札幌100マイル

動物病院だより メガネ獣医奮闘記

現場で働くメガネの獣医3名と動物たちとの悲喜こもごもをお送りします。

2012年02月 の投稿一覧

いざ、釧路3 ‘そして円山へ’

3回に亘りお送りして参りました、メガネ釧路行も今回が最終回。

3度も更新しているうちに、色々とお伝えしたいことも溜まってきているのですが、
今宵も道東紀行にお付き合いくださいませ。



怪しげなある日のメガネ。
何をしているかは、もう少しの間、秘密。




リングは釧路へ帰ってしまいましたが、
反対に、円山へやってくる方も。




似ていますが、この方ではない。




可愛いけれど、残念ながら違います。




…個人的には、すぐにでもスカウトしたいのですが…。
すまない、連れては帰れない。



この度、円山動物園へ移籍となったのは、こちら。



シマフクロウ。
世界最大級のフクロウの仲間であり、北海道の自然の象徴的存在。
初めて目にしたときの存在感たるや。
この種を受け入れる責任をひしひしと感じております。
円山に引っ越した個体は「クック」といいます。
以後、お見知りおきを。

大型猛禽類の捕獲は、相応の危険が付きまとうのですが、
流石は釧路市動物園の獣医師の面々



こうして



こう。

鮮やかな捕獲テクにございます。



鳥類保定用のジャケットを着せられています。これ、欲しい。
獣医にとって動物の保定は非常に重要なのですが、
このようなアイテム一つでスムーズに不動化できたりもするのです。これ、欲しい。

無事輸送ケージへ収容し、再びのロングドライブ。





硬いシートに同行者の体が悲鳴を上げる一方、クックはほとんど身動きせず。
クックにとって、初めての長距離移動。緊張はいかばかりか。



円山到着直後の1枚。
シマフクロウという種を守っていくための、大事な一歩。
獣医として、心して健康管理せねばなりますまい。

非公開の野生復帰施設での飼育故、
皆様にお目にかける機会は中々ございませんが、
可聴範囲が数kmにも及ぶという雌雄の鳴き交わしが
いつか円山動物園内に響き渡る日がくればと、
夢想して止まない2月のメガネにございます。

いざ、釧路 ‘父帰るの巻’

前回更新から日数を重ねたため、予告サブタイトルは既に忘却の彼方。
↑ ので合ってましたっけ?


間延びしてしまいましたのは、遠出のせいにございまして、



↑は道中撮影した1枚。
何処か城下町のようでございますが、詳細は後日。


さてさて、リングはと申しますと↓



宙に浮いていました。

檻と合わせて400kgオーバーのため、
トラックに搭載するのにもクレーンが必要です。

あとは只管に

東へ



東へ



時折休憩を挟みつつ、その都度リングの様子を窺うのですが



覗く度、私、リングに怒られておりました…。






道すがら、竜虎相まみえる場面も。



一触即発にございます。



約7時間ものロングドライブを経て、



釧路市動物園へ到着。
職員の方々が駆け寄ります。



獣舎へ搬入開始。リング、再び宙へ。



ここでこの檻の真価が発揮されます。
写真ではわかりづらいかと存じますが、
移動用檻の出口と、獣舎の動物用通路の入口が
ピタリと符合する設計になっており、
麻酔をかけずともスムーズに搬入ができるのでございます。

人にも動物にもストレスをかけることなく作業できるよう、
獣舎や檻の設計には、しばしばこのような工夫が施されることがございます。
円山動物園では、クマの移動檻が同様にオーダーメエドされております。
少しの工夫で大きな効果、ここ重要。

滞りなく作業は進み、



隣室のチョコを気に掛けるリング。

20120217-14.JPG

やはり、リングが気になるチョコ。

20120217-15.JPG

特に気にする様子のないココア。

こうして無事、三者三様の三虎が釧路市動物園に揃いましてございます。





……

…ここで終了かと思いきや、釧路ではもう一つ重要な任務を果たしてございます。

それでは次回、釧路編最終回 ‘ようこそ円山へ、クック、クック’ をお楽しみに!




