札幌100マイル

双子の白クマ赤ちゃん通信 跡地

札幌市円山動物園で2008年12月9日に生まれた双子のホッキョクグマ「イコロ」と「キロル」の成長記録です。 双子の旅立ちと担当者の異動により、当ブログは更新を終了しました。 ご愛読ありがとうございました。

2009年04月 の投稿一覧

ウルスス・マリティムスは泳ぎが達者…

海に棲むクマ、Ursus maritimusすなわちホッキョクグマが豊富な皮下脂肪のおかげで浮力を得られ、泳ぎが得意というのなら、近頃の私の浮力も相当なものだろうと思う樋泉です。
腹部に天然の浮き輪をつけているようなもの。
そういえば、スタミナがないので長いこと泳げはしませんが、カナヅチではございません。

ホッキョクグマはその脂肪のほか、流線形の美しい体、長い四肢、閉じることのできる鼻の穴、といった泳ぎに適した特徴を持ち、50kmはたやすく泳いで移動できるそうです。
(基本的な泳法は犬かき。カワウソや海棲哺乳類ほどには優雅に泳げません)

北極海とその周辺で生きる以上、泳ぎを覚えなければ生きてはいけません。

動物園生まれの母熊でも子供にきちんと泳ぎ方を伝授します。

さて、昨日の朝、水を怖がってプールに入れなかったことで話題の双子さんですが、野生の子でもきっと最初は怯えると思います。
ツヨシも最初はプールを嫌がり、ララに無理やり引きずり込まれたそうですし、自らプールに入って突然泳ぎだしたピリカのような子は稀ではないでしょうか。
参照:ピリカのプールデビュー 

明日は開園時間前からプールに水を張っておき、一日中そのままにしますので、数時間もすればプールデビューを果たしてくれるはずです。

17日の8時~8時45分の様子をざっと記します。



いい天気だ、まことにプール日和であるぞ、と思いつつ熊館へ。
カメラ一式と命綱と脚立を持って行ったので朝から疲労。綱はいらなかったな・・・

20090418-07.jpg
水位はこれくらい。枝と浮き玉も投入済み。

20090418-08.jpg
8時に登場。おはよう。


水音と報道陣にちょっと驚いた?一旦退却。


再び出てきてララがちょっと嬉しそうな様子を見せる。


「なにこれ、なんなのこれ」


双子は鳴き通し。


「来ないの?」


無理はさせない主義。今回の育児はちょっと甘く見えるのは私だけか。
双子と一緒にララまで堀に降りて行く。


リンゴをプールに投入。

20090418-16.jpg
おそるおそる


母のすることを見ている子供たち。


子供が気になるのでリンゴだけ取る。

20090418-19.jpg
「水しぶきコワー」

20090418-20.jpg
しかしリンゴは食べたい。

20090418-21.jpg
ララは気持ちよさげ。さっぱりしたよね。よかったね。


再びリンゴを取りに行く母を見守る。

20090418-24.jpg
おや!


君は頑張るね。


わくわく。


もう一頭は怯えてしまって、階段を降りようともしない。ララも両方が揃わないと水泳指導をする気にもならないようで、授乳を始める。


それからまた堀に降りてしまったので、


ホッケでララを釣る。


楽しげなララと不安げな双子。


全身ずぶ濡れの母と水しぶきから大慌てで逃げる。


「うわー」

20090418-34.jpg
「うわー、オカン濡れネズミー」

20090418-35.jpg
「うわー、オカンの色変わったー」

20090418-36.jpg
湿った母に近づいてみる。

20090418-37.jpg
湿った母に登ってみる。

20090418-38.jpg
堀で遊ぶほうが楽しいらしい。

20090418-39.jpg
堀に降りた子供らは気にかかるし、プールには入りたいし・・・
結局ララはプールを選び、子供はつられて上に戻る。

20090418-40.jpg
奥の子の顔…

20090418-41.jpg
興味深い?

