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冬プロレポート~冬の円山動物園から~

冬の動物園プロジェクト、略して冬プロのメンバーが冬の動物園の魅力を発信

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感謝デー

今日から3日間は円山動物園感謝デーです。
通常行っている「みんなのドキドキ体験」と「講演会」を実施します。

今日は、講演会のうち、さきほど終わったばかりの「ホッキョクグマのガイド」についてご紹介します。

ホッキョクグマ担当の河西飼育員が、絶滅危惧種であるホッキョクグマについて、なぜ減少傾向にあるのかをわかりやすく解説しています。


特に今注目のキャンディとデナリの同居状況は初日の様子も含め現在の2頭の相性の良さなどを紹介しています。

ホッキョクグマ好きには関心のあることばかりです。

3月21日(月・祝) 14:00~も動物科学館ホールで行いますので、ぜひ聞きに来てくださいね。
普段聞いてみようと思っていたこともいっぱい質問できます!

そして、キャンディとデナリの様子も必見です。



今日の会場の様子

…みなさん、もうちょっと前の席座った方がよく見えますよ♪


ご来園できない方にもトーク内容を少し紹介します。

野生の生息地域で起きている問題として、よく耳にするのが「氷が溶けて北極海沿岸で氷ない期間が延びている」という点ですが、各メディアで特集されたとき以外はこれによってどういう事態になっているのということが紹介されないこともしばしば。

今回の解説の中ではもちろんその辺にも触れており

ということで、悪循環しての個体数減少ということが想像できます。

このうち、環境ホルモンが地球の大気や海流により、北極や南極にも流れ着くということがわかっていること(インターネット上でも書いているページがありました。参考まで)、そのためそこに生息するホッキョクグマへの生殖機能への影響が懸念されていることが紹介され、いくつもの因子が現在2万頭と言われるホッキョクグマに降りかかっていることがわかります。

また、野生の個体数減少を踏まえて、動物園が特に果たさなければならないこととして「種の保存」の取り組みがあり、積極的な繁殖計画を進めていることを紹介しました。

北海道内4園で行った2010年の繁殖計画

2011年に行う全国8園館で行う繁殖計画(釧路のクルミ以外は完了!)


興味深いのは、海外からの日本の評価。
飼育下でのホッキョクグマの繁殖には、血統管理上、生息地域をもつアメリカやロシアの協力が必要と考えているが、日本の2000年以降の繁殖実績を見ても、6頭(円山のツヨシ、ピリカ、イコロ、キロル、和歌山のアドベンチャーワールドのミライ)しかいないので、日本に個体を送っても繁殖できないから返って個体が減少するというふうに見られること、ロシアからは全国でもすでに何頭も日本に送り出しているが繁殖できていない状況などから、今後新しい個体導入がなかなか期待できないということです。
(ちなみにロシア出身血統のホッキョクグマは、今後繁殖適齢期を迎える7歳以下でも男鹿「豪太」大阪天王寺「ゴーゴ」静岡日本平「ロッシー」和歌山アドベンチャー「ミライ」仙台八木山「カイ」「ポーラ」の6頭いる。※繁殖適齢期を国内の繁殖実績から8才~と考えたとしての目安)

円山動物園では、日本よりだいぶ前から繁殖対策を考えているヨーロッパと、動物交換を検討していますが、ヨーロッパでも日本と同様に、種別調整も含め繁殖の難しさに直面しているようで、動物交換には慎重とのこと。



2011年現在、日本国内にいる7歳以下の個体は、計11頭。そのうち円山の血統は5頭で約半分。将来の国内繁殖はかなり困難な事態ということが、これらのことから伺えます。

今日本で行っている繁殖プロジェクトの理由が改めて再確認できる講座です。
ご来園いただける方は、21日(月・祝)14時~動物科学館ホールでありますので、ご家族・ご友人一緒にぜひお越しくださいね。

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