札幌100マイル

動物病院だより メガネ獣医奮闘記

現場で働くメガネの獣医3名と動物たちとの悲喜こもごもをお送りします。

2013年05月26日 の投稿一覧

しろくまサテ 語る。

さてさて、せっかく獣医のブログなので、



2頭そろってどこを見ている?

今日はDNAによる雌雄判断について、解りやすいかどうかはともかく
少し語ってみたいと思います。
小難しいのが苦手な方は、本文とは全く関係のない秘蔵写真を放出しますゆえ、
小難しいのは読み飛ばしながらお楽しみください。



決まってる?決まってない?変なポーズ。

DNAで診断といっても、何をどう診断しているのか。
DNAというと妙に説得力がありますが、ご存じない方も多いのでは。



母の股ぐらから顔を出す。世界が楽しく見えるかな。

DNAはデオキシリボ核酸の略。この時点ですでに小難しい。
DNAは生物の遺伝情報を運ぶ物質で、体中のどこにでも存在しています。



ディーフェンスvs庶民シュート 勝つのは果たして

そこで、対象となる動物の体の一部を手に入れるところからスタートです。
動物園では血液や体毛を利用します。



ポリタンクブーム来る。

そして採取した材料からDNAだけを取り出します。
方法にもよりますが、DNAは白くてもやっとして見えます。



ポリタンク愛を全身で表現。

取り出したDNAだけで何かがわかるわけではありません。
そこからさらに必要な情報を探す必要があります。



ポリタンクバトル勃発。

DNAには塩基配列という形で遺伝情報が入っています。
4種類の塩基がいろいろな組み合わせで並び、情報の源となっているのです。



ポリタンクバトル継続。

DNAの中にある遺伝情報のうちには、
オスにしかないもの、逆にメスにしかないものがあるわけです。
ですからオスにしかない塩基配列メスにしかない塩基配列が、ある。



ポリタンク持ってどこ行くの?

しかし、体のどこにでもあるDNAですが、
わずかな材料から取り出せる量はやっぱりわずか。
それを解析しようにも至難の業。




ポリタンク親子。見つめる先はひとつ。

そこでPCR(ポリメラーゼチェインリアクション)という技術が利用されます。
DNAの特定の塩基配列を増幅するための技術です。



ふてぶてしい肉球。ぷにぷにしてやろうか。

PCRを利用することで、わずかなDNAからでも、
必要な塩基配列を大量に得られます。





仲良し、と見せかけてガブ。

そこで、PCRを利用して双子の体毛から得られたDNAの
オス特有の塩基配列、メス特有の塩基配列を大量生産します。

20130526-15.jpg

歯が怖い。でも逞しい歯に成長を感じます。

小難しいのももうすぐ終わり。
PCR産物は、オスとメスとでサイズや種類数が違います。
それををサイズごとに並べると、
オスのパターン、メスのパターンというように区別できるのです。

20130526-16.jpg

中身オッサン疑惑浮上。アイドルの沽券に関わります。

今回の双子は2頭ともメスのパターンが検出された、というわけで
このような発表に至ったわけです。
長かった解説もこれで終了。お付き合いありがとうございました。

20130526-17.jpg

小難しい解説は終わりましたが、写真が一枚余っていたので掲載。
書き終えてみて、小難しいのが一番苦手なのはメガネだということが判明しました。
脳髄がダウン寸前です。右と一緒にタイヤのベッドで寝てしまいたい…。

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