LIVE Report「ホテル・カリフォルニア」
Posted by 田中シンイチ on 2014年9月17日(水) 16:45
伝説の名盤『ホテル・カリフォルニア』スーパー・ギター・デュオ(1983年発売)
/宮野弘紀、アール・クルー
この名盤の再現ライブを昨年12月に実施、そのReportから本コラムを始めたいと思います。
日本を代表する名ギタリスト・宮野弘紀さんは北海道の出身、20代でメジャーデビューする直前まで、札幌市内で活動されておりました。綾戸智恵さんとの共演活動や自身のブラジリアン・テイストな独自の音楽にて巨匠ギタリストと呼ばれております。恐らく、日本一のギター早弾き(手弾き)名手でしょう。
この名盤は、1983年に発売されました。僕がまだ高校生だった頃に買ったレコードです。まさに天上のスーパースター、ヨダレを垂らしてこのレコードを聴いておりました。デュオの相手は、ご存じ、アール・クルー。ガッドギターによるフュージョン音楽は、テレビ番組のオープニング曲やBGMなどで知ってる方も多いことでしょう。世界のアール・クルーと、当時大人気な若手ギタリスト・宮野弘紀さんによるデュオ・アルバムというだけでなく、誰もが知ってる曲のカバー集!ということで即買いした記憶があります。
アルバムタイトルの「ホテル・カリフォルニア」(イーグルス)はじめ、
「オネスティ」(ビリー・ジョエル)
「ミセス・ロビンソン」(サイモン&ガーファンクル)
「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」(クリスト・ファークロス)
などの名曲達をギター2本だけで録音されております。この2人の超絶テクニックで、これらの名曲がどんなアレンジになるのだろうと、興味深くレコード針を落とした瞬間からぶっ飛んだ覚えがあります。まさに衝撃的でした。「いったいどうやって弾いてるのだろう」これが一番最初の感想です。
まさに「夢の共演」ここにあり、といった素晴らしいギター・アルバムなのでした。
それもそのはず、このレコード制作は、マイルス・デイヴィスで有名な敏腕プロデューサー、テオ・マセロによるものです。
当時の宮野さん自身によるインナー解説よると、1日だけのスタジオ・ライブ・レコーディング(リハ+本番)のスタイルで行う予定なのに、アール・クルーが1時間も遅刻してきた中で行われたとあります。
そんなエピソードを知らなければ、緻密に計算された出来栄えと思ってしまうほど聞き惚れてしまう演奏です。
さて、時は過ぎ、私、気がつけば46歳にして、なぜかライブハウスなるものを立ち上げてしまいました。このエピソードはまた後日にすることとして、昨年の秋ごろでしょうか、ライブハウス立ち上げ以前より何かと普段お世話になり懇意にさせて頂いているギターの名手・折原寿一さんとの電話で「宮野さんとのデュオ、何か変わった趣向でもOKかも」というひょんな話から、ここぞという勢いで「是非、あの名盤のデュオやってください」と折原さんに懇願したのが始まりでした。
折原さんから宮野さんにその話を伝えてもらったところ「あまり乗り気ではない」という返事でした。
打ち合わせする中で、宮野さんから「実はあのレコードの曲はこの30年、一度も演奏していない」ということだったのです。つまり発売30年にして初の再演、ということになるのだと気がついた訳です。
もうこれは何が何でも実現せねば、と逆に僕がスパークかかった瞬間でした(笑)
こんなもったいないことって、世の中にどれだけ残ってるのか判りませんが、貴重なライブになることは間違いないと確信した訳です。
そして12月、高校生の時にヨダレ垂らして聞いていたレコードの曲達が、見事、目前で再現されたのでした。リハのときから震えっぱなし、生音だぜ~と感動するばかりで。
折原さんの生ギター、この日も冴えまくって、アール・クルーより抜群に素晴らしい。美しい。
このライブを実現するために、企業(hi-ho)にスポンサーをお願いしたり、地元・北海道新聞に取材記事をお願いして、広く「再現ライブやります」とPRさせていただきました。
おかげ様で満員御礼、大成功となったわけです。
しかし後日、やっぱり「知っていれば行きたっかたなぁ」という声も多々あり、PR不足等の反省点はありました。当時のLIVE Surrは、30名強で満席、そういう意味で贅沢で貴重なライブにしてしまったのです。
おそらく同年代で聞きたいと思ってる人は他に沢山いるはずなんです。
そんな声の中にも、宮野さんの衝撃的なデビュー・アルバム「マンハッタン・スカイライン」も聞きたいという意見も頂戴してました(実はこの日、2曲程度演奏していたのです)
30年間封印していた名演奏のライブ、実はこの10月に再度機会があります。
その名も「スカイライン 2014」
フライヤーも当時のジャケットをそのまま使わせて頂いてますので、一見してわかるかと思います。
宮野さん、30年前の再演は殆どやらないそうですので、この10月3日のライブが再演を聞ける最後のチャンスかもしれません。
このような貴重なライブを、北海道・札幌にて行えることを大変誇りに思います。