札幌100マイル

双子の白クマ赤ちゃん通信 跡地

札幌市円山動物園で2008年12月9日に生まれた双子のホッキョクグマ「イコロ」と「キロル」の成長記録です。 双子の旅立ちと担当者の異動により、当ブログは更新を終了しました。 ご愛読ありがとうございました。

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午睡と遊び

拙ブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
経営管理課の樋泉です。現実逃避が特技です。
これを書き終えたら現実と向き合います。


私が無為に過ごしていた昨日、閉園後に双子の体重測定・体毛採取等が行われました。
ちょっと、いや、かなり悔しい。久々の休みでも、出勤すべきでした。
ホラー映画のDVDなんぞ観ている場合ではなかったです。

一時的にとはいえ、引き離されるララと双子にとっては恐怖の時間ですが、成育の状態を見たり、性別判定を行うためには止むを得ないことです。

地上最大の肉食動物、北極圏の王であるホッキョクグマ。
ちびっこでも、人間の意のままにはなりません。まして2頭です。
彼らの暴れる様子を面白がるつもりは毛頭ありませんが、どれほど子熊にパワーがあるのか、そばで見てみたかったのです。


体重等は後日改めてお伝えいたします。


今日は急いでやらなければいけない仕事が多々あったのですが、(今もあるのですが、)昼食後に熊館へダッシュ。

いいよね、ちょっとくらいなら机を離れてもいいよね、双子の成長を綴ることも仕事のうちだよね、と自分に言い訳しつつ、30分ほどララと双子の様子を見に行きました。


駆けつけてみると、昼寝タイム。
ちょうどララと双子が見える位置にお客さまが固まっています。
今日は動物園日和でしたね。


なんという寝顔。高いズームレンズを買った甲斐があるというものです。


口角が上がっている動物は人に愛されやすいといいますね。
イルカがその代表的な例でしょうか。
ツインズも口角が上がっております。
私も口角を上げて生きていくことにします。ニヤニヤ。ニヤリ。


幸福な午睡。


起きた!


寝転がったまま遊ぶツインズ。その顔、面白いよ。


子熊が複数頭いると体格差が生じて、小さい方が亡くなってしまう、ということもしばしばあるそうで、双子だとわかったときにそれを危惧していたのですが、彼らはほぼ同じからだつきですね。

ギャー
それぞれの耳のうしろに識別のための黒い印をつけたと聞いたのですが、ほとんど消えかかっています。

たたかう
今は堀の壁際にいたい気分なのですね。そんなところではお客さまが見づらい。

ファイティングポーズ
ファイティングポーズ。

走る、転ぶ
走るときの足取りがまだぎこちないですね。途中で転んでしまいます。
ここで双子が死角に入ってしまって、私は大人しく事務所に戻りました。


さて、諸々の書類を作らねば。
日付変わってた・・・!

魁!北極熊塾

この頃ずっと目が血走っている疲れ目の樋泉です。

昨日、「アゴは綾瀬はるかに勝ってる」と飼育員さんに言われました。
アゴ・・・
小学生のとき「帝都大戦」と上級生に呼ばれた悲しい記憶が蘇りました。
今後は円山の嶋田久作と呼んでください。

今日は久々の休みだったのでダラダラと過ごしました。
というわけで今日は双子を見ていないので、昨日の様子をお伝えいたします。

昨日は取材対応で、10時20分ごろにテレビ番組のスタッフの方をホッキョクグマ前にご案内。


昨日は平日で、はらはらと雪が降っていたにも関わらず、ツインズ目当てのお客さまが二十数人、柵の前にいらっしゃいました。

飼育展示課長のインタビューや双子の様子の収録を待つ間、手持ち無沙汰ぎみの私は写真を撮ることにしました。
お客さまが多くない平日は屋上に行かなくても写真を撮ることができます。


ちょうど授乳の時間でした。
野生下では生息環境の悪化のため餌を獲りにくくなり、母乳の出が悪いホッキョクグマが増えたとの報告がありますが、飼育下のララは問題ありません。
子供たちは順調に育っています。


10分ほどの授乳のあと、子供たちはララと遊び始めました。


こんな光景を見ていると、うっかり仕事を忘れそうになります。


主にララと遊んでいたのは目が大きめでテンションの高い子。Pだな?


