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冬プロレポート~冬の円山動物園から~

冬の動物園プロジェクト、略して冬プロのメンバーが冬の動物園の魅力を発信

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『獣医』タグの付いた投稿

動物の麻酔!

みなさま、こんにちは。
本日のブログは私、メガネ獣医1号が担当いたします。

ここのところ動物の移動や治療などで動物に麻酔をかけることが多くなっています。今月中旬だけで、トラ、ライオン、チンパンジー、ホッキョクグマと四件の麻酔をしました。そこで今日は、冬プロとは関係ありませんが、動物の麻酔についてちょっとお話しようと思います。




動物園の動物たちは野生の動物に比べれば人になれていますが、それでも治療や検査の際には危険防止(人と動物双方の)のために麻酔をかけなくてはいけないケースが少なくありません。

ヒトや家畜、犬、猫などでは一般的な検査や採血程度は当然無麻酔で行いますし、全身麻酔をかける場合は事前に血液検査を実施して全身状態に異常がないことを確認してから麻酔を実施します。

しかしながら動物園の動物たちは血液検査や一般的な検査をするためには麻酔をかけないといけません。そのため全身状態を確認できないまま麻酔をかけることとなるため、より慎重な麻酔管理が必要となります。先月ゴマフアザラシのキカナイが麻酔中に循環不全により亡くなってしまいましたが、動物の麻酔は常に危険を伴うものなのです。




・・・と、楽しい冬プロブログのはずが、ちょっと堅苦しくなってしまいましたね。

それではここからは画像をまじえて楽しく?いきましょうか

まずは、2月8日 アムールトラのリング(おす)です。一昨年の12月に釧路市動物園さんからお借りして、当園のメスのアイとペアリングをしていましたが、契約期間が満了のため、釧路市動物園にお返しすることになりました。




吹き矢で麻酔をかけて麻酔のかかり具合を確認しているところです。
当然中に入る前に棒でつついたりして反応を見ますが、それでも中に入るときはドキドキです!






酸素吸入用のマスクをつけて、心臓の音を確認!






採血をして!



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身体測定をして!


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獣舎から移動用の檻までは人力で運びます。よっこらしょっと!!
体重は151.4kg、重いです!


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移動檻に移し終えたら麻酔を覚まします。
拮抗薬(麻酔を覚ます薬)をお尻に注射!



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麻酔から覚醒!!
無事に麻酔から覚めて、翌朝釧路市動物園へと移動していきました。ほっ!

今回のアイとのペアリングでは残念ながら繁殖にいたりませんでしたが、リング自体は釧路と多摩で繁殖実績のある優秀なオスですので、今後も国内のアムールトラの繁栄のためにも繁殖にがんばってほしいですね。
リング!一年間ありがとうね~






お次はライオンのメス 「ティモン」
前足の爪が伸びすぎて肉球につきさってしまったため、
全身麻酔下で爪切りをしました。
ティモンは年齢が15歳と、かなりの高齢のため、麻酔には細心の注意が必要です

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麻酔をかけて広い部屋に移動



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ティモンのお口!舌の表面はトゲトゲです!





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爪が伸びて肉球にぶっすりささってますね。
野生のライオンなどは獲物を捕まえるときに爪を使うので自然に爪がけずれていきますが、飼育下の動物は獲物を捕まえることがないので、自分で爪とぎをしてくれないとこのように爪が伸びてきてしまいます。




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爪きりを パチン!パチン!



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はい!きれいになりました!
高齢のためか麻酔のさめが悪く、心配しましたが、
なんとか無事に終了しました。

ティモンさん、これからは自分で爪をといでね~





お次はチンパンジーのレディーさんです。

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チャーボー兄ちゃんにかまれた傷の治療で麻酔をしました。
まずは鎮静剤を飲ませると、だんだんとうとうとしてきて・・・

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ふわ~ねむーい



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ZZZZZ~  ZZZZZ~


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麻酔がかかったところで病院に移動して手術開始!


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新しくできた傷は軽症でしたが、
古い傷はちょっと悪化していたため、洗浄後汚染部位を除去し、縫合しました。




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筋肉を縫って~


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皮膚を縫ってー、はい終了です。
もう怪我するなよーと願っていたのですが、数日後に薬をあげようとしてレディーと他のチンパンジーを分けた際に、再度怪我をしてしまいました。


最後にホッキョクグマのアイラの捕獲を紹介しようと思いましたが、
長くなってしまいましたので今日はこの辺で終わりにいたします。
続きはまたの機会にしたいと思います!お楽しみに~!



