするのにコストがかかります。

どれだけのコストがかかるかといえば、通常、その国の通貨の間の金利差分だけコストがかかります。

たとえば、日本の国債利回り0.4%と、アメリカの国債利回り2.3%とすると、日本円で0.4%で運用していても仕方ないとして、アメリカでの2.3%の運用をしたいと思っても、為替リスクを回避しようとするとその差額分(2.3%-0.4%=1.9%)の為替リスクヘッジコストがかかります。

ということで、一般的には為替のリスクを取らないならば全世界どこで運用しても同じということになっています。

ということは、為替リスクをとる方ならいいですが、通常は為替など変動の良くわからないものはヘッジすることと思いますので、そのヘッジコストを払い、グローバルなものに運用しているつもりでも元本は日本の金利分しか増えないか、債券価格の変動によって増減をする。

分配金に関しては低金利のあおりを受けているので十分に魅力的な分配原資をねん出できない。

という状況が出来上がっているのです。

さもなくば、前述のように利回りの高い比較的安全度の低い資産で運用するかどうかです。

こういう現実があるにも関わらず、主に銀行の窓販で売られている商品のほとんどが、毎月分配型債券ファンドです。

なぜか?


投資していただいてすぐに毎月の分配金があるから投資した効果を実感していただきやすいからです。

購入した時点と現時点の投資信託の基準価格の変化というものは、一般投資家の方はチェックされないからだと思います。

元本を切り崩して分配金が支払われても嬉しいはずがありません。

「毎月分配型ファンド」に関しては、ここにからくりに注意しなくてはいけません。

ただ、毎月分配型ファンドが悪いわけではありません。

第18回目の投資信託のところでも書きましたが、毎月の分配金が欲しい方というのもいらっしゃいます。

特に、年金生活者の方で、資産はお持ちであるという方には、ぴったりの商品と言えます。

一生懸命貯めた、もしくは先祖が残してくれた財産をもとに毎月年金の足しになる分配金が支払われることは、まさに資産を日々の生活に活かしていることになるからです。

そういう方は、投資信託を一度購入するとなかなか解約しませんので、元本が減っていてもあまり関係がなく、自らの投資元本に対して一定の利回り分が分配金として継続的に支払われることが大切になります。

ですので、そういう投資家の方には、「毎月分配型ファンド」は適していると言えます。

しかし、現状は、資産を増やしたいと思っている方にまで、これらが店頭で推奨されているのが現状なのです。

第18回目の投資信託のところでも書かせていただきましたが、毎月の分配原資を確保するということは資産を増やすための元本から一部を分配金としてプールしておかなければならず、積極的に資産を増やすことはできないのであります。

投資元本を増やしたいのであれば、分配金ではなく、新聞やネットなどで公開されております「基準価額」をチェックしながら、頻繁な分配を受けることなく、基準価額の増加を続けているファンドを選ぶべきなのです。

一般投資家の無知(金融リテラシーが乏しい状態)をいいことに、自らが売りやすい投資信託が堂々と過度に販売されていると言わざるを得ません。

金融の知識を身に着けることで、大切なお金をこんなおかしな状態にされる事はなくなります。

少しの勉強が、貴方の人生を彩る資産というものを大きく変える可能性があるということを是非ともご認識いただけたら幸いです。

今回は、あまりにも問い合わせが多かったため、「投資信託シリーズ」で書くべき、「毎月分配型債券ファンド」について特に書かせていただきました。

皆様の大切な資産が、ニーズに合わせて大切に運用されますように。

ご参考になれば幸いです。

浜本学泰

金融全般⑱:「投資信託について」

こんにちは。

金融全般の第18回目は、「投資信託について」です。

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証券会社で個人向け営業をしていた頃は「投資信託を売れる様になったら一人前」と言われておりました。

それはなぜでしょうか?

私が思うに、「お客様に商品を説明しにくいから」です。

一般的に、「投資信託とは」

一般社団法人 日本投資信託協会の説明によれば、


「投資信託(ファンド)」とは、一言でいえば「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。
「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。

投資信託の運用成績は市場環境などによって変動します。投資信託の購入後に、投資信託の運用がうまくいって利益が得られることもあれば、運用がうまくいかず投資した額を下回って、損をすることもあります。このように、投資信託の運用によって生じた損益は、それぞれの投資額に応じてすべて投資家に帰属します。

つまり、投資信託は元本が保証されている金融商品ではありません。
この点は銀行の預金などとは違うところですので注意が必要です。


※以下のURLをご参照ください。

https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/about/what/

どうですか?
理解できますか?