体の汚れが少なくて目の小さい子(B)はララのそばで大人しく過ごしています。


前足で軽く遊んであげているララ。
子熊の足の裏が丸見えです。
ホッキョクグマの肉球は黒くて細め。半月型とでもいいましょうか。
足の裏の毛が多いので、防寒・滑り止めになります。

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写真ではよくわからないですが、大人しい子は小枝のようなものを見つけたらしいです。ひとりで遊んでいます。

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マイペースに小枝で遊ぶ子と、元気いっぱいにララと遊ぶ子。
顔ではっきりと識別する自信はまだないのですが、行動で見分けがつきますね。
昨日お客さまに聞いたのですが、カラスがそばに来た時には、一方はカラスを追い掛け、もう一方は怖がっていたそうです。
カラスを追ったのはP、怖がったのはBでしょうか。
しっかしPとBて可愛くない呼び名ですね・・・。

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甘噛み。


このあとはスタッフ・リポーターのみなさんをエゾシカ・オオカミ舎、熱帯動物館などへご案内。
またね、ララと双子たち。
(この日の収録分はUHBの「えきニジ」で放送されます。3月25日(水)14:05~です)

さて、ホッキョクグマは4~6歳で性成熟(繁殖可能な年齢)を迎えます。
栄養状態によって左右されるので、飼育下では早めに成熟が訪れるようです。

双子が子供でいられる時間はあまり長くありません。
今はまだ性別もわからず、将来のことも決められない状態です。
希少動物で、繁殖が非常に難しいこともあり、この子たちのことは多くの動物園・水族館関係者が気に掛けていると思います。

先のことを考えず、母子で過ごす光景をのんびりと見られる時間は限られています。

だから、というわけではないのですが、まだ双子をご覧になっていない方は、お早めに動物園にお越しください。


明日からまた一週間、頑張ります。

スモウレスラー

寝ても覚めてもPolar Bear。経営管理課の樋泉です。

今日は雨天のうえ、冷たい風が吹いていました。
天候のせいで昨日より格段にお客さまの足が遠のいたとはいえ、千石先生の講演会もあり、コンサートもあり、ツインズもいて、3月とは思えない賑やかな一日でした。

午後からララと双子の様子を見に行き、事務所へ戻る途中でレストハウスのトイレに立ち寄ると、髪がひどくボッサボサで血の気のない顔の女が鏡の中に・・・。
動物園て出るんですね。怖いわー。


私はホッキョクグマ撮影の際は、基本的に熊館の屋上に上ります。
俯瞰だとそんなにいい写真は撮れないのですが、動物を一番見やすいポジションはお客さまのためのもの。
屋上だったら誰の邪魔にもならないので、気楽なのです。
特にちびっこのお客さまにしっかり双子の姿を見てほしいと思っています。
ですから、髪を振り乱してカメラを構えた不気味な女が屋上にいても気にしないでください。



俯瞰で授乳を撮っても、なんだかよくわからん。



そう思っていると、一頭がこちらを見上げてきました。



なんかキモいのが見てる、と兄弟に耳打ちでもされたか、もう一頭も上を見上げます。
気になる?すまんね。



授乳のあとは昼寝だろうか、と思っていると、遊び始めました。
見合って見合って。



はっけよい。



行司は立ち去ってしまいました。



行司の母さんはいないけど、のこったのこった。



こうなるとどっちがどっちだかわかりません。こうなっていなくても、いまだはっきり見分けられないけども。


クリンチ。


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一頭逃げる。もう一頭「まだまだ」とばかりに追う。


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スモウレスリングはどうでもよくなったらしい。

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雪の穴に入る遊びに移行。


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こちらがよくはしゃぐ活発な子のようです。
とにかく頻繁にひっくり返るので汚れがち。(残雪はすっかり汚くなっています)
こっちが便宜上Pと呼ぶことにした方・・・だと思います。
仰向けになってひとりではしゃいでいる間にもう一頭が母乳を飲み始め、はたと気付いて鳴きながら駆け寄っていきました。


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熊館から降りてお客さまの隙間から撮りました。
授乳の間、ツインズの体を舐めてあげているララ。


今日は手抜きです。お休みなさい。

円山ツインズ公開2日目

アホの樋泉です。
私の自前のカメラのレンズ(バズーカ的な望遠レンズ)を見た飼育員さんが「アホだ・・・」とつぶやいたのです。
レンズのせいでカツカツです。
カッツカツやぞ!

さて、今日は3連休の真ん中で、昨日とは打って変わって気持ちの良い好天でしたから、動物園はたくさんのお客さまで賑わいました。


午前中はデスクワークに専念し、午後から熊館へ行ってみると、ホッキョクグマ展示場前には人垣ができていました。
ツインズ、大人気です。


動物園は、生物多様性の確保や、地球環境についてのメッセージの発信といった役割を担っています。
また、人々が癒される都会のオアシスを目指しています。
飼育下での繁殖が非常に難しく、野生下でも子グマの生存率が低くなっているとされるホッキョクグマの赤ちゃんは、そうした動物園の役割を象徴する存在といえます。

というわけで、ツインズと、それに象徴される動物園の役割・円山動物園の魅力を広く知らしめるため、私は写真撮影をしなくてはなりません。

写真は広報活動に不可欠なのです!
写真はお客さまがお土産に買われるポストカードなどになったりもするのです!
個体識別のためにも撮影の必要があるのです!