20090418-43.jpg
結局、堀に行くのね。

20090418-44.jpg
この日はこれでおしまい。
雑なレポートをお届けしました。
これからゴールデンウィークに向けたHPの見直し、雑誌校正などをして帰ります。

明日は撮影か。
でもお客さまもマスコミの方もたくさんいらっしゃるから、私の場所は取れませんね。
プール撮影には不向きな屋上でこっそり見守ります。

屋上からの撮影を、どうかずるいと思わないでくださいね。
ブログ以外でも双子の記録写真は何かと必要なので、致し方ないのです。
あくまで仕事なのです!
後で双子の写真を見てニヤニヤしたりなんかしていません!!

余談 シロクマ、毛

拙ブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
経営管理課のいつもアワアワ、ワタワタしている樋泉です。
もうちょっとどうにかならんのか。私よ。


ホッキョクグマの毛が実は白ではなく透明であり、中が空洞になっていて、光を散乱させるために白く見えることは有名です。
太陽光を遮らない透明な毛によって黒い地肌が温まりやすくなり、毛の空洞そのものにも蓄熱効果があることもよく知られている、と私は思っています。
空洞によって浮力が得られる、という記述も図鑑等でみかけることがあります。


再掲:電子顕微鏡で見たホッキョクグマの毛の断面

動物園の人間が「シロクマ」と言わないのは、正式な和名がホッキョクグマであり、毛が透明だからです。
それとともに、ヒグマやクロクマに白変種(メラニンが欠乏しているわけではないのでアルビノではありません)がいて、彼らもまた「シロクマ」だから、ということがいえます。

※当ブログがこういう名称なのは、白クマの方がキャッチーだからです。

余談ですが、カナダのブリティッシュ・コロンビア州の温帯雨林グレートベア・レインフォレストには、スピリットベアと呼ばれる白いクマがいます。
別名カーモードベアともいって、グレートベア・レインフォレストのクロクマ10頭のうち1頭もの割合で生まれてくる白いクマです。
劣性遺伝子をもつクロクマ同士が交配すると生まれる、といわれています。


クロクマの風子

さらに余談ですが、ブリティッシュ・コロンビア州では樹木の伐採がさかんに行われていて、その材木の多くは日本の企業が買い付けているそうです。
木製品を買う際は、木材の出自について一考が必要です。


さて、ララの抜け毛をご覧ください。

昨日の朝、プールに入ったため綺麗です。

光に当ててよく見ると輝いて見えます。


羊毛と較べてみよう、と思ってフェルトのホッキョクグマグッズと並べてみました。

手前はブローチで、ツヨシの写真集を出版されたKAZUMIさんから頂いたものです。
ずっと作業着につけているので、ちょっとぼそぼそになってしまいました。

その奥が従姉妹が作ってくれたもの。
そのまた奥がどこかの雑貨屋で買ったものです。
どれかひとつを模倣して作って双子にしたいのですが、私は著しく不器用なので奇怪なシロモノが出来上がると思います。

…熊毛も羊毛もぱっと見はそれほど変わらないです。
感触は熊毛のほうがゴワゴワ感が強め。そして若干太い。

という余談。


今は汚れている双子ですが、またこんなふうに白く輝く日はもうすぐです。

手抜きレポート

すでにご存知の方も多いかもしれませんが、19日(日)のプールデビュー一般公開に備え、本日開園前に試験的に水を張りました。

双子は怖がってしまってプールには入りませんでした。

詳しいレポートはいずれ・・・
大変申し訳ありません。眠い。



全身ずぶ濡れの母を見てなぜか怯える双子。



君はいけると思ったんだけど。

友達にはなれません

口下手、自虐的、という広報として致命的な欠点をもつ樋泉です。

ブログについて取材をお受けすることがあるのですが、「私…事務だし…毎日動物の様子を見に行く余裕なんて無いし…写真下手だし…わ、私のブログなんか飼育員さんや常連さんのものに較べたら…全然至らない…」という気分になってしまって上手く話せません。


先日、ベルリン動物園で、ホッキョクグマ舎に侵入した女性が腕や足、背中を咬まれて重傷を負ったそうです。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2591864/4021927

このニュースの「ホッキョクグマに襲われ重傷」という箇所だけ読んだ方が、私のことだと思ったそうです。
私は大丈夫です。命綱もあるし、ホッキョクグマと触れ合おうなどと思ったりしません。

