双子の白クマ赤ちゃん通信 跡地
札幌市円山動物園で2008年12月9日に生まれた双子のホッキョクグマ「イコロ」と「キロル」の成長記録です。 双子の旅立ちと担当者の異動により、当ブログは更新を終了しました。 ご愛読ありがとうございました。
『双子成長記録』カテゴリーの投稿一覧
急斜面
Posted by hokkyoku on 2010年1月7日(木) 23:30
ツルツルの階段もとい、スロープに挑むキロルです。
さすがにこれはちょっと怖い。
爪を立てながら滑り降りていきました。
どうか気をつけて。
降りたはいいが、上りにくい。
小休止。
「この程度の坂も上がれないのに滑り降りたのか、お前は」とハシブトガラスが言った。
「うるさい、お前の翼をよこせ」とキロルは答えた。
「お前は堀に下りられないのか、臆病者め」とハシブトガラスが言った。
「怪我をしないための知恵だよ」とイコロは答えた。
※このブログはフィクションです。実在の動物とは少々関係があります。
意味は全くありません。何これ。
ナヌークは極夜を行くよ
Posted by hokkyoku on 2010年1月7日(木) 23:16
北極圏の冬。
太陽が昇らず、薄闇や暗闇が続く季節です。
極夜のなか、ホッキョクグマはアザラシを求めて氷海の上を歩いて行きます。
たった1頭で、もしくは、1頭から3頭の子熊を連れて。
極夜のころは最もオーロラが美しくみえるといいます。
また、ブリザードの吹き荒れる季節でもあります。
オーロラが煌く空の下を進むホッキョクグマ。
ブリザードに耐えるホッキョクグマ。
冬になると時折想像する光景です。
次の冬も、その次の冬も、そうした光景が絶えることなく続いていくことを願っています。
ブリザードの中、親子はこんな風に身を寄せ合うのでしょうか。
あらヤダ、今日の文章いつにも増して気持ち悪っ!
ぴったり寄り添って眠るララとイコロとキロルです。
頭の向きを揃えたくなりませんか。
息子の後足に顔を挟まれてみる夢はどんな夢?
こうして3頭で眠る際、中央にいるのは大抵キロルです。
イコロも母に寄り添いたいだろうに・・・
偶然そういう配置を見ることが多いだけでしょうか。
いいえ、キロルはいつも一番快適なポジションを狙っている気がします。
先日、彼らの寝起きの姿が一番好きなことに気がつきました。
昔よく見かけた「アイドル寝起きドッキリ」のように無防備なぼんやりした感じがいいのかもしれません。
アイドル?
アイドルといえば、イコたんだのキロたんだの言って動物をアイドル扱いすることはイカン、
我ながら非常に遺憾である、としばしば思います。
動物園職員として、小職は、「可愛い」だけではない何かを伝える使命を担っているのであります。
その何かは、その動物が自然界で置かれている状況であったり、
知られざる生態であったり、力が強く恐ろしい面もあることであったりします。
よって私は、ブログを始める際に、愛くるしいとか可愛いとか決して書くまい、
そうした言葉を用いずにホッキョクグマの魅力を伝えよう、という誓いを密かに立てていました。
嘆かわしいことに、その誓いはすみやかに破られました。
いや、しかし。
生まれてしばらくのあいだ親の世話を必要とする生き物の子供は、
周囲の庇護欲をかきたてて生き延びるために、あえて可愛い姿形をしているものだといいます。
丸みのある体つき、つぶらな瞳とかね。
「キャー、可愛い」は体の内奥から沸き起こる本能的な感情なので致し方ないのでは。
そう思ってしまうのです。
個人的に哺乳類食肉目の子の可愛さときたら、もうね、
自分は霊長目に属しているというのにめろめろになります。
イヌ科、クマ科にめっぽう弱いです。
さて、キロルが最初に起きました。
さっそく堀に遊びに行くようです。
やっと母さんにしっかりと触れられるようになったイコロ。
ここぞとばかりにくっつきます。
いきすぎたイコロ。
欠伸をしながらほどけていく親子。
イコロはまだ甘えたい様子でございます。
ララの体に頭を寄せております。
それにしても成獣の欠伸は凄まじい。
甘えられるうちに、たくさん甘えてくださいな。
ひとり掘で遊ぶキロル。
さつきもひとりは至って平気。おそらくは。
熊初め
Posted by hokkyoku on 2010年1月4日(月) 21:57
本年も宜しくお願い致します。
私の仕事始めは2日だったのですが、デスクワークやイベントの準備をしているうちに
日がすとんと落ちてしまって、外に出る時間を作れませんでした。
今日が私の熊初めです。
変な川の字。
左:伸びをするララ 中央:欠伸をするキロル 右:熟睡イコロ
今日も今日とてイコさんは階段が怖くて堀に降りることができませんでした。
午睡から目覚めてすぐにキロルが下に降りて玩具で遊び始め、
ララがそれを追おうとしたところ、イコロは必死で母を止めました。
ひどく噛み付いて止めるものだから、しまいには怒られてしまいましたとさ。
頑張れイコさん。
年の瀬のホッキョクグマ
Posted by hokkyoku on 2009年12月28日(月) 22:12