という言い訳のもと、私はホッキョクグマのもとへ日参しています。

13時ごろ、彼らはお昼寝中でした。


寄り添って眠っております。


寝顔。


しばらくして一頭が目覚めました。




一頭につられてみんなが起きだし、子供たちはレスリングを始めます。









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楽しそうです。私も混ぜてほしいです。
が、たとえ赤ちゃんでもホッキョクグマはものすごくパワフル。
大人の男性でも彼らを捕まえたり、抱え上げたりすることは困難です。
私なんぞズタボロにされてしまいます。
まして彼らは人間には懐いていません。

その野性味がいいところ。


ちょっと顔立ちの違いが掴めてきた・・・気がします。

公開初日の双子たち。

世はWBCに沸いていますね。野球がわからない樋泉です。

周囲が野球の話題で盛り上がっていると、なんともいえない寂寥感をおぼえます。
私も、「あの盗塁は凄かった!」「あれはバントにすべきだった」(テキトウ)とか言ってみたい。話に加わってみたい。
そう思って野球の試合を観てみても、なにがなんだかわかりません。

コミュニケーションのために野球を学んでみよう、と思ったことがあるのですが、球団のマスコットの名前をいくつか覚えただけにとどまりました。
カープは「スラィリー」とかスワローズは「つば九郎」とか、昨今ドアラが人気とか、覚えてもなんの役にも立ちません。

私は努力の方向性を頻繁に間違ってしまいます。

さて、地元球団のマスコットのモデルはヒグマ。
ヒグマとホッキョクグマは近縁種なので交配可能です。

地球温暖化によってヒグマが北上してホッキョクグマと交雑し、結果ホッキョクグマが淘汰されてしまうのでは!という話も時々聞きます。

絶滅危惧種に指定されてからというもの、ホッキョクグマは温暖化の犠牲者の象徴とされて、そうしたショッキングなニュースを耳にする機会も増えましたが、冷静にことの真偽を見極めたい、と思っています。


本日は双子の赤ちゃんの一般公開の日。
悪天候でしたが、たくさんのお客さまが来て下さいました。
遠方からお越しいただいた方も多いようです。



午前中は双子のうち一頭とララだけが外に出てきて、一頭は産室にこもりきりでした。
体調でも悪いのかと気をもみましたが、正午すぎにようやく出てきてくれて一安心。
あの子がなぜ長いことララと離れて産室に閉じこもって眠っていられたのか、ちょっと謎です。


双子が揃うと見ごたえも増します。



彼らのちょっとした仕草でどよめきがおこっていました。
私もギャアギャア騒いでしまいました。
ホッキョクグマの双子の赤ちゃんを見て平静を保つことはいささか難しいです。

この子たちは日に日に可愛さが増しています。
室内の掃除もできるようになりましたし、雪の上で転げるので、どんどん体の汚れが落ちていくようです。


↑ホッキョクグマの毛は透明で、空洞になっていますから、(陽光を遮らず、空洞に熱を蓄えられる北極に最適な毛の仕組みです)汚れが中に入ると落ちにくいことで知られています。
動物園で飼育されているホッキョクグマはしばしば緑や茶に染まってしまうのです。


ですから16日に↑この姿で出てきたときはさすがに心配になったのですが、汚れがたやすく落ちていくので安堵しました。

どんなに汚くたって、尊い命ですから、元気ならそれで一向に構わないんですけど・・・というのは建て前で、やはりふわふわの白い姿をお客さまに見ていただきたかったのです。というか私が見たかったのです。

















双子最高!双子で良かった!
一頭でも無事に育ってくれれば鼻血が出るくらい嬉しいのですが、双子の姉のピリカは、ララにかまってもらえない時に仰向けになって後ろ足を齧る(下の画像+ピリカの思い出参照)痛々しい癖があったのです。

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一緒に遊ぶ兄弟がいて良かった。


最近のデナリは「ララといるあのちっこいのはなんなのか」という思いでしょうか。
父親はいっさい子育てに関わりません。


大人のオスは子グマを捕食することがあります。
野生ではエサが豊富にあることは多くないですし、子連れのメスは発情しませんから。

繁殖期・子育て中以外は単独で過ごすことが普通なので、私の中ではホッキョクグマは孤高のイメージです。

ですが、大きな海棲哺乳類の死骸のある海岸など、エサがたくさんある場所では、ホッキョクグマが集まってレスリングに興じたりするそうです。
時には大人のオスが子グマと遊ぶこともあるとか。

その様子が書かれた本を持っています。写真集ですが、巻末にホッキョクグマの一年を追った記述があって、非常に面白いです。
※『ホッキョクグマの王国 福田俊司写真集』 文一総合出版

今日はこれにて失礼致します。

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