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動物病院だより メガネ獣医奮闘記

現場で働くメガネの獣医3名と動物たちとの悲喜こもごもをお送りします。

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ハズバンダリートレーニング

ブログをご覧のみなさんこんにちは。

久々ですがメガネ獣医ブログを再開いたします。

私は「(おうち)メガネ5号です」。まだ動物園に来て

一年足らずの若輩ですが、これからときどき更新していきますのでよろしくお願いします。

 

今回は「ハズバンダリートレーニング」についてお話しします。

何やら難しい言葉が出てきましたが、一言でいうと

「動物たちに自発的に受診動作 をとってもらう」ことです。

 

※  受診動作 たとえば、腕を差し出して採血しやすい体勢をとったりすること

 

動物園の動物は、犬猫のように飼い主さんに「おさえててください」とはできません。

なので、これまでは、採血や爪切りといったようなことでも麻酔をかける必要があり、動物たちの負担は大きいものでした。

そこで、動物たちが自発的に「採血してください」「爪を切ってください」と手を差し出してくれるようにするのが「ハズバンダリートレーニング」です。

難しい事のようですが、犬に「おすわり」を教えることと基本的には同じです。

動物たちに教えるコツは、とにかく「褒める」こと。

伏せてくれたら「褒める」、触らせてくれたら「褒める」。

何か一つでもできたらすかさず褒める、これの繰り返しです。

 

円山動物園では今、アムールトラの「タツオ」やホッキョクグマの「キャンディ」でトレーニングによる採血を実施しています。今後、いろんな動物に広げていくことで、動物たちに負担が少ない検査ができるようになればと思っています。

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さて、ここまでハズバンダリートレーニングとは何ぞや?ということについて書いてきました。

実際にどうやって動物たちに受診動作をとってもらうのか、これについては次回の更新で紹介したいと思います。

ホワイトアウト

こんばんは、メガネ3号にございます。

 

前回のトラのアイとAI(artificial insemination)の記事が文章ばかりでしたので、

溜りに溜った写真掲載ルサンチマンを発散させるべく、

ここ数ヶ月で撮り貯めた白い写真を吐き出したく存じます。

 

それでは4月上旬編、

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スタートゥハ!

 

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4つの乳頭全てから順番に飲んでいきます。

双子の時には考えられなかった完全独占です。

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このころはまだまだララにべったり。

 

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子供が元気に育っているのも、子育て上手なララによるところが大きいです。

ララのもとに産まれた幸せを噛みしめてほしいと願っていたら、

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思いきり噛んでいますね。ララ、本気で痛そうです。

アムールトラの人工授精

こんばんは、メガネ獣医‘3月以来’です。

少し前のことではあるのですが、2月末にアムールトラの麻酔を実施しました。

タツオの伸びすぎて肉球に刺さってしまった前肢の爪をトリミングし、

あわせてその他の爪も切るのが主要な目的でした。

 

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タツオの麻酔の様子。麻酔はとても安定していました。

 

ところで今回、麻酔に合わせて一つの大事な試行を実施しました。

それが、アイとタツオのペアの人工授精です。

 

アイの導入以来、時には相方をリングに交代しつつ、

トラの子供の誕生を期待していたのですが、これまでうまくいっていませんでした。

 

繁殖がうまくいかない理由はいくつか考えられますが、

アイとタツオの場合、交尾がうまくいっていないことが主要な原因だと考えられました。

交尾が原因の場合、人工授精が一つの解決策となります。

 

アイとタツオの年齢を考えると、この先繁殖のチャンスはそう多くありません。

アイは海外から導入された個体で、国内では貴重な血統です。

日本の動物園におけるアムールトラの血統を守るためにも、

また、絶滅が危惧される動物の繁殖技術向上のためにも、

タツオの麻酔の機会に合わせて、アイにも麻酔をかけて

人工授精にチャレンジすることを決定しました。

 

今回の人工授精では、野生動物の人工繁殖技術に精通した

北海道大学獣医学研究科繁殖学教室に協力いただきました。

動物園が専門性を高めるためには、専門機関との連携は非常に重要です。

 

人工授精の実施には、アイの発情の見極めが重要になります。

アイの発情のタイミングにタツオの爪切りの予定を合わせた結果、

2月の末の実施となりました。

 

人工授精の最初のハードルは、タツオからの精液採取です。

これまで、野生動物から精液を採取する場合には

直腸に電極を入れて行う電気刺激が広く行われていました。

しかし、近年尿道にカテーテルを入れ、電気刺激なしに精液を採取する方法が開発され、

タツオの精液採取もこの新しい方法で行いました。

この方法により個体への負担が大きく軽減されます。

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爪切りと、

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精液採取の様子。

作業は無事に進行し精液採取にも成功しました。

 

次は採取した精液をアイの子宮の中に入れなければなりません。

トラの人工授精は世界でもチャレンジしているところが何件かありますので、

いろいろ資料を調べて方法を決めました。

今回の人工授精では膣から注入する方法を採用しましたが、

アメリカの動物園獣医師からは、腹腔鏡の使用を推奨されました。

残念ながら円山にはその設備がありません。

アメリカの動物園の先進性を感じます。

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アイの作業も順調にすすみ、精液を注入することができました。

貴重な麻酔の機会ですので、アイの健康診断と爪のケアも一緒に実施しています。

 