ドイツの件の女性は、ホッキョクグマと友達になりたかったのだそうです。

無理。子熊でも無理。

生まれてから数ヶ月を母とともに産室で過ごしてきた子供たちは、野生のホッキョクグマとあまり変わりません。
人間を信用することなどない、パワフルな猛獣です。

こんなふうに目が合うことがあっても、私達は決して親しくなれない間柄。
そこがいいのです。
レンズ越しに目が合った、と思ったことすら勘違いかもしれません。


それにしても、随分汚れてしまいましたね。


さつきはすでにプールを満喫中。


「静かにしろい この音が…オレを甦らせる 何度でもよ」
壁にバスケットボールのゴールを取り付けたくなる光景です。


双子のプールデビューの日程等については追ってプレスリリースし、ホームページにも掲載いたしますので、少々お待ち下さい。

極地の熊



極地は気候変動の影響を最も早く受けます。

さらに、極地には残留性有機汚染物質が集まります。
食物連鎖の上位にいる者は、高濃度の有害化学物質に晒されます。


ホッキョクグマが、人間たちに警鐘を鳴らす「炭鉱のカナリア」として扱われるようになってしまった所以です。


生物多様性が人間にとってどれほど重要か、100回説かれるよりも、双子たちの仲間が死に絶えた世界を想像するほうが胸が塞がる思いがします。
わたしのあたまがわるいからか。

ぐるぐる巻きの巻

経営管理課の樋泉です。目と肩が痛いです。

本日2度目の更新をします。暇人か!

今日はデスクワーク、外勤やラジオ出演などの合間を縫って、お昼すぎに熊館へ行ってきました。
最低でも3日に1度はララと双子の顔が見たいのです。
私が見ようと見まいとなんの変わりもないけれど。


熊館に向かう途中でひそかな人気者を激写。
テナガ
ユニークな鳴き声と動きがひどく魅力的なテナガザル。


熊館屋上での撮影は、飼育展示課への申告と命綱の装着が必須になりました。
落下のおそれが若干あるので、いつか屋上禁止令が出るのではないかと内心思っていました。
これで済んでちょっと安堵しています。
ベルトにロープを結んで、腰に何重にもロープをぐるぐる巻きにして、さて撮影。
20090411-08.jpg

そこまでして写真を撮って来いなんて誰も言っていないのですが・・・

こんな寝顔↓が見られることを発見してしまったらね、もうね。屋上に行かざるを得ない。
20090411-02.jpg
枝を手元に置いて眠る子と、やたらと無防備な格好の子。

20090411-04.jpg
君はそんなに枝が大事か。

20090411-03.jpg
ララに睨まれました。なにもしませんよ。
それより、あなたの子、仰向けに寝てますけど、ホッキョクグマとしてその寝姿はどうなの。

20090411-05.jpg
あ、起きたね。

20090411-06.jpg
気付かれたか。

20090411-07.jpg
もう一方にも気付かれました。
「アイドルと目が合ったと思いたいファン心理」みたいなものかもしれないけど。

20090411-09.jpg
そんなポーズで、そんな顔で、こっちを見ないでください。
落下したくなるから。

20090411-10.jpg
寝起きはしばしゴロゴロする。

20090411-11.jpg
2頭であくび。

20090411-12.jpg
子供らが起きると熊館の周囲にお客さまが集まります。

20090411-14.jpg
20090411-15.jpg
今日は枝で遊ぶ日ですか。
楽しそうですね。

20090411-18.jpg
ララ、もっといい枝のくわえ方があると思いますよ。

20090411-19.jpg
ララ…

20090411-16.jpg
20090411-17.jpg
20090411-20.jpg
20090411-21.jpg

20090411-24.jpg
双子が枝に興味を失くして離れていくと、ララは少し寂しげに枝を下ろします。

20090411-23.JPG
子供たちは堀での遊びに移行。ララはフガフガ言いながら彼らを追いかけ、階段から見守ります。

なぜか無性に親孝行がしたくなった午後。

20090411-22.jpg
もうすっかり春ですね。

私生活は真冬だというのに。

すさまじいあくび


歌い出しそうです。


今日は久々に熊館の上から写真を撮ったので、機関紙の校正などを済ませたあと、また更新しますね。

金曜の夜なのにね。

一歳児の双子

拙ブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
経営管理課の樋泉です。
そろそろ死兆星が見えそうです。ゆっくり双子を撮る時間がありません。


