とことん!雪まつり -さっぽろ雪まつり公式ブログ-
さっぽろ雪まつりの魅力や舞台裏を実行委員会スタッフが紹介する公式ブログ◆第70回さっぽろ雪まつりは2019年1月31日(木)~2月11日(月・祝)に開催します。 なお、ブログの内容に関係のないコメントは、予告なく削除させていただく場合があります。
by さっぽろ雪まつり実行委員会
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Posted by さっぽろ雪まつり実行委員会 on 2008年2月12日(火) 19:30
粉雪の舞い散る寒い朝、とうとうこの日がきてしまいました。
今日は、約1ヶ月に渡り、その成長を見守り、ときに修復や化粧直しをし、ともに多くのお客様をお迎えしてきた雪像が、元の雪に還る日です。
4丁目東側大雪像「ナルニア国物語/第2章カスピアン王子の角笛」の取壊し作業は、夜が明けきる前に始まりました。
雪像は、物理的には雪のかたまりにすぎません。それでも、生き物の形をした像には、私達はただの物ではない何かを感じてしまうものです。取壊し作業に入る前に、瞳を真っ白な雪で覆っていきます。
ライオン、仮面、ねずみ、馬、そして美しい王子。
お疲れ様、ありがとう...ひとつひとつ、そんな思いをこめながら。
ショベルの最初のひとかきがステージの一角を崩すと、その様子を見守る私達も、一瞬息が止まる思いがします。雪まつりが終った今、役目を終えた雪像の取り壊しは、安全確保のためにどうしても必要なこと。毎年繰り返してきた作業ですが、この瞬間の特別な思いには、慣れるということがありません。
多くの人を魅了した王子と馬が、その形を失っていきます。瞳をふさいであるとはいえ、重機の操作をする方にとっても、見守る私達にとっても、この作業は想像以上につらいものです。
作業をビデオカメラで記録している隊長の背中にも、声をかけることができません。
雪像制作は、ただひとつ、雪まつりにいらしたお客様に喜んでいただくためのもの。制作期間も、雪まつりの会期中も、事故の起きることなく、美しい雪像を、札幌の冬を、楽しんでいただくために、大雪像は作られました。今、同じ目的のために、消えてゆく雪像を、私達は見送っています。
雪は、私達の都合にはお構いなく降り積もります。日々の暮らしを支障なく続けるために、北国に暮らす私達は、長い冬の間、毎日が雪との戦いです。
どうしても雪は降るのなら、それを重荷とのみとらえるのではなく、雪を、長い冬を楽しんだ方がいい。そんな思いから、各地の雪祭・冬祭は始まったのでしょう。
子どもの頃、雪まつりの滑り台を楽しみにしていた、という札幌市民の方は多いと思います。人口190万人近くを数える大都市札幌にあって、雪まつりが市民の“ふるさと”であれたら。遠くの友人を招待して見せてあげたいと思い、また、遠くにお住まいの方がぜひ見てみたいと思えるものであれたら。
さっぽろ雪まつりは、来年60回を迎えます。
来年もまた、純白の夢よぶ世界のひろばで、たくさんの方々の笑顔に出会えますように。
雪像制作に携わった方々、雪まつり開催を支えてくださった方々、ご来場くださった方々、そしてこのブログを読んでくださった皆様、ありがとうございました。