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by 大熊 一精

大熊 一精
プロフィール

1967年生まれ、埼玉県川越市出身。
銀行系シンクタンクに12年間勤務の後、2002年から札幌市に移り住み、現在はフリーランスのコンサルタントとして活動中。 「一日一冊」を目標に、ジャンルを問わずに、本を読んでいます。読書量全体のうち、電子書籍端末で読む割合は3割ぐらい。 札幌市民になってからは、毎年、コンサドーレ札幌のシーズンチケットを購入し、2014年シーズンで13年目。週末ごとに悲しい思いをすることのほうが多いのに、自分が生きているうちに一度ぐらいはJ1で優勝してほしいと願いながら、懲りずに応援を続けてます。
著書「北大の研究者たち 7人の言葉」(エイチエス、2012年刊)


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『本で床は抜けるのか』西牟田靖

『本で床は抜けるのか』西牟田靖(本の雑誌社,2015年3月刊)

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本書は、著者が仕事場として借りた古い木造アパートの2階に本を置いたところ、文字通り足の踏み場もないほどに床が本で埋め尽くされた−という場面から始まります。本の運搬を手伝ってくれた便利屋からの「よく思い切りましたね」との言葉に、著者は《含みを持たせた疑問がわいた。言葉の真意が知りたくなった。部屋のサイズと荷物の量が見合っていない、と言っているのだろうか》と不安になり、「もしかすると床が抜けるってことですか」との言葉を発してしまいます。

 

荷物を入れる前、借りる部屋の下見をした際、《押し入れへ足を踏み入れた時メリメリと板が裂ける音がして、血の気が引いた》著者は、まず、自分自身が直面している重大な問題として、床が抜けないような大量の本の並べ方に取り組むこととなります。著者は、実際に本の重みで床が抜けた体験を持つ人から話を聞き、建築の専門家に話を聞き、「本で床が抜けるのか」という命題に対する答えは、YESでもありNOでもある、との結論を得ます。

 

そこまでは、本書の、まだまだ序盤です。そもそも「本で床が抜けるのか」という心配をしなければならないのは、本の量が多いからです。心配をなくしたいのであれば、本を減らせばいい。手っ取り早いのは、とにかく本を処分してしまうこと。その次が、本を裁断してスキャンして(いわゆる「自炊」をして)手持ちの本を電子化すること。そうしたことができないのであれば、本を収納する場所を、生活の場所とは別に、どこかに用意するしかない。

 

そんなことはわかっているけれど、本好きが、あるいは、いつか仕事で使うかもしれないと思ってたくさんの本を所蔵している人が、本を処分する、あるいは電子化する(紙の本を失うという意味ではこれも一種の処分です)というのは、どうしたって、心の痛みを伴います。そんなことしちゃって、後悔しないのか?あるいはまた、本を収納する場所を用意するとはいっても、そのための資金はどうすればよいのか?

 

そうした疑問に対し、著者は、多くの先達への取材を通じて、答えを=かならずしも正解ではないけれど一定の答えを=導き出していきます。そして衝撃のラスト。これは、ここには書かないでおきましょう。

 

 

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