今年も残すところ、あとわずかとなりました。
至らぬ点も多々あったかと思いますが、
拙ブログをご覧くださいまして、誠にありがとうございました。
来年も引き続きご笑覧頂き、ララとイコロとキロル、
そしてさつきや円山動物園のすべての動物たちを愛してくださいますよう、お願い申し上げます。
当園は29、30、31日とお休みを頂いたのち、元旦から開園致します。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-255.html
ホットドリンクサービス、足湯、イコキロルーム等、
今冬の当園は「あったかい動物園」をテーマに様々な企画をご用意しております。
お正月は北海道神宮と円山動物園の両方へ足を運んでいただけると幸いに存じます。
さて、休園こそすれども、動物たちの命を預かる動物園には、
仕事納めなどというものはございません。
けれども私は気楽な事務方の人間なので、昨日が一応の本年最後の出勤となりました。
30日のみ所用で動物園にいかなくてはいけないので、
ついでといってはなんですが、閉園時の動物たちの顔を見て参ろうと思っております。
(ほとんど独り占めのようなものですよ、羨ましいでしょう?フフフ)
昨日のララさん一家のご様子をお届け致します。
堀にて、雪と玩具にまみれて遊ぶキロルです。
相変らず堀に下りられずに苦悩するイコロです。
下にいる母と兄弟のもとに行きたい、寂しいという思いが顔にありありと浮かんでいます。
と書きましたが、クマのほんとの心は読めないけどね。
この日のイコロはつらくても鳴くのを我慢していたのです。
堀で楽しく過ごすララとキロル。
急勾配のスロープを降りようと試みるイコロです。
やはりスロープが怖くて、でも寂しくて、右往左往してしまう。
目が合いました。どういう心持なんでしょうか。
「オレはヘタレじゃないぞ、見んなコノヤロ」なんでしょうか。
「助けて、階段を元通りにして」でしょうか。
もどかしげに雪を引っ掻いたりなんかして。
とうとう堪りかねて鳴いてしまいました。
優しいララさんがすぐに堀から上がってきてくれました。
寂しかったね。
母の背に顎を乗せてご満悦でございます。
壊れた浮きを運んできたキロル。
すっかり夏季のイコロみたいな性格に変容しております。
甘えん坊だとか、不器用だとか言ってスマン。
キロルの持ってきた浮きで遊び始めるララとイコロ。
次々に遊び方が変わるので目が離せません。
ララがキロルを押さえ込んでいます。
イコロもやってきて二頭がかりでキロルを押さえ込んでおります。
この戯れに加わりたいな、という抱いてはいけない願望をつい抱いてしまいます。
下記リンク先にて人と接する野生のホッキョクグマの写真を見てしまったせいでしょうか。
http://karapaia.livedoor.biz/archives/51554659.html
食べ物を与えるのはどう考えてもよくないと思うのに、少しばかり和んでしまいました。
子連れのメスと接するって不思議な光景だなあ。
ホッキョクグマはこの地上で最大最強の肉食獣と称されることもありますが、
好戦的ではなく、気は優しくて聡い動物というイメージがあります。
ホッキョクグマ贔屓が過ぎて冷静さを欠いているのでしょうか、私は。たぶんそうです。
愉悦?
レスリングの始まり。
堀で座っているララ。息子たちが取っ組み合って遊んでいる間は一息つけます。
イコロが鳴くこともありません。
時々母さんの所在を確認します。
彼らがバラバラになった後、ホッキョクグマの双子の男の子が戯れる様を
こんな間近で見られる日は再び来るのでしょうか。
繁殖計画の都合で、女の子が生まれて来ることを願っていたし、今後もそれは変わりません。
けれども、オスの双子がこんな愉快なものだとは知りませんでした。
イコロとキロルに会えて本当に良かった。
キロルが傷だらけになってしまいました。
浅い傷ですから、すぐに治ります。
堀に下りたキロルがララとじゃれあっております。
羨ましそうに母と兄弟を見下ろすイコロ。
よいお年をお迎えください。
また年内に更新するつもりなんですけれども。
これが噂のイコキロルーム。
イコキロルームとは、スーパーハウスを二つ繋げた寒さをしのぐための場所です。
堀やプールに下りていなければクマの姿もここからご覧いただけます。
内部はこうなっております。
なかなか暖かいのですよ。
こ、このイラストは。
↓先日こんなニュースを目にしましたが、オスが子熊を襲うのは広く知られていることです。
(閲覧注意。この写真でショックを受ける方もいらっしゃると思います)
http://sankei.jp.msn.com/science/science/091210/scn0912101350002-n1.htm
アザラシ狩りは難しいもので、ホッキョクグマは空きっ腹でいることが多いですし、
子連れのメスは発情しませんから、オスが子熊を捕食することがあるのです。
共食いは今に始まったことではないので、これを読んだときはちょっとだけ首を傾げたくなりました。
いずれにせよ、環境に配慮すべきことには何ら変わりないのですが。