札幌100マイル

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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

by zoohonda

zoohonda
プロフィール

本田 直也

◆ 1976年 札幌生まれ
◆ 1996年より円山動物園勤務
◆ 担当は爬虫類館と猛禽類のフリーフライト
◆ NPO法人日本放鷹協会認定 諏訪流鷹匠。

春から夏は爬虫類を求め、北海道、沖縄のフィールドワークへ、
秋から冬は愛鷹、愛犬と共に鷹狩りへと素敵な日々を送っている。

鷹やら犬やら爬虫類やらと山の方で暮らしている。


投稿したブログ数:395件

上手に脱がす。

脱皮中のマツカサトカゲ。

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こんな感じでツルっとキレイに剥けてくれるとホッとします。

というのも脱皮時のトラブルってのは割と多くてですね、勝手に剥けてくれるってものではないんですよ。

特に厄介なのが乾燥地帯に生息するトカゲの仲間でして、うちの場合ですとマツカサトカゲ。

原因は「乾燥環境」を意識するあまり、環境全体が「乾きすぎて」しまっていること。

これによって皮が綺麗に剥けず部分的に残ってしまうわけです。特に注意しないといけないのは「指」で、ここの脱皮不全が続くと指自体が欠損してしまいます。

実際脱皮不全により指が欠損してしまっている個体は飼育下ではかなり多いんですよ。そのため脱皮時には微妙な水加減と湿度加減を提供していく事が大切なわけです。

通常時、円山動物園ではタイマーで1日1回2分間の雨を降らし一時的に地面を濡らします。そしてその水分を床暖で温め徐々に蒸発させることで空気中の湿度を適切に維持しているんです。

しかし脱皮時はこれでは不安なので、雨の回数を増やし地面が常に濡れている状態を維持します。これによって正常な脱皮を促し、指の脱皮不全も防ぐことができるんですね。カラッカラの札幌ではこれくらいやらないとダメです。

 

「行動させる事」ではなく、「目に見えない形のない環境要素をコントロールすること」これが爬虫類の環境エンリッチメント。

気持ち良く脱いでもらうためには事前のお膳立てが必要となるわけです。

ちなみにこのトゲチャクワラも脱がすのが大変な種です。

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我々はもっともっと「脱がし上手」になれるようトカゲたちの気持ちを察していかなくてはいけません。

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