人工授精の成功の一つの指標はアイの発情が来ないことなのですが、

GW頃を予定していた発情は来ませんでした。

成功かどうか、まだしばらく経過を追う必要があります。

現在は出産の可能性を視野に入れつつ準備を進めているところです。

妊娠していれば、今月中旬~下旬にかけて出産となります。

皆様にも暖かく見守っていただければ幸いです。

 

近年、日本国内でも希少動物の人工授精にチャレンジする動物園が増えています。

人工授精は、国内の動物園においてアムールトラだけではなく、

飼育頭数が減少した動物種の飼育頭数の維持や血統管理の方法として期待されています。

また、このような人工授精の取組の積み重ねが、

希少な野生動物種の絶滅回避につながる可能性もあります。

今回のような動物園の挑戦が、将来の動物園のため、また野生動物の未来のために

きちんと活用できるよう、努力を続けていきたいと思います。

コウモリトーク終了です。

前回お知らせいたしました、コウモリトーク、無事終了いたしましてございます。

こんばんは、メガネ`夜更かし3連続’です。

コウモリ キリン舎

少し早い北海道の春の陽気と裏腹に、闇夜のイキモノのお話しとはいえ、

やや薄暗いホールでの講演となりましたが、

たくさんの方にご来場いただきました。誠にありがとうございます。

 

北海道希少生物調査会の寺島会長のお話しに始まり、

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例のごとく写真のないメガネのお話を挟んだ後に、

コウモリ調査に欠かせない道具の数々を皆様に体験していただきました。

 

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こちらはコウモリを捕獲するためのカスミ網という特殊な網。

残念ながら写真では特殊さがあまり伝わりません。細い糸でできた細かい目の網で、

動物に気づかれにくく、ひっかかると絡まって外れづらい。

 

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こちらはバットディテクターといいまして、

コウモリの発する超音波を受信して人にも聞こえる音に変換する特殊な機械。

こちらもこちらで使ってみないと実感がわかない。写真だけではナゾの箱。

 

講演でお話しした内容をまとめまして、

改めて別の形で皆様にお披露目したいと考えています。

当日いらっしゃることのできなかった隠れコウモリ好きの方々もご安心を。

平成27年度もコウモリ調査事業は続きます。

是非是非これからも一緒に動物園のコウモリの謎を追いかけましょう。

 

平成27年度も円山動物園は見どころが沢山にございます。

次の目玉はこの白い人気者でしょうか。

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先日の放飼場訓練時に撮影した写真を少しだけご紹介。

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愛らしさ共に、北極圏からのメッセージをたくさん抱えた動物です。

沢山の来場者の目を楽しませるだけでなく、

大切なことを伝えてもらわなくてはなりません。

 

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コウモリはコウモリで、愛らしさもメッセージ性も申し分ないと思うのですが、

黒いのが悪いのか、小さいのが悪いのか、はたまた夜型生活が悪いのか、

アイドル的ポジションの獲得は困難を極めそうにございます。

 

講演会やりました、そしてまたやります。

こんばんは、メガネ3号にございます。

以前お知らせしました、野生傷病鳥獣救護技術講習会公開講演会

「希少海鳥保全のための天売島のネコ対策」について、

あんまり題目が長いので開催が危ぶまれかねなかったのですが、

先日無事開催することができました。

 

午前中は獣医療関係者向けに救護実習を行いまして、

その様子もお知らせしたかったのですが写真がない。

毎度毎度のことながら自分で手を動かしておりますとついつい撮影を失念してしまいます。

記録を残しておくのも大事だったりするのですが、無念。

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午後は天売島のネコ問題について講演です。

あいにくの天気だったのですが、多くの方にご参加いただきました。

天売島の海鳥のネコによる食害をどう防ぐか、

環境省・羽幌町・獣医師会・地域住民が協力して対策に乗り出しています。

地域の方の愛着もあるネコですから、単純に駆除するわけにもいきません。

飼いネコの登録、去勢避妊の徹底、飼い主のいないネコの島外への移動など

様々な手法を組合せてできるだけ多くの方が納得できる解決策を導き出す苦労と、

それを実行に移した関係者の行動力と熱意に打たれ、頭が下がる思いです。

興味のある方は北海道海鳥センターのホームページに詳しい経緯が掲載されていますので、

ご参照ください。

一口に野生動物の保護と言っても、

解決すべき問題が多数複雑に絡み合ってくるのだと実感いたしました。

 

 

さてさて、少し間をおいて、またメガネの絡む講演会が予定されております。

今度は、「コウモリトーク ~平成26年度コウモリ調査事業報告会~」。

やはり長めのタイトルですが、なんとか開催にこぎつけるべく、鋭意準備中にございます。

今年のコウモリ調査事業はいろいろと収穫がありまして、

皆様にそれをお伝えするべく企画いたしました。

円山に暮らす野生のコウモリについて、驚くような事案もお伝えできると思います。

また、コウモリの調査方法を体験することもできるなど盛りだくさんの内容ですので、

ぜひ当日足をお運びくださいませ。

 

気合を入れてポスターも作成。

コウモリトークポスターたぶん最終

今回も例にもれずカラーバリエを作成。

日の目を見ないのも悲しいのでこちらでご紹介。

コウモリトークポスターver2のコピー

あと、やっぱり動物成分少なめなのでチョイ足し。

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ナゾノケダマセイブツ。

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