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金融全般③:銀行の存在について

bank

こんにちは。

第3回は皆様も頻繁にお世話になっている「銀行」というものの存在について考えてみましょう。

皆さんは、銀行をどのようにお使いでしょうか?

私は、子供のころにお年玉を貯金したいと思って初めて銀行口座を作りました。

そして、大学生になり東京で一人暮らしをするようになって、全国でお金の引き出しができる郵便貯金の口座を使わせていただいておりました。

という風に、銀行と言えば、「お金を預けるところ」という印象を持っている人がとても多いです。

皆さんはいかがでしょうか?

しかし、銀行の本業は「お金を貸すこと」です。

お金を貸すことによって、「金利」を受け取り、それが銀行の収益となります。

そして、私たちのお金は、その貸し付けるお金の原資として使われます。

私たちから、現状、0.01%とかの金利で集めたお金を、2%くらいの金利をつけて貸し出す。

その約2%の「利ザヤ」が銀行の収益となります。

市中の金利水準が高かった時には、銀行の利ザヤもとっても大きく、とても儲かる仕組みになっておりましたが、昨今のゼロ金利の状況では、前述のような利ザヤ状態となりました。

とはいえ、必ず調達金利である「預金金利(私たちがお金を預けてもらえる金利)」と、「貸出金利(銀行が貸付をする際に借入者に課す金利)」を比較すると、預金金利が優位に低くなっており、お金というものは、預けて増えるスピードより、借りてなくなるスピードの方が早いということになります。

銀行は、預金者からお金を集め、それを貸し付け、返済されたお金をさらに貸し付けるということにより、市中のお金の量を何倍にも増やす役割も担っております。

それを「信用創造」と言います。

銀行は、多くの人から預金としてお金を集めて、それを貸すことを繰り返すことで、何倍ものお金を市中に供給しているのです。

ここまでは、一般的に言われている銀行の役割ですが、私の観点は少し違います。

私は学生から社会人になった時、日本の最大の証券会社に入社したのですが、4月1日の入社式の後に最初にしたことは、「銀行口座の開設」でした。

証券会社に入ったのだから、「証券口座の開設」ならば、話は理解しやすいのですが、なぜ「銀行口座の開設」なのか?

銀行口座ならすでに持っているのに、会社と関係の深い金融機関(当時はさくら銀行)の社員がたくさん研修センターに来ており、「給与振込口座を作るのです」という名目で、強力に拒否する同期以外は全員銀行口座を開設しました。

私はここに大きな違和感を覚えたのです。

昔ならば、給料というのは、社長や上司が、給料日に「キャッシュ」の形で、直接支給してくれるものでした。

しかし、今ではほとんどが「銀行振り込み」にて、給料が支払われます。

つまり、私たちの手に入れているお金はすべて銀行を通ることになるのです。

会社と銀行は、管理している数字を動かすだけで、私たちの口座の数字が増え、その数字が増えた結果として、ATMなどでキャッシュを引き出すことが出来るのです。

裏を返して言えばどういうことか?

「自分のお金なのに、それを使わない間は、強制的に銀行に預けさせられている」

ということです。

また、他にもおかしなことはあります。

昔から、経費を使ったり、支払いをした証というのは、「領収書」などによって管理されてきました。

しかし、その「領収書」を免除されるケースがあります。

ご存じのとおり「銀行振り込み」という形で、銀行通帳に記録が残っていたら、領収書などの紙がいちいちなくても、きちっと支払ったことを証明できるという決め事です。

これにより、企業など経済活動をしているすべての団体などは、支払いなどをするのに銀行振り込みが主流となり、経済主体のほとんどのお金は「銀行」というフィルターを必ず通ることになっているのです。

それは、つまり、私たちや経済活動をしているすべてのお金の流れは、「銀行」を通らないといけないようになっており、私たちは「銀行を通じて経済活動を管理されていることになる」のです。

私たちのお金は、無条件に銀行に置くようになっています。

そして、それこそが、世の中で信用される「お金の持ち方」「決済の仕方」という風になっています。

もともとは、そうではありませんでした。

「銀行」というところは、そもそもは、「間接金融」の担い手として、事業を始める人、事業を大きくしたい人など、資金ニーズがある人たちに資金を貸し付けるという形で供給し、産業を育てるのが本来の役割でした。

どうして、間接金融が必要かと言えば、余剰にお金を保有している主体(個人、企業など)に代わって、成長のために資金を必要としている人へ資金を融通するリスクをとって、産業全体を成長させる役割を担っているからです。

裏を返せば、資金を持っている人たちが、自ら魅力的な投資先を見つけることが出来れば、銀行預金という低利な運用先にお金を寝かせておくことなく、自ら直接、その会社なり人に投資をしたらよいのです。

これを「直接金融」と呼び、現在は、株式投資とか、債券投資とかがそれに当たります。

日本の人たちの金融知識がない状態が続けば、多くの人たちは資金のやり場に困り、いちばん安心だと思っている銀行にお金を置いたままとなり、増えもしない金利で甘んじることになります。

また、それだけではなく、資金を必要としてる成長可能性の高い主体も、柔軟に資金供給を受けることが出来ずに、チャンスを棒に振ってしまうか、銀行員の顔色ばかりを窺ったり、銀行の気分次第で資金を止められたりして、思うように事業が進められなくなるのです。

私たち日本人が金融リテラシーを高めることによって、より多くの投資のチャンスを見出すことが出来、また、成長のために資金を必要としている主体も、柔軟に資金調達が可能になり、投資家は自分の資金を有効に活用することが出来、また成長可能性のある企業は成長できる可能性がさらに高まり、日本の経済全体にとっても大きな変化を生み出せるのです。

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まずは、日本にいる多くの人たちが、「金融は難しいものだ」という偏見を打ち破り、本当に簡単に理解させてくれるメンターを見つけることです。

自ら勉強しようとすると挫折します。

コツを知っている人を見つけたらよいのです。

私たちは、そういう学校を作る準備をしております。

是非とも期待していてください。

金融全般第3回目は、「銀行の存在」について、考えてみました。

ご参考になれば幸いです。

浜本学泰

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