要は簡単に行ってしまえば、

「プロが運用している」
「すごいカリスマの方が運用しているファンド」
「素人の私たちがやるよりプロに任せた方が安心」

というようなセールストークで販売できるのですが、説明しづらいという点もあるのです。

なぜ、商品を説明しにくいのか?

それにはいくつか理由があります。


①運用しているものをすべて把握することが難しい
②①の理由のため、お客様に明確に説明が難しい。
③期待リターンやリスクなどが把握しづらく、過去のレコードのみで判断するしかない
④運用を担当しているファンドマネージャーを知らない。
⑤④のため、どういう哲学や考え方で運用されているのか分かりにくい。

というところです。

しかし、これらは過去の問題のようです。

最近では、投資信託会社のマーケティングや投資家とのコミュニケーションが向上しているので、
こういう情報は手に入るファンドも多く見られるようになってきました。

基本的には、自らに運用するスキルがあれば、投資信託は買う必要がありません。

しかし、国内株式だけではなく、海外の株式や、国内外の債券や商品先物市場など、あらゆるマーケットの専門家になるのは無理なことなので、いくら投資スキルを磨いたとしても、トータル的な資産運用をしていこうとするならば、自分の苦手な部分や弱い部分は、その専門家に任せるというのは、一般的に考えてもまともな考え方だと思いますし、それこそ投資信託の本当の使い方だと思います。

投資信託が一般の方々にわかりにくいのは、その中身やスタイルなどが何種類かあることが区別できていないからだと思います。

投資信託を分類するポイントは、

①資産成長型か資産分配型か

②何に投資するファンドか(国内株式、海外株式、国内債券、海外債券、不動産等、そのミックスも)

③どこの会社が運用しているか

④売買時と預けている間のコストは

⑤買付可能単位と継続買い付けの有無

ということになりますでしょうか?

仕事柄、お知り合いの方々から良く投資商品に対してのご相談を受けます。

「この前、銀行に勧められてこの投資信託買ったんだけどどうかな?」

誠心誠意答えさせていただいているのですが、はっきり言ってファンドの名前を見ただけで分かるはずもありません。

しかし、名前だけで分かることがあります。
あと、目論見書という説明書を持参していただければ、上記の項目はすべてわかります。

大事なのは、そのファンドが「投資家のニーズに合致しているものかどうか」ということです。

私はお聞きします。

「この投資信託をどういうつもりでお買いになられましたか?」

投資家の方は答えました。

「そりゃあ、お金が増えてほしいと思って預けたんだよ」

私は聞きます。

「投資している間に、お金が定期的に入ってきてほしいですか?それとも将来的に大きく増えていればよくてその間にお金は入る必要はありませんか?」

投資家は答えます。

「しばらく使わないお金だから、投資信託を買ったんだけど、解約するときに、出来るだけ増えてほしいんだから、途中のお金は別にいらないよ」

という方が買っている投資信託が、「毎月分配型のグローバル債券ファンド」だったりするわけです。

この矛盾に気づかない人は、とても多いです。

実際に、今このブログを読まれている方でも、今の話のどこがおかしいかが分からなかった人も多いことでしょう。

投資家のニーズは、「途中分配などいらないから、出来るだけ成長するもの」ということでした。

しかし、銀行の方に勧められて買ったのは、「比較的シニア層にニーズの多い年金の不足額を賄うために、比較的安全な債券で運用するもので、毎月分配金が手元に来るもの」でした。

当たり前のことですが、集めたお金を小刻みに分配していたら、集中して投資できる資金の一部を絶えず分配用にとっておかないといけませんし、債券というのは基本的に値上がりを狙うというよりは金利をもらい安定的に運用するためのものですので、この投資信託は全く投資家のニーズに合っていないということになります。

では、なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

これは誠に残念なことに以下の3つの理由が考えられます。

①販売する銀行や証券会社の営業マンの知識が乏しい。

②銀行や証券会社の売りたい商品を勧められているだけで、ニーズを満たしてくれていない。

③買ってしまう投資家の無知

①②については、言語道断ですが、実際に存在する問題です。

③については厳しいようですが、買う方の投資家の方も自分の大切な資金をしっかりと守り、そして増やして行くために最低限度のお勉強は必要だと思いますので、あえて書かせていただきました。

このブログだけで、投資信託のすべてを語るのは無理ですので、必要があれば「投資信託シリーズ」も連載させていただきますが、それぞれのニーズに対応する投資信託は、以下の言葉のペアを組み合わせていけばたどり着きやすいと思います。

●ニーズ(投資信託の内容)

・成長、インフレ対応(株式型)
・安定、利回り(債券型)
・日本にお金を置いておきたい(国内株式、国内債券)
・地域限定で投資したい(外国株式、外国債券)
・全世界にバランス良く(グローバル株式、グローバル債券)
・すべてお任せ(バランス型)
・運用会社も選べない(ファンドオブファンズ型)
・資産成長目的(無分配型)
・定期的お小遣いほしい(定期的分配型)
・売買の手数料を払いたくない(ノーロード型)

などなど、いろいろな投資に対するニーズがあると思いますが、以上で大体のニーズにはこたえられるのではないでしょうか?