正月三が日は入園料無料ですよ~&治療初め

みなさま、新年明けましておめでとうございます。

新年二日目のブログ担当は、私、眼鏡獣医一号でございます。



今年のお正月三が日は円山動物園無料開放ということで、
昨日1月1日は三千人以上のお客様に来園していただきました。

明日3日までは無料で、しかもお正月だけのドキドキメニュー特別バージョンが
盛りだくさんとなっていますので、ぜひお越しくださいね。



また、2012年干支展ということで、サンピアザ水族館のご協力を受け、
熱帯動物館にて今年の干支ドラゴンにちなんだタツノオトシゴ(オオウミウマ)の
展示を行っています(英語ではドラゴンではなくシーホース(うみうま)ですが・・・)。
水槽の中を優雅に?浮かぶ(沈む)タツノオトシゴたちを是非ご覧ください。


ぱっと見グロテスクだけど・・よく見るとパタパタ動く小さなひれや
つぶらな瞳がぷりちーです



毎年人気の顔だし看板もあるよ!


さらにさらに、明日1月3日にはサンピアザ水族館で学芸員をされている岡田さんを
お呼びして特別講演「干支の生き物 海に棲む辰」を開催します。




みなさんタツノオトシゴっていう名前は知っているけど、実際のところどんな生き物で、どんな生態をしているなのかはよくわからないですよね(そう言う私もタツノオトシゴについての知識はほぼゼロです!)。
コミカルでミステリアス?なタツノオトシゴのお話しを聞いて、タツノオトシゴ博士になりましょう!
1月3日午後1時30分は熱帯動物館の二階の講演会場へGO!!




と、ひととおり宣伝をしたところで突然話は変わりますが、
昨年はユキヒョウのリアンやシンリンオオカミのショウとユウキ、
マサイキリンのナナスケなど多くの動物種で新たな生命が誕生したうれしい一年でした。
しかし、生れてくる生命があれば、惜しまれながらも亡くなっていく生命もあります。
マレーバクの円夏、チンパンジーのトニー、カンガルーのマイケルなど100頭近くの
動物たちが天国へ旅立って行きました。

動物園では毎年1割近くの動物たちが老齢や病気などで死んでいきます。
私たち獣医師は飼育職員と協力して動物たちが健康でストレスなく生活し、少しでも長生きしてもらえるように今後も努力を続けていきたいと思います。

毎年、大晦日になると来年は動物たちが皆怪我もなく健康でありますようにと
願って新年を迎えるのですが、なかなか希望通りにはいかないものです。
昨年の元旦は、ポニーが死産し、一昨年の元旦はチンパンジーのチャコが膝と手首に
大けがを負って全身麻酔で手術するなど、年の初めからトラブルに見舞われました。

「今年こそはみんな元気でいてね」と願いつつ1月1日、動物園に出勤したのですが、朝の段階では特に病気やけがをしている動物もおらず、安心していました。

が・・・午後三時ころに無線で私を呼ぶ声が・・・
「お客様からの通報でオオタカが血を流しているので見に来てください」

そういえば前日の大晦日の日にフクロウの森にいるオオタカを、いままで飼育していた部屋から隣の部屋に移動したな・・
おそらく慣れない獣舎で暴れて翼でもちょっとぶつけたんだろうなと、軽い気持ちで見に行きました。



どれどれ、おっ元気に飛び回ってるじゃないか!






あっ?胸に結構血が付いてるぞ!?やっぱりどこかぶつけたのかな?
でももう止まってそうだな
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念のために近くで見てみるかと思い獣舎に入ってみると・・・

なんじゃこりゃ~!!

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もともと神経質な猛禽類ですが慣れない獣舎に移動したためか
肢の指の爪をどこかにひっかけてしまい、
爪が完全に剥がれてしまったようです。

捕獲し圧迫や止血剤では止血できなかったため、出血部位を焼灼し、
ようやく止血することができました。
出血量も意外と多く、そのまま気づかなければ出血多量で死んでいたかもしれません。
動物の異常を発見し、通報して下さったお客様、おかげさまで大事に至ることなく、治療することができました。本当にありがとうございました。

今年も元旦から動物が怪我をしてしまいましたが、今後も動物が安心して生活できるよう努力していきたいと思います。


最後になりますが、皆さま、今年もどうぞよろしくお願いいたします。


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