札幌100マイル

RSS 動物病院だより メガネ獣医奮闘記

現場で働くメガネの獣医3名と動物たちとの悲喜こもごもをお送りします。

by vetblog

プロフィール

札幌市円山動物園

メガネ1号
子育て奮闘中。1号なだけにリーダー格。

メガネ2号
AGA治療を真剣に検討中。昇進につき欠番。

メガネ3号
草食系。出身地詐称疑惑に悩み中。

(おうち)メガネ4号
略してΩ4。追いつけ追い越せ修行中。

(おうち)メガネ5号
ねこ好き。


投稿したブログ数:180件

予防予防

少し前のニュースになりますが、円山動物園から浜松へ移動した
ダイアナモンキーがエキノコックス症により死亡しました。



詳細はこちら

日本国内では北海道のみに発生する病気ですので、残念ながら円山動物園で
感染してしまったと考えられます。

道内で生活する限り、我々も含め、上手に予防していくことが重要な病気です。
予防措置が十分でなく、飼育動物を感染させてしまったことは、とても残念です。

これからはさらに予防策を徹底して、再発防止に努めます。


今日は動物園での予防のお話。


人から人、動物から動物、時には動物から人、人から動物と
細菌やウイルスが原因となって感染してしまう病気が感染症です。

感染症の対策には、兎にも角にも予防が重要です。
予防策の一つが、感染ルートの遮断です。

動物園に来ると、見かける獣舎に張り巡らされた細かい網。



実はこれ、感染症対策です。野鳥が獣舎の中に鳥インフルエンザなどの
病原体を持ち込まないために設置しています。
動物を観察する時には邪魔になることもありますが、
実はとても重要な役割を果たしています。
動物が見やすく、且つ動物を守るもっといい方法があればいいのですが、
ジレンマです。


バックヤードをちらりとご覧になった方は
目にしたことがあるかもしれません。



消毒槽です。
用途に合わせた消毒液が入っていて、靴底をこの中に浸してから獣舎に入ります。
これは飼育員をはじめとする動物園スタッフが
足についた病原体を獣舎に持ち込まないようにするものです。
病院体験や裏側探検のときには、お客様にもご協力いただきます。



基本の手洗いも大切です。地味なようで、立派な感染症予防です。



他にも感染症対策として、重要になってくるのがワクチン接種です。
感染ルート対策をくぐりぬけて、万が一病原体が入ってきても大丈夫なように
先手を打ちます。
ワクチンを接種して、あらかじめ体の中に抗体を作っておくことで、
感染しても大丈夫なようにしておくのです。

動物園の動物でもワクチン接種を実施しています。



ニワトリのワクチン接種の光景です。1羽1羽捕まえて注射していきます。
50羽以上もいるので、かなりの重労働。



注射器の数だけで、大変なことに…



ばんばん捕まえて、びしびし注射しないと、日が暮れます。



逃亡を図る子もいますが、数分後には同じ運命。


他には、オオカミやネコ科の猛獣にもワクチン接種します。
犬や猫と共通の病気に感染するリスクがありますので、
犬用猫用と同じワクチンを接種します。
フィラリアの予防もします。
動物園在住の猛獣といえど、このあたりは家庭の犬や猫と変わりません。

色々と紹介してきましたが、感染症との闘いはまだまだまだたくさんあります。
感染症は、動物を扱ううえで、とても重要な問題なのです。

感染症予防のお仕事も、獣医の大事な仕事の一つ。
意外にも人の感染症予防でも、獣医が活躍していたりします。
調べてみると、きっと、へーっとかほーっとか思われることでしょう。

だから余計に、今回のエキノコックス感染は残念です。
同じ轍を踏まぬよう、今後とも努力していきたいと思います。



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