2013年12月16日 の投稿一覧
飾りじゃないのよ マズルは
Posted by vetblog on 2013年12月16日(月) 21:40
円山動物園のニュースターをご存知ですか?
お察しの通り、熱帯鳥類館でフンフンいってるアカハナグマです。
以前にもご紹介したのですが、新入り動物の恒例に従い
展示デビュー前の彼らは動物病院に滞在していました。
決して体調を崩していたわけではなく、
検疫を行い、重大な感染症を持っていないかチェックしていたのです。
新入りのメス2頭は中国からの来園です。
国内移動の場合よりも検疫が重要となります。
順調に検疫をパスしたハナグマたちですが、
展示場のセッティングに時間を要し、
想定よりも病院暮らしが長くなってしまいました。
病院はメガネ共のテリトリーです故、ハナグマのお世話もメガネの仕事に。
先行のオス、ホセはすぐに馴染んでくれました。
もう、馴染むどころか、
存分に愛嬌を振りまいています。
常に動き回っております故、動画のキャプチャーでご容赦ください。
彼の魅力は動画のほうが伝わるのですが、ブログではこれが限界。
気軽に動画をお届けできるツールがあるといいのですが。
ところがところが、後発であるメスのボニータとベロニカは、
とにかく警戒しており、人が近くにいる間は
高い場所に避難して全く降りてこようとしません。
そのような状況が続けば、展示場に引っ越した後、
展示に支障がでかねません。
そこで病院滞在中に少しでも人に慣れてもらおうと、
ちょっとしたトレーニングを実施しておりました。
トレーニングと申しましても、芸をさせるわけではなく、
動物園業界では、動物のケアをするのによく利用されます。
円山動物園では写真のように、キリンの削蹄のために
ターゲットトレーニングの技術を取り入れています。
最近トレーニング技術が動物園の様々な場面で利用されています。
特に、血液検査をはじめとする様々な検査を許容してもらうためのトレーニングは、
獣医にとって非常にありがたいものです。
今回は少しずつハナグマたちに人間に慣れてもらいました。
メガネもトレーニング初心者ですので、簡単なところから。
その結果、
毛繕いや、
匂い嗅ぎや、
鍵束強奪など、多彩な動きを見せてくれるようになりました。
アライグマ科で、元々は手先も器用で好奇心旺盛な動物のようですので、
これが本来のハナグマに近い動きなのだと思います。
こちらもホントは動画でお見せしたい。
シューッと降りてくるんですよ、シューッと。
展示場でもご覧になれますので、熱帯鳥類館へ是非。
ハナグマの器用さを実感できます。
メガネの人知れぬ所業の成果か、
ボニータとベロニカは展示場で落ち着いているようです。
餌を物色するベロニカ。
それでも大きな音などには敏感ですので、優しく見守っていただけたならば幸いです。
これからはバトンタッチした飼育員さんが大事にしてくれることでしょう。
それにしても、げに気になるは、ハナグマの鼻。
こちらの想定よりも3割ぐらい長いのです。
実際に目にすると、思いのほか長いのです。
長っ、となるのです。
この感覚を是非皆様にも体感していただきたい。
昆虫食傾向が強く、長い爪で穴を掘り、長い鼻で探索するようですが、
長過ぎやしないか、鼻っ。そんなに長い必要があるのか、鼻っ!!
はっ、申し訳ございません、取り乱してしまいました。
兎にも角にも、見れば見るほど気になる動物ですので、
動いている彼らをご覧になってみてくださいませ。