札幌100マイル

双子の白クマ赤ちゃん通信 跡地

札幌市円山動物園で2008年12月9日に生まれた双子のホッキョクグマ「イコロ」と「キロル」の成長記録です。 双子の旅立ちと担当者の異動により、当ブログは更新を終了しました。 ご愛読ありがとうございました。

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一年前の今日


一年前の今日、2009年4月17日は、よく晴れた暖かな日だったと記憶しています。
開園前に、双子のプールデビューの予行練習を実施しました。

濡れそぼった母にひどく怯え、体を寄せ合ったまま後ずさる姿に笑ってしまったものでした。
あの子たちの振る舞いがあまりに楽しかったから、次に生まれる子も双子であってほしい、
という勝手な願いをつい抱いてしまいます。
(双子で生まれてくる確率は高いのですが、揃って無事に育つか否かが問題です)


彼らの両親と姉は元気です。

ララ
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デナリ
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河西飼育員に繁殖期は終わったのか確認しましたところ、現段階ではまだ不明のようです。
ですから彼らの別居日等もいまのところ未定です。
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どれほどエンリッチメントを試みても、変化に乏しくストレスが溜まりやすい飼育下において、
子育て期間中は神経をすり減らす要素もあれど、楽しく豊かな時間が流れているように見えます。
種の保存と個体の幸福は、イコールでなくとも繋がっていると思えてなりません。
だからこそ、彼女のお腹に新しい命が宿っていることを願わずにいられないのです。
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交尾の相手に恵まれた彼もまた幸福といえるのかな。
彼らの娘たち、息子たちが独り身で生涯を終えることがありませんように。
もう私は生涯独り身でいいから…
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そうした願いをよそに、ピリカは今日も平穏に暮らしています。
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動物園に配属されてから初めて迎えた冬にピリカが生まれ、そして年が明けて春、
国際自然保護連合が公表したレッドリスト2006年版にホッキョクグマが掲載されたことを知りました。
(約50年前にも、毛皮狙いの乱獲によって彼らは絶滅の危機に晒されていましたが、
狩猟の抑制によって1996年にはレッドリストからはずされていました)
私は思いました、たかだか数年で異動する事務屋だけど、動物の魅力と、
彼らの置かれている状況を伝えることを仕事の軸にしようと。
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全然至らなかったですね。
失敗してばかりでした、今もたくさん後悔していることがあります。
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そのポーズ、何か違う…

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さて、写真の奥に見えますグレーの大きな建物は今日オープンした「エゾヒグマ館」です。

施設の詳細は公式HPをご覧ください。

彼女は2歳の「とわ」。
人懐こく明るい気性のクマです。

今日はお客様がたくさんいらしたので写真は撮れませんでした。
これらは今月15日の様子です。

北海道の自然の一部を持ってきたかのような空間をつくり、
そこでヒグマ本来の生き生きとした姿を見てもらうことで、ヒグマについて学び、
そしてエゾヒグマと北海道民との関わり方を考えていこう、というのがこの施設のコンセプトです。

ヒグマを観察して私が思うのは、いつどのような過程を経てホッキョクグマはヒグマから分かれていったのか、
繁殖可能なほど近しいのなら、ホッキョクグマはヒグマの亜種といえるのではないか、
近年話題にのぼるヒグマとホッキョクグマのハイブリットは増加するのか否か、
といったようなことであるのはここだけの秘密にして下さい。

土の上で駆け回り、木に登り、木をなぎ倒し、池に浸かり、とわは元気に遊んでおります。

ただ、彼女は足を負傷していて、放飼場にいると元気に遊びすぎて縫合した傷が開いてしまうため、
今日と明日公開したのち、29日まで屋内で休養させる予定です。
何卒ご了承ください。


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では。
これから引継書作成に励みます。
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引継書以前に今抱えている仕事が片付きません。困ったな。
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次の人へきちんとバトンを渡さなくてはいけませんね。
頑張ります。

始まりました。


本日午前、デナリとララの交尾が確認されました。

折悪しく現場を見ることはできなかったのですが、4月に入っても繁殖行動はずっと続きますので、
追って様子をお知らせしたいと思います。

交尾そのものは見逃してしまったものの、デナリがララのお尻の匂いを嗅ぐ行為は頻繁に見られました。
これまでと明らかにララの様子が異なり、全く怒っていません。

…ここに至るまで根気良く頑張りましたね、デナリ。


ピリカも両親の動向が気になって仕方が無い様子です。


デナリとララの距離感+円山動物園感謝祭


左ララ、右デナリ。
本日午前の様子です。

デナリは虎視眈々とララに近づく機会をうかがっています。


冬の終わりの北国はあまり美しいものではなくて、雪解けとともにあらゆるものがドロドロになります。
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プールに水を張る季節になったら、元の通り被毛も美しくなります。
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背後からララに近づいて怒られるデナリ。
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ララはまだまだデナリが鬱陶しい様子です。
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でも二頭の距離は縮まりつつあると思います。
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ララ、なんて顔ですか。
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頑張れデナリ。
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ララに発情が訪れるまでのこうしたやりとりはいつものことですもんね。
大丈夫、大丈夫。
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ピリカ嬢は今日もご機嫌麗しゅうございます。
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ポリタンクに心臓マッサージを施しています。

