双子の白クマ赤ちゃん通信 跡地
札幌市円山動物園で2008年12月9日に生まれた双子のホッキョクグマ「イコロ」と「キロル」の成長記録です。 双子の旅立ちと担当者の異動により、当ブログは更新を終了しました。 ご愛読ありがとうございました。
by hokkyoku
春なのに
Posted by hokkyoku on 2010年4月5日(月) 20:40
年度のかわり目とあって、最近の私は事務所に籠りきりです。
ブログ更新が停滞しておりまして、本当に申し訳ありません。
私は全くといっていいほど外に出られないので、本日の写真は最後の一枚を除いて
すべて河西飼育員に頂きました。
プールに水も張ったというのに。
春なのに。
先月27日の今季初のデナリとララの交尾確認後、断続的に繁殖行動は続いております。
今朝も河西飼育員から連絡が入りましたが、あいにく私は見られず…
こちらは27日の写真です。
これまで彼らの繁殖行動が確認された場合、赤ちゃんが無事に育つか否かは別として、
ララは必ず新しい命をお腹に宿してきました。
妊娠の検査はしないものの、今後はララの出産を前提として動いていきますので、
今年の11月ごろには熊館を閉鎖することとなります。
おそらく今月中に繁殖期は終了し、5~6月にはララとデナリを別居させることになると思われます。
妊娠の可能性のあるホッキョクグマのメスにとって、オスとの同居は大きなストレスになります。
(妊娠の可能性がなくても、繁殖期以外はオスと一緒にいたくない、とララは思っているかもしれません)
なんだかデナリが哀れにも思えてきますが、早々に別居させないと、ララの精神的負担により、
先々の育児放棄等につながる恐れがあります。
初夏にはララ・デナリ・ピリカはみんな個別に暮らしているはずです。
家族が一緒にいないことを、どうか可哀想とは思わないでください。
秋を迎えると、ララの給餌量を増やしていきます。
当然ララはふっくらしてきますから、皆さん「お腹に赤ちゃんがいるんだね」と仰るのですが、
ホッキョクグマの胎児はとても小さいので、人間の妊婦さんのようにお腹が大きくなることはありません。
母体の負担等を考えて、妊娠の検査もしないので、実際に生まれるまで妊娠の確証は無いままなのです。
陰部や乳首の腫れや、産室をチェックしたりするララの振る舞いを見て推測するよりほかありません。
熊館の閉鎖までに、園内工事を休止し、ララの寝室の防音・遮光の徹底を行い、
出産・育児に適した環境を整えていきます。
深閑とした北極圏の雪原のような、とはいかないまでも、極力それに近い状態にしなければいけないのです。
ララはとりわけ神経質な気性ですので、職員一同とても気を使います。
野生のホッキョクグマのメスは、雪原や氷原に子を産む巣穴を作るにあたり、風向き等をよく吟味して、
気に入らなければ幾度も場所を変えるといいます。
飼育下のララに選択の余地はほぼないものの、産室は3部屋ほどに分け、
浅い穴を掘れるくらいの大量のウッドチップを敷き詰めます。
そうして、暗く、とても静かな産室で、ララは一切食べ物を口にせずに、
妊娠の後期から育児の初期までを過ごします。
出産はいつも12月。
クマは母胎の栄養状態によって受精卵の成長を胚のまま休止させる着床遅延という繁殖生理をもっており、
実のところ出産時期の明言はしかねるのですが、ララの子に関していえば、
亡くなってしまった子も含めてみんな12月に誕生しています。
それから野生と同様に、生後3カ月を経るまでは母子はずっと産室で過ごします。
熊館の閉鎖中は、お客様はもとより担当飼育員も中に入りませんが、
他のクマたちにはちゃんと外から食事を与えますので、どうぞご安心ください。
今年の晩秋ともなれば、ララをはじめ、デナリ、ピリカ、アメリカクロクマの風子、
ナマケグマのゴマキ、マレーグマのウッチーとハッピー、ヒマラヤグマのトモとミナミ、
エゾヒグマの栄子さんといった、魅力的な熊館の面々に会えなくなりますから、
お早目に顔を見に来て下さい。
ピリカも元気です。あまり様子をお知らせできなくて本当にごめんなさい。
ララさんとちびピリカ。