皆さんの投資に対するニーズを明確にして、それに合うものをいくつか上記から組み合わせてみたら、それに合う投資信託を絞り込んでいくことは容易です。

あとは、その自分のニーズに合うタイプの投資信託の中から、最も良さそうなものを選択するだけです。


「えぇ、まだ選ぶのーーー???」

という声が聞こえてきそうですが、ここからが勝負です。

自分のニーズが明確になり、投資信託のタイプが明確になったら、後はその同じタイプの投資信託の中から、最も良さそうなものを選択する必要があるのです。

たとえば、「国内株式成長型の無分配タイプ」と決めたら、その同じタイプの中から1つの投資信託を選びます。場合によっては、複数の投資信託に分散するのも手です。

投資信託を選ぶ際のポイントを私なりにご提案いたします。

①過去のパフォーマンスは十分に魅力的か
②過去のパフォーマンスにばらつきはないか(株式市場との環境比較が出来たらなお良い)
③ファンドマネージャーがコロコロ交代していないか
④運用担当者の顔は見えるか
⑤運用担当者の考え方や投資方針などを知る機会や仕組みが提供されているか
⑥運用会社に直接情報を問い合わせられ、開示してくれるかどうか

というポイントが大切だと思い、以上を満たしているファンドは、いいファンドだと思います。

「毎月買付型」が良いというお話もあるかと思いますが、それは「買い方」の話なので、どちらでもよいと思います。

先日、資産運用のセミナーに参加させていただいた時に講師の方が、投資信託の選び方のポイントについて以下のようにおっしゃっていました。

①買付手数料が無料であること
②信託報酬(運用者に支払う年間当たりの手数料)が1%未満であること

この2点は良い投資信託を選ぶのに、必須であるとおっしゃっていました。

真っ向から反対したいと思います。

そんなの関係ありません。

買付手数料は、販売する証券会社や運用会社に支払われるもので無駄に高いものはいけないのはその通りだと思います。

販売するのにコストをかけるのも良くないと思います。

最近では、運用会社が証券会社や銀行などの販社を通さずに、「直販」するケースが増えてきましたので、このようなことが言われるのだと思います。

直販をしている運用会社の多くは、投資家の事を考えてできるだけ中間マージンを削減するため、そして、直接投資家の方々と向き合い、声を届けようという姿勢から「直販」というスタイルを選んでいると思いますので、それは素晴らしいことだと思いますし、いいファンドを提供している会社である可能性は高まります。

しかし、ノーロードだから良いのかといえば、それは関係ないと思います。

必要な経費などはあるのですから、ノーロードであることが望ましいですが、それが必要条件とは思わない方が良いと思います。

それは信託報酬も同じことです。

運用をしてくださっているファンドマネージャーは、運用を生業として生活をしています。
多くのファンドマネージャーが、自分自身の資産も、自らのファンドに投資して、投資家の皆さんと同じ船に乗って運用をされていますが、お仕事からの報酬は当然発生してしかるべきです。

この世の中は人にものを頼んだら報酬が発生します。

当たり前ですね。

運用も同じで、プロに運用を委託したら、報酬を支払わなければいけないのです。

信託報酬が1%未満じゃないと良いファンドではないという風にしてしまいますと、残高の少ないファンドなどではファンドマネージャーの給料が捻出できないことになります。

信託報酬で賄わないといけないものは、ファンドマネージャーの給料だけではありませんから、十分なクオリティの運用が出来ないことになります。

パフォーマンスが良く、運用体制がきっちりとれていることが必要な条件であり、パフォーマンスがコストを十分に上回っていれば、投資家のお金は増えていきますので、問題ないと考えております。

むやみに高いコスト構造になっているものは、問題外ですが、ノーロードありき、1%未満の信託報酬ありきという考え方には賛同できません。

人それぞれいろんな考え方がありますので、私以外の考え方の方も正しいこともありますが、私の意見は以上で述べさせていただいた通りです。

投資信託は、本当に一般の投資家の方々にとって、理解するのが難しいものだと思いますが、その特徴を理解して、いいファンドと出会うことが出来たら、本当に資産運用の強い味方になると思いますし、自らの金融の知識の向上にも役立ってくれるものだと思います。

うまく勉強して活用して、賢いマネーライフを送っていただきたいと思います。

以上です。

浜本学泰

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