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「手が語る」展、開催中です。
Posted by sapporochobi on 2012年3月23日(金) 15:12
たいへんご無沙汰しております。
世の中は年度末、人事異動のニュースにざわめく季節ですね。
しかし札幌はいつまでも冬が居座っているような寒さ。
早く春めきたいですね。
彫美ではコレクション展「手が語る-彫刻における手の表情-」を開催中です。
本展は、当館が所蔵する本郷新の彫刻のなかから
とりわけ「手」の表情が豊かな作品をご紹介するものです。
展覧会のキャッチコピーは、
守る手、謳う手、震える手―
本郷新の彫刻において、人の手は、守るべき存在を包み、
生きる喜びを謳(うた)い、ときに悲しみや痛みに耐えて震えています。
手を手がかりに、作品にあらわれている人間の深い感情や生命感を
感じていただけたら...と思っています。
では、展示風景をば。
最初の作品は、《嵐の中の母子像》です。
腕に赤ん坊を抱え、後ろ手に子どもを守りながら
困難な状況のなかを突き進むたくましい母親の姿に圧倒されます。
原爆の記憶を想起させるモニュメントとして
1960年に広島平和記念公園に設置された、本郷新の代表作。
北海道立近代美術館にも設置されているので、
ご覧になったことがある方も多いと思います。
2階の一番広い部屋はこんな雰囲気です。
中央の、手そのものを造形化した作品は《原生の譜》。
節くれだった樹木のような指をした手は、
北海道開拓に身をささげた人々を象徴しています。
その左に写っている木彫の《哭》は、筆者にとってはこの展覧会の主役のひとり。
顔をおおった手の下から、おさえきれない嗚咽が聞こえてくるような、
痛切な感情をたたえた作品です。
一方こちらは、魅惑の裸婦ゾーン。
本郷新は裸婦像をたくさん制作していますが、
手の表情が魅力的なものが多いんです。
手を高く上げてポーズをとる裸婦は指先までのびのびと美しく、
うつむいて手を組む裸婦は、やさしくしっとりとした情感を漂わせています。
ほかにも「無辜の民」シリーズや「馬と少年」シリーズなど、
選りすぐりの作品を展示しています。
さて。
「コレクション展って、なんか地味...?」と思われる方も多いと思います。
そうです、展覧会としてはたいへんに地味です。
でも、今回の出品作は観るほどに味わい深いです。
そしてこの美術館はもともと本郷新の作品を展示するためにつくられているので、
作品が不思議としっくり映えるのです。
私もときおり展示室を回っては「いい...」と心でつぶやいています。
慌ただしい日常を離れ、しみじみと作品と向き合いたい方におすすめです。
4月14日(土)午後2時からはギャラリー・トークもあります(約50分)。
私が作品の見どころや制作背景などをお話しさせていただきます。
予約不要ですので、ふらりとご参加いただければと思います。
↓先日のギャラリートークの様子。こぢんまりとアットホームにやっております。
それではみなさま、お待ちしております。
★ブログの更新頻度はひどいものですが、Twitterでは日々何かしらつぶやいております。ときどきご覧になってみてください。
コレクション展
手が語る―彫刻における手の表情―
会期: 2012年2月18日(土)~5月13日(日)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(ただし月曜祝日の場合は翌火曜日)
観覧料:一般300(250)円、65歳以上250(200)円、高校・大学生200(100)円、中学生以下無料
※( )内は10名以上の団体料金。
※この料金で、隣接する記念館にもご入館いただけます。ぜひ両館あわせてご覧ください。
※札幌芸術の森美術館、札幌宮の森美術館の展覧会チケット半券をお持ちいただくと団体料金でご観覧いただけます。
主催:本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市芸術文化財団)
後援:札幌市、北海道教育委員会、札幌市教育委員会