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マイケル治療中
Posted by vetblog on 2011年4月24日(日) 14:29
皆さんお久しぶりです。
メガネ獣医2号です。
ここ数日のうちに来園された方の中にはお気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、オオカンガルー一家のお父さん『マイケル』が体調を崩し、現在治療を行っております。
少し前までのマイケル。胸筋のムキムキぶりが、調子の良さを表しています。
今日はその様子をご紹介しようかと思います。
1回目のブログで獣医ネタは他の獣医に任せると宣言したにもかかわらず、舌の根も乾かないうちに獣医ネタに頼るあたり、いかにネタに困窮しているか我ながら透けて見えますね。
さて、発端は4月17日の日曜日。
ご存知の方も多いかもしれませんが、カンガルー館で密かな人気の親子(兄弟)ゲンカ。
オス同士が力比べをするわけですが、これが始まるといつの間にか人だかりができるほどの人気でした。
まずはにらみ合い
自分の強さを誇示するように胸を張り背伸びします
手を合わせてのけん制
主武器の蹴り。尻尾でバランスを取って蹴りを繰り出します。
人間が本気で蹴られると大怪我するほどの威力だそうです。僕は蹴られたことがないので分かりません。
こんなふうにもつれあっていることもあります
これまでは、やはり『父は強し』ということで、マイケルの勝利に終わることがほとんどで、勝者が敗者を追い込むということもなく、お互いケガをすることもありませんでした。
この日もマイケルとその息子ビートは取っ組み合いのケンカをしていたわけですが、この日はなぜかマイケルが負けてしまい、その上かなり激しく追い打ちをかけられたらしく、発見した時には既にぐったりとしている状態でした。
野生動物は通常、弱っている姿をあまり見せることはありません。
野生下ではそれが命取りとなることもあるからです。
となると、マイケルの状態はかなり悪いということが見て取れるわけで、すぐさま獣医師が診察・治療にあたりました。
診察の結果、外傷はそれほどないものの、腹部臓器にダメージを受けていることが分かり、投薬による治療を開始しました。
現在も1日1回午前中に2時間ほどかけて点滴を行っています。
午前中に点滴中のカンガルーの横で、それを眺める短髪メガネの小太りがいることがありますが、決してサボっているわけではなく、マイケルの様子を観察したり、動くマイケルに合わせて点滴掛けを移動させているのです。
もしも見かけることがありましたら、心の中でそっと応援をお願いします。
やっと少しずつですがご飯も食べられるようになり、少しずつ体の力も戻ってきました。でもまだまだ油断はできません。
まだまだ平常時よりは力も弱いので、普段は出来ない爪切りもこの機会にやっています。
マイケルの爪はうまいこと自然に削れず、内側に巻いて伸びています。
自分の体に刺さることはないでしょうが、若干使いづらそうにしていたので、いつか切ってやろうと目論んでおりました。
爪切り後の爪。大分まっすぐになりました。まだ若干曲がっていますが、これ以上やると身が出るので今回はここまでです。
普段やろうとしたら麻酔かけないととてもできないので、ある意味今がチャンスです。
さて、最後になりましたが、ここまで若干明るく書いていますが、決して楽観できる状況ではありません。
まだまだ一日のほとんどを寝て過ごしていますし、起き上がってもしょんぼり首を下げたまま。食欲があることだけが好材料です。
思えば大先輩の獣医さんから『食べれているうちは大丈夫』というような格言めいた言葉を聞いたことがあります。
思い返してみれば、これまで、『もうダメだろう』と思った動物が持ち直したり、予想以上に長く持ってくれたことがありましたが、そんなとき、その動物はしっかりと食べていました。
今回も彼の生命力を信じて、そのサポートをしていきたいと思います。
皆様の温かい応援をよろしくお願いいたします。