皆さま、新デザインの円山動物園年間パスポートのご購入はお済みでしょうか。

写真としては失敗作かもしれませんが、被写体が非常に愛くるしいのでご容赦ください。
こちらは、円山動物園チケット売り場のほか、セブンイレブン円山動物園店でもお買い求めいただけます。
2回で元が取れてしまう格安年間パスポート(¥1,000)を手に入れて、動物園へ足繁く通うことを強くおすすめします。
日々の雑事を忘れてのんびり過ごせますよ。
お気に入りの動物も見つかるはずです。


さて、私には2つ違いの姉がいます。
ツヨシ、ピリカ、双子さんの性格がそれぞれ違うように、姉と私も全く気性の異なる姉妹です。
姉がポジティブ、妹がネガティブ。
姉がアクティブ、妹がインビジブル(存在感的に)。

その姉が、先月仕事でウィーンに行きました。

オーストリアのウィーンのシェーンブルン動物園といえば、現存する最古の動物園であり、2007年11月生まれの双子のホッキョクグマがいるところです。
うちの双子の一歳年上ですね。

・ シェーンブルンの双子誕生時のニュース

・ 双子のお披露目の際のニュース
リンク先の写真が可愛いのでぜひご覧ください。
双子おなじみの、後ろ足で立って向かい合うポーズも見られます。
真っ白ですね。
彼らの毛の白さに嫉妬なんてしていませんよ。
毛頭していません。

姉がシェーンブルン動物園で撮った写真のデータをくれたので、ここに載せますね。


なんなのかさっぱりわかりませんが素敵です。


母熊オリンカさんと双子。


起きているのがオリンカさん。寝ているのが子供たち。


遠目だと母子の違いがよくわかりません。知ってはいたけどやはりホッキョクグマの一歳児は大きいです。


大きくてもまだ幼い体つきです。


「入れろ」は万国共通?空腹ですか?






結局なにが言いたいかというと、私には海外出張の機会なんて一生訪れないぞ姉め、そして、ホッキョクグマの双子はすぐに大きくなるので、赤ちゃんのうちにたくさん見ておいたほうがいい、という2点です。


一歳児の双子もまだまだ愛らしいですし、私はそもそも大人のオスのホッキョクグマが好きなのですが、赤ちゃんはとても貴重な存在です。
当園は、ホッキョクグマの繁殖の基地を目指していますが、正直なところ、次に赤ちゃんの姿を拝める機会が来るかどうかなんて、わからないのです。


それほどホッキョクグマの繁殖は難しいのです。


それはさておき、オリンカさんと比べるとララは童顔ですね。




週末はぜひ円山動物園へお越し下さい。

姉の仕事ブログ↓
http://sapporo.100miles.jp/mocas/
写真と引き換えにリンクするよう脅されました。

もう4ヶ月か

無事に育ってくれてなによりです。


こういった顔がわりと好きです。


何か気になるものが現われたときの反応。


もう帰ろう。

昨日の写真でお茶を濁しますよ

ボーリング大会に出ると決まってブービー賞をとる経営管理課の樋泉です。

昨日撮った写真でお茶を濁します。

あのね、
あのね、聞いて

聞いて
お腹空いた・・・お母さんとこ行こうよ

お母さん、
お母さん、お母さん。

満腹です
満足だー

sumo
満腹だ!元気出た!相撲とるぞ!

パーンチ
張り手だぞ!突っ張りか?どっちでもいいや!

ギャーギャー
ウギャー


ララも大変ですが、こんな遊び盛りの子を連れて獲物を探す野生のお母さんはどれだけ大変なことか。

野生のホッキョクグマの子供たちの何割かが、栄養不足やオスの襲撃で亡くなるのは自然の摂理ですし、ホッキョクグマが食べ物を得にくい季節があることもわりとよく知られていることです。
ですが、カナダ北西部では子グマの生存率が低くなっている、という報告があります。
生息域全体ではどうでしょうか・・・

pageTop