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爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

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『爬虫類館』カテゴリーの投稿一覧

ゾウガメはじめました。

全国1200万人の潜在的ゾウガメファンの皆様こんばんは。
明日16時より爬虫類館にてアルダブラゾウガメガイドを行います。
皆様の来場を心よりお待ちしております。


こちらは陽気で完璧なプロポーションを持つキクちゃん。



そして目つきが悪くちょっと無念な顔つきだけど、性格はとっても陰気なウメちゃん。
来園者の方々には擬岩と間違われ素通りされる事も多々ございますが、
明日はそんな動かざること山の如しのゾウガメたちの魅力を存分に伝えていきたいと思っております。
では皆様、会場でお会いしましょう。

会いたくない人達。

僕ら飼育員にとって最も身近な秀才って言いますと、やはり獣医さんですね。
爬虫類館には頻繁に獣医さん達がやってくるんですよ。

でも本当はあまり来て欲しくないんですね。
獣医さんが来るってことは、検査や治療を行うわけです。
つまりそれだけ問題を抱えている個体がいるってことなんですよ。
飼育員にとっては「獣医いらず」ってのが一番幸せな事なんですね。

現在現場で動いている獣医は伊藤、石橋、高江洲の3人です。


ほんと優秀な方達なんですよ。
なんせ「メガネ率100%」ですから。
計算も速いし、英文を書かせても一行目からいきなり関係代名詞を使ってきますからね。
ほんと、僕は憧れますよ、関係代名詞に。

とにかく一緒に居ると民度のレベル差に画然とさせられますね。
僕なんか祐川飼育員とよくふざけているんですよ、頭を思いっきり叩き合ったりしてね。
そんな時もふと振り向くとですね、獣医さんの視線を感じるんですよ。
何とも言えない、特定外来生物でも見るような視線をね。
もうぐうの音も出ませんです、はい。

ただね、そんな獣医さんにも重大な弱点があるんです。
そうそう簡単に天も二物を与えないってことですよ。
とりあえずですね、爬虫類館に着いた途端、温度差によってメガネが曇るんです。
確実に100%曇るんですよ。

生き物達で足の踏み場もない爬虫類館、ここで視界が遮られるのは非常に危険ですからね。
カメの水槽なんかにつまずいて転倒する恐れもあるのです。
手には注射も持ってますし、その中には虫下しの薬も入っているわけですよ。
転倒の際にこれが刺さってしまったら、ほんと一大事ですよ。
お腹がすっきりしてしまいますからね。
だから僕はいつも心配してるんです。



薬を操る石橋獣医師、趣味は庭いじりです。

爬虫類館ではたくさんの生き物達を管理しています。
こんだけ居りゃ具合の悪い子も中には居るわけですよ。
獣医さんの存在がないととんでもないことになってしまうんですね。
ほんと日頃から感謝していますし、極めて稀にジュースをごちそうしたりもしてるんです。

多忙な獣医さんを何度も呼びつけたりするのは本当に気がひけます。
だから今後はもっともっと飼育管理を徹底して獣医さんの負担を減らしていかなくてはなりませんね。
もう最終的には獣医さんが失業するくらいがんばらないといけません。
そんな日が来るまで、今後ともよろしくお願いします。





ダイジェスト2(繁殖もろもろ)



昨年から今年にかけて白菜たちと共に冷蔵庫内で冬眠していたヘビ達。
その後は順調に目を覚まし、交尾にいたりました。



シマヘビ黒化型(カラスヘビ)の交尾の様子でございます。
このペアはですね、どちらとも動物園生まれの個体なんですよ。
オスは2歳、メスは3歳でございます。



身近な種こそ累代繁殖を行い、技術確立をしていかなくてはなりません。
これは円山動物園は虫類館における基本軸の一つとなっております。



こちらは毎年恒例のカンボジアモエギハコガメ。
無事に孵化し、生育しております。
でももう同僚達は何も言ってくれなくなりましたね。
爬虫類担当という立場上、関心持ってもらえないのには慣れてるんですよ。
でも無視はつらいですね。
こんなに無視されたのは中2の時以来です。

