札幌100マイル

動物病院だより メガネ獣医奮闘記

現場で働くメガネの獣医3名と動物たちとの悲喜こもごもをお送りします。

2013年12月 の投稿一覧

かわいいダケ…

年末年始は、しろくまサテモードで。




息の凍る寒い朝でも、



雪を撒き散らせて。



寝てみたり、



起きたり。

いつでも変わらず、微笑みを提供してくれています。

でも、彼らは可愛いだけではないのです。
ややぽっちゃりとした体に、たくさんのメッセージを詰め込んでいます。

生物の面白さから、環境問題やら、生態系だとか、
どんな分野でも少しでも深く知ろうと思えば、
色々な角度で好奇心を刺激してくれたり、問題を提起してくれたりします。

ホッキョクグマだけではなく、
動物園の動物たちはそれぞれが様々なメッセージを抱えています。
そんな隠れたメッセージ達をうまいこと皆様に伝えられる2014年にしたいと、
こっそり考えている年の瀬のメガネです。



ちょっと真面目に新年の抱負を語りましたが、



ごろごろ寝正月にも憧れる。

しかしながら円山動物園は3が日も開園。
寝て過ごすことは許されません。

ご来園お待ちしております故、
動物園を、動物たちを、ちょっとだけ深く考えていただけたなら幸いにございます。
不肖メガネ、そのお手伝いさせていただく所存にございます。

餌付けにまつわるエトセトラ

先日動物園の外に出て、勉強してまいりました。



ワークショップ「野生動物への餌付けを考える」に参加。
色々と考えさせられます。



野生動物と人との距離が近くなると、色々と問題が出てきます。
ニュースでもよく取り上げられますが、知床ではクマと人の関係が大問題です。
人の食べ物の味を覚えたクマは、人の生活圏に近づいてきてしまいます。
本来野生動物と人はお互いに適切な距離を保って生活しているものです。
野生動物への餌やりは、その距離感を壊してしまうのです。

動物たちが人の生活圏に入ってしまった場合、人にとっても動物にとっても
悲劇のもとになります。
特にヒグマの場合、人に危害を与えかねないとなれば
駆除の対象になってしまいます。

直接の危害がないとしても
餌付けによって見えない場所で動物たちの自然な行動パターンを崩していたり、
動物同士の関係性を壊していることがあり得ます。
よほど特殊な状況でない限り、野生動物に餌を与えるべきではありません。



配布されていたストップ餌やりキャンディが素敵。
モグモグしながらムハムハ思索に耽ります。

動物園では本来野生に生きる動物たちが餌を食べている場面が見られます。
これは飼育下という特殊な状況であり、
動物たちが餌を食べる姿を通して、動物の形態・生態・習性に対して
理解を深めてもらう意図があるからです。
しかし、やり方次第では誤解を生じかねませんので
動物園スタッフがきちんと説明しなくてはいけませんね。

動物園職員の仕事の一つは、
野生動物と人の架け橋になることだと感じています。
ですから、野生動物との正しい関わりかたを発信していけるように
せっせと情報収集に勤しむのであります。



20131228-01.jpg

20131228-02.jpg

動物園の動物たちを通じて、
野生下での彼らの行動、彼らが本来住む地域の環境や生じている問題、
そのようなことが伝わる展示なりガイドなりができやしないかと、
日々悶々としております。

飾りじゃないのよ マズルは

円山動物園のニュースターをご存知ですか?



お察しの通り、熱帯鳥類館でフンフンいってるアカハナグマです。

以前にもご紹介したのですが、新入り動物の恒例に従い
展示デビュー前の彼らは動物病院に滞在していました。

決して体調を崩していたわけではなく、
検疫を行い、重大な感染症を持っていないかチェックしていたのです。

新入りのメス2頭は中国からの来園です。
国内移動の場合よりも検疫が重要となります。

順調に検疫をパスしたハナグマたちですが、
展示場のセッティングに時間を要し、
想定よりも病院暮らしが長くなってしまいました。

病院はメガネ共のテリトリーです故、ハナグマのお世話もメガネの仕事に。



先行のオス、ホセはすぐに馴染んでくれました。

もう、馴染むどころか、





存分に愛嬌を振りまいています。
常に動き回っております故、動画のキャプチャーでご容赦ください。
彼の魅力は動画のほうが伝わるのですが、ブログではこれが限界。
気軽に動画をお届けできるツールがあるといいのですが。

ところがところが、後発であるメスのボニータとベロニカは、



とにかく警戒しており、人が近くにいる間は
高い場所に避難して全く降りてこようとしません。

そのような状況が続けば、展示場に引っ越した後、
展示に支障がでかねません。

そこで病院滞在中に少しでも人に慣れてもらおうと、
ちょっとしたトレーニングを実施しておりました。



トレーニングと申しましても、芸をさせるわけではなく、
動物園業界では、動物のケアをするのによく利用されます。
円山動物園では写真のように、キリンの削蹄のために
ターゲットトレーニングの技術を取り入れています。

最近トレーニング技術が動物園の様々な場面で利用されています。
特に、血液検査をはじめとする様々な検査を許容してもらうためのトレーニングは、
獣医にとって非常にありがたいものです。

今回は少しずつハナグマたちに人間に慣れてもらいました。
メガネもトレーニング初心者ですので、簡単なところから。

その結果、



毛繕いや、



匂い嗅ぎや、



鍵束強奪など、多彩な動きを見せてくれるようになりました。

アライグマ科で、元々は手先も器用で好奇心旺盛な動物のようですので、
これが本来のハナグマに近い動きなのだと思います。





こちらもホントは動画でお見せしたい。
シューッと降りてくるんですよ、シューッと。
展示場でもご覧になれますので、熱帯鳥類館へ是非。
ハナグマの器用さを実感できます。

メガネの人知れぬ所業の成果か、
ボニータとベロニカは展示場で落ち着いているようです。



餌を物色するベロニカ。

それでも大きな音などには敏感ですので、優しく見守っていただけたならば幸いです。
これからはバトンタッチした飼育員さんが大事にしてくれることでしょう。

それにしても、げに気になるは、ハナグマの鼻。

20131216-14.jpg

こちらの想定よりも3割ぐらい長いのです。
実際に目にすると、思いのほか長いのです。
長っ、となるのです。
この感覚を是非皆様にも体感していただきたい。

20131216-15.jpg

昆虫食傾向が強く、長い爪で穴を掘り、長い鼻で探索するようですが、
長過ぎやしないか、鼻っ。そんなに長い必要があるのか、鼻っ!!

はっ、申し訳ございません、取り乱してしまいました。
兎にも角にも、見れば見るほど気になる動物ですので、
動いている彼らをご覧になってみてくださいませ。

pageTop