札幌100マイル

動物病院だより メガネ獣医奮闘記

現場で働くメガネの獣医3名と動物たちとの悲喜こもごもをお送りします。

2011年12月 の投稿一覧

年の瀬だから

年末の閉園日ですが、獣医のお仕事はいつもどおり。

こんなんやら



こんなんやら



こんなんやら



割と忙しく過ごしております。

写真の内容が詳しくお知りになりたい方は、
是非是非、正月3が日の円山動物園へいらっしゃませ。

ドキドキ体験「獣医さんの園内ガイド」を実施予定です。
11:00から約一時間、メガネの獣医と一緒に園内を闊歩しようという、
大胆かつ、画期的かつ、先行き不透明なイベントでございます。

10:30から整理券を配布予定です。人数限定なのでお早めに。



いつもと同じようでも、大掃除くらいはいたします。



年末だもの。

ただし、来年への繰り越しがまだまだ大量に…。



何故、よりにもよって年末に、本棚が崩壊したのでせうか。



それでは、2011年、
本ブログをご覧くださった皆さま、
円山動物園へいらっしゃった皆さま、
私がお世話になったたくさんの方々へ
よい2012年をお迎えください。

雪の降った朝は

昨日の午後から円山に降り始めた雪は、
居残り後、車の雪除けが憂鬱になるほどで、
そして夜が明け、








動物園の景色が一変しておりました。
除雪に勤しむ方々には憚られますが
元南国人間の私といたしましては、未だ心躍る光景にございます。

さて、白く塗りつぶされた園内で動物達の反応は…



あまり、変わりありませんでしょうか?
いつでもテンション高めのオオカミ家族でございますれば、
致し方ありますまい。





こちらは全力で雪と戯れています。



ごろごろと、



ごろごろと、



それはもう、ごろごろと。


北極には及ばずとも、北海道の雪景色に本当によく映えます。
この白と白のコントラストが見られるのは、実は大変に希有。


サル山にて



まだ暗いうちは、猿っ子1頭姿が見えなかったのですが、
日が昇り始めますと、



暖を取りに、集まってきました。
寒さに強いとは申せど、津軽海峡は越えていない猿たちでありますれば、
札幌の冬は堪えるのでありましょう。



太陽の光と、仲間の温もりで身体を温めています。


常夏育ちの人間といたしましては、冬の朝は大変に辛いもの。
しかしながら、動物達の普段とは違う様子が見られると思えば、
布団の誘惑も、炬燵の魔力も断ち切られるというもの。


冬の動物園、雪の円山も、いと趣深いもの故
皆様、お召しものを多目に着込み、携帯懐炉を1つ2つ忍ばせて
是非是非足をお運びくださいませ。



いらっさいませ~。

予防予防

少し前のニュースになりますが、円山動物園から浜松へ移動した
ダイアナモンキーがエキノコックス症により死亡しました。



詳細はこちら

日本国内では北海道のみに発生する病気ですので、残念ながら円山動物園で
感染してしまったと考えられます。

道内で生活する限り、我々も含め、上手に予防していくことが重要な病気です。
予防措置が十分でなく、飼育動物を感染させてしまったことは、とても残念です。

これからはさらに予防策を徹底して、再発防止に努めます。


今日は動物園での予防のお話。


人から人、動物から動物、時には動物から人、人から動物と
細菌やウイルスが原因となって感染してしまう病気が感染症です。

感染症の対策には、兎にも角にも予防が重要です。
予防策の一つが、感染ルートの遮断です。

動物園に来ると、見かける獣舎に張り巡らされた細かい網。



実はこれ、感染症対策です。野鳥が獣舎の中に鳥インフルエンザなどの
病原体を持ち込まないために設置しています。
動物を観察する時には邪魔になることもありますが、
実はとても重要な役割を果たしています。
動物が見やすく、且つ動物を守るもっといい方法があればいいのですが、
ジレンマです。


バックヤードをちらりとご覧になった方は
目にしたことがあるかもしれません。



消毒槽です。
用途に合わせた消毒液が入っていて、靴底をこの中に浸してから獣舎に入ります。
これは飼育員をはじめとする動物園スタッフが
足についた病原体を獣舎に持ち込まないようにするものです。
病院体験や裏側探検のときには、お客様にもご協力いただきます。



基本の手洗いも大切です。地味なようで、立派な感染症予防です。



他にも感染症対策として、重要になってくるのがワクチン接種です。
感染ルート対策をくぐりぬけて、万が一病原体が入ってきても大丈夫なように
先手を打ちます。
ワクチンを接種して、あらかじめ体の中に抗体を作っておくことで、
感染しても大丈夫なようにしておくのです。

動物園の動物でもワクチン接種を実施しています。



ニワトリのワクチン接種の光景です。1羽1羽捕まえて注射していきます。
50羽以上もいるので、かなりの重労働。



注射器の数だけで、大変なことに…



ばんばん捕まえて、びしびし注射しないと、日が暮れます。



逃亡を図る子もいますが、数分後には同じ運命。


他には、オオカミやネコ科の猛獣にもワクチン接種します。
犬や猫と共通の病気に感染するリスクがありますので、
犬用猫用と同じワクチンを接種します。
フィラリアの予防もします。
動物園在住の猛獣といえど、このあたりは家庭の犬や猫と変わりません。

色々と紹介してきましたが、感染症との闘いはまだまだまだたくさんあります。
感染症は、動物を扱ううえで、とても重要な問題なのです。

感染症予防のお仕事も、獣医の大事な仕事の一つ。
意外にも人の感染症予防でも、獣医が活躍していたりします。
調べてみると、きっと、へーっとかほーっとか思われることでしょう。

だから余計に、今回のエキノコックス感染は残念です。
同じ轍を踏まぬよう、今後とも努力していきたいと思います。



お仕事アピール

こんばんは、メガネ3号でございます。
園内はすっかり雪景色となり、冬本番といったところにございましょうか。
この時期になりますと、毎朝の炬燵との別れがいと辛うございます。

さて、昨今の本ブログ、旅に出たり旅人を迎えたりの記事ばかり。
眼鏡の本分を忘れられてはいまいかと懸念いたしまして、
眼鏡本来の仕事模様をご紹介いたしたく存じます。


本日は、足を悪くしたノスリの治療。



趾瘤症という病気がございます。
床材や止まり木の不適合、衛生状態の悪化、栄養状態不良等々の理由により、
足裏が肥厚し、細菌感染を起こしてしまう鳥類の病にございます。



先日その趾瘤症の治療を行ったノスリの回復状態をチェック。
まずまずの回復具合にございました。
あわせて、傷口の洗浄消毒、テーピング、爪のケアを行います。



…写真を載せども載せども、写っているのは1号眼鏡と武闘派飼育員の姿のみ。
3号眼鏡は作業の隙を狙いシャッターを切るのに勤しんでおります故、
仕事ぶりをアピールしたくてもできないジレンマに苛まれるのでございます…。


ここからは、本当に、本当にどうでもいい話。


旧メガネ3号、引退後も元気に過ごしております。



歴代のメガネ達と共に、華のリタイアメント生活。

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