でも皆さん見てください、カメを乗せてる僕の手のひら。
そう、完璧なマスかけ線です。
たぶんもうすぐ訪れるであろうハッピーな出来事を予感させてくれます。
ちなみに生命線は激短です。



そしてチュウゴクワニトカゲ。
今年は2個体がご懐妊。
でも残念ながら1頭は出産間近で死んでしまいました。
お腹には7匹の子供がいたんですよ。実に無念です。

やっぱりこの種に関しては年中暖房下での繁殖継続は困難です。
もう1頭は、現在低温暗所にて管理しております。
もうちょいしたら温度を上げて出産にもっていこうと思っているんですよ。
その方がより安定した繁殖を行えると思うんですね。

とりあえずババッと紹介してきましたが、ネタはまだまだたくさんあるんですよ。
また近々ここでお会いしましょうね。
ではでは。

あーキナコネジリ食べたい。

クロコダイルハンター本田。

今秋、マレーガビアル2頭を繁殖目的のために熱川バナナワニ園さんに搬出したんです。
うちの個体は全部♀ですので、このまま管理していても繁殖はできないんですね。
こんな希少なワニをそのような状態で置いておくわけにはいかないわけなんですよ。
積極的に移動を行い、繁殖を目指していく必要があるんですね。

でもね、そもそもうちの動物園は巨大なワニの捕獲経験がないんですよ。
だからどうやっていいのかもわからない。

最初は、フレディ・バー教授ばりにプールに飛び込んで、ワニの口を押さえ込んで捕獲するもんだと思ってたんですね。
もうまさに命がけです。

まあ当然、飼育員の間でも「誰が飛び込むのよ」という話になるわけですよ。
そして結果、「守る物がない」という珍妙なロジックにより僕がやることに。
まあ担当者だから仕方ないですね。
僕は「笑顔が素敵だから」という理由で吉田飼育員を推薦したんですけどね。

でも結局、搬出時にはバナナワニ園の方が出向いてくれることになりましてね。
捕獲法を伝授してくれることになったんですよ。
ほんと心からうれしかったです。

今回は完全非公開で行われた搬出時の様子を、克明、且つスリリングに、しかもちょっと膨らませてお伝えしたいと思います。

まずはワニ5頭を片方の展示場へ全て移動します。
そして輸送箱を空いた展示場内へ運び入れるんですね。
この箱は両端が落とし扉になっているんですよ。


勇敢な僕はこの時すでに膝を負傷してましたからね。
普通に歩いていたら、植物の根っこに引っかかって擦りむいちゃったんですよ。
ほんと名誉の負傷と言っても過言ではありません。

そして、両展示場の仕切りに箱を備え付け、ロープを通します。


僕はこの時すでに場外におります。
完全な一傍観者です。
負傷したんですから無理もありません。

不安そうな伊藤獣医師。
なんせ初めての経験ですからね。



そしていよいよ捕獲です。
バナナワニ園の横山さんと浜野さんが作業に入ります。


実に勇ましく頼もしく、僕は少し鳥肌が立ってしまいました。
なんせ日本で最もワニを知り尽くした方々ですからね。
安心して拝見させていただきました。

まず先がワッコになったロープをプールへと投げ込みます。
そしてカギ状になった鉄棒で引っ掛けながら、ワニの首を通しタスキ掛けにするんです。


うまく引っかかりました。

後はワニの動きを見ながら、箱へと引っ張り込むのです。



ワニが完全に箱に入った時点で作業に加わる僕。
20101209-07.jpg

カメラは全てを捕らえております。

1頭目の捕獲は無事に終了。
祐川飼育員もうれしそうです。



そして2頭目の作業、いよいよ僕の出番でございます。


負傷した膝をかばいながらの捕獲です。
ロス五輪での柔道山下選手を彷彿とさせます。
そして外から笑顔で眺めているのは塚田飼育員。
危険な作業を安全な場所から見る、こんな楽しいことはありません。