以下は本日より始まった円山動物園感謝祭の様子。

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カメラの田中。
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どうぶつはかせ認定クイズで合格するともらえる認定証。
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マルヤマンの人望および飼育能力により、動物をモチーフとした道内のゆるキャラ(R)が集結してくれました。
左からさけ子、さけ太郎、アックマ、ニャンまげ、そしてえべチュン。
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ゆるキャラたちとのじゃんけんに勝つと素敵な賞品がもらえます。
我らがマルヤマンは不器用でじゃんけんフリップが持てないので、この間ずっと棒立ちです。
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さけ子さんがグシャグシャです。
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外をうろついているのは手稲区のていぬさん。
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飼育員の蔵出し展も魅力的な企画です。
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飼育員のガイドを聞きながら、エランドの角やゾウの鼻・尾の剥製などに触れて頂きます。
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おなじみのクマ回虫もさりげなく置いてありました。ララから出てきたクマ回虫。
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ぬりえで作る缶バッジ。一個200円です。(他の企画は全て無料です、念のため)
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可愛い。
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チンパンジーの屋外放飼場に出てみる企画も。
飼育員のユニフォームを着られるオプションつき。
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楽しい動物クイズ紙芝居。
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これはレア。野生復帰ゾーンガイドです。
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オオワシ・シマフクロウといった希少猛禽類を繁殖させ、野生に帰すべく飛行訓練を行うための新施設です。
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参加するとヘビの抜け殻を差し上げます。
これはタカサゴナメラ。
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非常にざっくりとした説明で申し訳ございません。
なにぶん、もう眠いのです…
イベントは明後日まで開催しておりますので、ぜひお越しください。

感謝祭の詳細はリンク先でご確認くださいませ。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-274.html
職員一同心よりお待ちしております。

その名にちなんで

3月6日(土)より、ララとデナリの同居を再開しております。
ララは子育てが終わったばかり、デナリは帰札したばかりではありますが、
さすがは長年連れ添っただけあって、とりたててトラブルはありませんでした。
ただ、仲良くはありません。
ララはデナリが近づくとちょっと怒ります。

ララの発情が来るまではそんなものなのです。

今日様子を見に行くと、それぞれ別の場所で午睡中でした。

こちらはララ。堀で寝ています。

こちらがデナリ。扉の前でまどろんでいます。
足裏の毛が大変豊かですね。
オスの被毛が長めなのは、メスに自分をアピールするためだと聞いたことがあります。
特に前肢の毛はエルヴィス・プレスリーや西城秀樹の服のフリンジのようです。
そんなことを1年ほど前にも書いた気がします。

娘も昼寝中。


円山ではしばらくオスの成獣を見ていなかったので、いかつく見えます。
ですがデナリはとても気立ての良い、親しみやすい方です。

「デナリ」とは北米最高峰マッキンリー山の別の呼称で、先住民の言葉で「偉大なるもの」を意味します。
当園にはもう一頭、「偉大」を意味する名を持つ動物がいます。

二児の父・ユキヒョウのアクバルです。彼の名はアラビア語由来。
当人達は自分の名の意味など知る由もないですが、二頭とも偉大なオスとして立派に子を残してくれました。
これからも期待大。
どちらもオスは子育てに携わらない動物なので、父になった覚えなど全くありませんが…。

名は体を表すといいますが、彼女の名は「良い、可愛い、美しい」の意。
「宝物」と「人が踏み固めた道」は元気かな…

さて、デナリを久々に見ると大きく感じるのですが、体重は251kgで、オスとしてはわりと小柄な方です。
ゴーゴ君(天王寺動物園)や豪太君(男鹿水族館)の方が大きいのではないでしょうか。
特に豪太君については、2009年5月時点で346kgもあったらしいです。
まだかなり若いですし、きっとこれからいっそう巨大になりますね。
もちろん遺伝的な要素もあるのでしょうが、食事内容にもよります。

こちらは2008年5月の写真です。
さつきと格子を隔ててお見合い中。
なんとなく顔立ちが変わったように見えるのですが、私の気のせい。

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こちらは南アからやって来たサーバルキャットのメスです。
もうすぐ愛称を発表しますので、少々お待ち下さい。
南アといえば、先日ご紹介した「ポロ」は動物交換で南アのヨハネスブルグに転出しました。
転出先を初めて聞いたときは驚きましたが、元気に暮らしているそうです。
「ポロ」はアイヌ語で「大きい」を意味しますが、父がポール、母がシロですから、
きっと両親の名を組み合わせただけですね。


寝起きピリカ。

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