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札幌市円山動物園で2008年12月9日に生まれた双子のホッキョクグマ「イコロ」と「キロル」の成長記録です。 双子の旅立ちと担当者の異動により、当ブログは更新を終了しました。 ご愛読ありがとうございました。

by hokkyoku

プロフィール

札幌市円山動物園

札幌市円山動物園で2008年12月9日に生まれた、ホッキョクグマの双子「イコロ」と「キロル」の帯広へ旅立つまでの成長日記とおぼしきものです。
この子たちは、IUCNが発行しているレッドリスト2006年版においてホッキョクグマが絶滅危惧種とされて以降、国内で初めて無事に育った赤ちゃんです。
双子の旅立ちと広報担当者樋泉の異動により、当ブログの更新は終了しました。
ご愛読いただき、本当にありがとうございました。
なお、2010年12月25日、2012年12月8日には、イコロとキロルの妹たちが誕生しました。
今後とも円山動物園をよろしくお願いいたします。
動物たちと皆様に幸多からんことを。


投稿したブログ数:245件

イコロとキロルの旅立ちにあたって

※河西飼育員によるアニマルファミリー会員向けのお便りと、上野飼育展示課長のメッセージをもとにした
下記の文章を、イコキロルームに掲示しました。


ホッキョクグマのララと子供たちに、いつも暖かいご声援を頂きまして、
誠にありがとうございます。

イコロとキロルの移動にあたっては、皆さまから色々なお声を頂いております。

今、母子を離すのは早すぎるのではないか、繁殖を最優先させるために、
何か犠牲にしているものがあるのではないか、というご意見を頂くこともあります。


キロル

親離れの時期については、野生下では概ね2歳~2歳半と言われていますが、
飼育下においては、早いものでは生後10ヶ月くらい、最も多い例は1年数ヶ月程度です。
厳しい北極圏での生活の術を学んでいく必要のある野生の子と違い、
動物園で生きていく子は、発育も良く、1年も親元で暮らせばじゅうぶんだと考えられます。

イコロとキロルに限らず、彼らの姉にあたるツヨシ・ピリカも同様に親離れを経て、元気に暮らしています。
また、両親のデナリとララもそれぞれ生後1年5ヶ月あまりで当園に着ており、
こうしてたくましく成長し、4頭もの子供をもうけています。
イコロとキロルは、当分の間きょうだい一緒に暮らしますので心強いはずですし、
子供だけに新しい環境に適応するのも早いと思われます。


ララ


野生下では、母親の栄養不足により交尾しても受胎しなかったり、出産しても1年未満で死亡したり、
といった事例が増えてきています。(一歳未満の死亡率は50パーセント以上ともいわれています)
そのようにして子を失ったメスは、またオスと交尾して出産に備えるのです。
ララに関しては栄養状態には問題がありませんので、デナリが釧路市動物園から戻ってきた際に、
子供たちが身近にいることでララが発情しないことのほうが大きな問題なのです。
また、ララは現在15歳ですが、残すところ今年も含めあと3回くらいしか繁殖のチャンスがないかもしれません。


イコロ

すでに何年も前から、国内でのホッキョクグマの繁殖が行き詰っていることが議論されてきました。
以前よりペアリング・繁殖に関してはそれぞれの動物園で試みてはいましたが、うまくいった例は稀です。
国内で増えなければ海外から導入、ということになるのですが、今ホッキョクグマを
日本に売却する余力のあるロシアやヨーロッパ諸国でも繁殖が順調とは言い難く、
いつか購入することすらできなくなります。

また、国内にいる次世代を担う6才以下のホッキョクグマは9頭いるのですが、
円山系(ララ・デナリの子)かロシア系の血統の子がほとんどです。
この若者たちが繁殖すると近親交配は免れません。
新しい個体が導入されることもなく、また自国内で繁殖することもなければ、この先日本の動物園のホッキョクグマがどうなるかは容易に想像が出来ます。
また、欧米諸国にしてみれば、繁殖実績のほとんどない日本にホッキョクグマを導入させるなんてもってのほか、日本国内で繁殖させる努力をすべき、と考えるのが当然です。
なにしろ、繁殖実績が乏しいにも関わらず、個体を海外から導入し続けた結果、日本のホッキョクグマの飼育頭数は世界で第2位なのです。

したがって、今このとき、ララの世代の繁殖を最優先にし、日本生まれの個体を増やして実績を作り、
種の保存の一翼を担う国として欧米諸国に認めてもらう必要があるのです。

ララとデナリのような相性の良いペアを飼育する動物園は安定して子供を増やしていく努力をし、
子供が生まれていない、もしくは生まれても育っていないところはペアの見直しも含めて繁殖の努力をしなくてはいけません。

これまでは国内の各動物園・水族館が各々独自に動いていましたが、今回はそれに先駆けて、
道内の4つの動物園が集まり、ホッキョクグマの種の保存事業を推進する旨の声明を出しました。
以後は、道内のみでなく、全国の動物園・水族館が同様に連携して動かなければいけません。
それほどまでに、国内のホッキョクグマ界は切羽詰った状況にあるのです。

私たちは、ララやその子供たちの幸福のために尽力しています。
人間の都合、まして営利などのために繁殖を優先しているわけではありません。

何卒ご理解ください。

どうぞ、快くイコロとキロルを送り出してくださいますよう、お願い申し上げます。


札幌市円山動物園



20100219-05.jpg


様々な考え方があって然るべきだと思うのですが、快く送り出して頂きたいと願っています。


明日はいよいよ送る会です。
どうぞ暖かい格好でお越し下さい。

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