ぶきっちょマンの僕がワニにロープをかけられるのか?
夢中で紐を操り、ワニのプールに落ちそうになっております。


冷静沈着な横山さんがベルトを掴んで落ちないようにしてくれておりました。
現場では一切気がつかなかったんですよ。
今画像を見てホロっときてしまいました。感謝の気持ちでいっぱいです。

そして割とスムーズにロープかけに成功。



暴れるワニ、落ち着くまでそっとしておきます。



無事に箱に入りました。


そして今度は箱の中でワニをひっくり返し性別チェックです。
総排泄孔を開き中を見ます。
うん、間違いなく♀です。

そして、最後の難関、ワニに巻いたロープを外す作業です。


蓋をちょっとだけ開けて、ロープをひっかけます。
興奮気味のワニが口を開けておりますね。
緊張の瞬間です。

全ての作業は無事に終了。
ワニを運び出し、そのまま静岡へと移動します。


実にスムーズに、しかも人間もワニも安全に作業を終えることができました。
これも熱川バナナワニ園の方々のおかけでございます。
本当にありがとうございました。

そして後日、ワニ達も長旅を無事に終え、バナナワニ園へと到着したと連絡が入りました。
なんと♂との同居もスムーズにいったそうです。
本当に良かった。


来年は新爬虫類・両生類館が完成します。
今度はワニの移動を、我々で行わなくてはなりません。
でももう大丈夫です、蝦夷のクロコダイルハンターが誕生したんですからね。



あっぱれ!クロコダイルハンター!
ビバ!クロコダイルハンター!

ではおやすみなさい。

クモノスガメの繁殖。

苦節5年、やっとクモノスガメの繁殖に成功いたしました。



昨年の6月に産卵された卵、387日という長い時を経て無事に孵化してくれました。
飼育下においての最長孵化記録かもしれません。

いやーでもほんと長かったですね、だって完璧に忘れてましたもん。
毎年交尾、産卵まではうまくいってたのですが、孵化には至らなかったんですよ。
実際無精卵ばっかりでしたしね。
だから今回もダメかなーって感じで、早い段階であきらめていたんですよ。

今回はたまたまバックヤードの片付けをしておりまして。
「あ、そういえばここにクモノスの卵があったなー」ってな感じで手にとってみたのですよ。
そしたら大変、仔ガメが卵から出てきたところでしてね。
ほんと奇跡的なタイミングでしたよ。
めったにしない片付けをたまたまやった時にこれですから。
ほんと神様っているんですね。サンキューゴッド。

そして昨年の同時期の卵があと2個あることも思い出しましてね。
あわてて検卵してみたところなんと2個とも有精卵。
いやー体が震えましたよ。
ほんと神様っているんですね。

そして先日、またさらに長い時を経て無事に2卵とも孵化してくれました。




孵化した2匹はほんとそっくりで、しかもお父さん似の美しい模様をしています。
こう比べると最初の子はたった2ヶ月でかなり大きくなりましたよ。
餌は野草とハイビスカスの花、すごい食欲ですからね。
大切に育てていきたいと思っております。

クモノスガメのように雨季、乾季があるような場所に住んでる種は孵化日数にばらつきがあるんですね。
早けりゃ半年、遅けりゃ1年みたいに。
自然界では雨季に孵化するようになってるんですよ。
乾季に孵化したらそのまま餌もなく乾いて死んでしまいますからね。
だから卵の成長もスイッチを入れたり、切ったりしながら調整している感じなんです。
温帯産種ではこういうパターンは見られないですね。

まあ今回はこのような状態での繁殖でしたが、おかげで孵化条件の把握ができましたよ。


現在はバックヤードにて管理しています。
近々お披露目の機会を作りたいなーと思っております。
本格的な展示は新爬虫類・両生類館完成後になりますのでご了承くださいね。

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