双子の白クマ赤ちゃん通信 跡地
札幌市円山動物園で2008年12月9日に生まれた双子のホッキョクグマ「イコロ」と「キロル」の成長記録です。 双子の旅立ちと担当者の異動により、当ブログは更新を終了しました。 ご愛読ありがとうございました。
by hokkyoku
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なんか降って来た
Posted by hokkyoku on 2009年11月3日(火) 17:52
雪を初めて見るわけでもあるまいに、しきりに空を振り仰ぐイコロさん。
前足に乗った雪片を舐めてみたりして。
穢れた大人の私は「雪か。チッ、いまいましい」みたいな心境でしたが、
子熊たちが楽しそうだったので、雪も悪くないか、と思ってみることにしました。
白いものが降って来て、前足で融けたので「ナンダ、コレハ」と思ったのか否か。
雪のことお忘れですか?
もうすぐ満一歳です。
これが三頭で過ごす最後の冬になると思います。
ホッキョクグマは単独で生きる動物ですから、あんまり感傷的になっても仕方ありません。
野生でも必ずホッキョクグマの親子は離れ離れになるものです。
然るべきときに母親が子供を追い払います。
飼育下だとその「然るべきとき」の判断を母親に委ねられないので、
お別れのときにはどうしても可哀相な印象になってしまいます。
メディアも可哀相な感じに演出することが多いです。(すいません、ごめんなさい)
娘ならともかく、イコロとキロルはオスですから、母とずっと一緒にいたら近親交配します。
そういうものです、人間じゃないから。
ホッキョクグマが親子揃って過ごせる時間は有限です。
子熊は独り立ちするのが自然の摂理です。
動物園は「種の保存」というとても大きな役割を担っています。
希少な動物の施設間移動は繁殖のために欠かせません。
人気者のゴリラのゴンさんが京都市動物園に出張していたように。
時折「なんでゴリラがいないんだ」と怒られたりしましたが。
たった50頭しか日本にいないホッキョクグマです。
人気者だから、市民の皆さんに愛されているから、と手元に置いていたら、
うまくペアリングできず、そのうちみんな子供を残せずに亡くなっていきます。
このままイコキロが円山にいても、お嫁さんは現われないです。
彼らがずっとここにいて、二頭の若いメスが嫁入りして、子供を作ってくれたらいいなあ、
なんて空想したこともあるけれど、待っていてもお嫁さんは来ません。
イコキロのどちらか一方、または両方が海外に行って、
代わりに日本にいる個体とは全く異なる血筋の子を連れてくることは、
ホッキョクグマという種を絶やさないために必要なことです。
それに、どこの国でも女の子のホッキョクグマは少ないというけれど、
たぶんヨーロッパかロシアにいたほうがお嫁さんが見つかる可能性は高いです。
繁殖の難しいホッキョクグマの命を繋いでいくためには、国外の動物園との連携が欠かせないのです。
ひいてはそれがツヨシやピリカや国内のクマさんみんなのためになります。
寂しくないと言ったら嘘になりますが、私が寂しいかどうかは些細なことです。
なにをダラダラ書いているんでしょう。
なにが言いたいんだっけ。
えーと、そうです、親子の別れをそんなに悲しまないで下さい。
自然の摂理だから。
ただ、正直、ピリカの旅立ちのとき、野生下より別れがちょっと早い、と思ったこともあります。
ララとデナリの次の繁殖のため、という理由もあるけれど、
自然界では毎日ご飯が食べられませんので、子熊の栄養状態は飼育下より劣ることが多いですし、、
難しいアザラシ狩りなど、母親から学ばなくてはならないことも膨大にあるから、と聞いて納得しました。
どこに行っても、そばにいなくても、イコロとキロルはわたしたちの宝物です。
彼らが幸せであるように、次世代に命を繋いでいけるように、最善を尽くします。
と、なんかオフィシャルなコメントみたいに偉そうに書いておりますが、
これはそんなにオフィシャルなコメントではないので、何卒ご容赦下さい。
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