いざ、釧路 ‘さよならリング編’

疲労困憊のメガネ獣医3号にございます。

所用にて、釧路市動物園まで行って参りました。
円山動物園情報をこまめにチェックしていただいている方は
既にご存知かと思いますが、



3年間の単身赴任を終えたアムールトラのリングを
ホームタウンへと送り届ける重要任務にございます。

トラのような猛獣を輸送する際は、沢山の苦労が伴うのでございます。



まずは輸送用の檻に入ってもらうところから。
メイドイン釧路ズーの檻には、
隠された機能があるのですが、それはまた別のお話。
蓋を持ち上げているメガネ1号氏、
少々曲がっていますが、この日は大活躍。



吹き矢を構える凛々しい氏の姿。
動物園の動物の中でも危険レベルは最上級なトラ故、
檻に入れるだけとは申しましても、吹き矢による麻酔は必須。
吹き矢について詳しくお知りになりたい方はコチラへどうぞ。

その他にも、氏は



健康チェックのための採血等々、猛虎相手に獅子奮迅の活躍っぷり。
写真ではお伝えできかねますが、額には大粒の汗が光っております。



1号氏の奮闘の甲斐ありまして、無事収容に成功。



1年と少々、居をともにしたアイが見つめる中、
リングはしばし待機にございます。

一方3号。
仕事してないように見えますが、目立たないながらも
麻酔管理というそれはそれで重要な任務をこなしております。






……


ここまで書き連ねてまいりましたが、
私の体力メーターが赤く点滅しております…。

大変遺憾にはございますが、この続きは
さよならリング編 ~旅は道連れ、世は情けの巻~ へと
持ち越す次第とさせていただきます…。

講義づくし

こんばんは。3ばんめがねです。

今朝園内を闊歩しておりますと、



真っ白に燃え尽きたかのような、鷹匠見習い飼育員の姿が。
思わずパンチドランカー症状を心配してしまいましたが、



2秒後には微笑んでおりました故、一安心。

ここからは少々真面目なトーンで。


1月の後半から、訃報が続いてしまいました。

応援してくださった皆様に感謝申し上げるとともに、
動物達の死を無駄にしないよう、今後とも努力する所存です。

力及ばない状況が続き、歯がゆく、そして申し訳なく思っております。

少しでも悲しいニュースを減らせるように



行ってまいりました、札幌コンベンションセンター。



出席してまいりました、獣医学術学会。

以前にお伝えした学会の全国版。
コンベンションセンターを貸し切っての、大規模な学会にございます。



昨今の獣医療の知見を少しでも得ようと、
3日の間、たくさんの部屋々々を渡り歩き、せっせと拝聴しておりました。
会場では、おびひろ動物園や旭山動物園の獣医さんも御見掛けいたしました。

複数会場で同時並行的に発表やら講演やらが行われている様は、
宛らロックフェスのようにございます。
大変に刺激的な日々にございました。


さらに円山動物園でも



小規模ながら、講演が。

ドイツ全土をまたにかけ動物園動物の繁殖を手掛けていらっしゃる獣医さんに、
ゾウの繁殖についてお話をしていただきました。

こちらもこちらで非常に興味深い内容。
講義後もカタコトのイングリッシュで色々と質問させていただいたのですが、
質問が長すぎると別の参加者から教育的指導を受ける始末。
欧州での先進的事例を多数お聞きいたしまして、
日本の動物園も見習わなければならないと、強く感じてございます。

刺激的かつ、魅力的かつ、学術的かつ、先進的な数日間。
余りに多くの事象を聞き及びますれば、
私の小さな脳髄は、ショート寸前にございますが、
一つも取り零さんとばかり、頭蓋を押さえつけながら床につく日々にございます。


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