札幌100マイル

円山飼育員日誌~サルと一緒!

円山動物園のニホンザルを中心とした動物達と、ちょっと変わった飼育係をご紹介!

2009年09月 の投稿一覧

サルが気になるTシャツ!

先日、サル山を洗いに中に入ると、いつもと違う雰囲気・・・

上がってすぐの所にいた、なし子(19才)となし代(12才)という、控えめでおとなしい親子がギャッという声と共に威嚇してきます。


あれー なんでだろう? でも周りを見ると、変な反応はなし子親子だけではありませんでした。




上から、横から、遠くから、みんなこっちを見ています。

ニホンザルを担当して5年、今までこれに似た反応を見たのは、群れのサルの目の前でサルを捕獲した時、
そして獣医さんが麻酔銃で外からサルを撃った後、中に入ってきた時ぐらいです。

ふふっ 面白いじゃないの
私は仮にも動物の専門家、動物の不思議を解くのは大好きです。

こんな時は仮説を立てる必要があります。
思いつくことといえば・・・


こんなところです。

さあ、次は検証&実験です。

検証1  山には倒れているサルはいなかった
検証2  動きはいつもと同じ  ・・・  つもり
検証3  顔も見たけどいつもの僕
検証4  朝7時ごろ、上着を着て中に入った時にはなんともなかった
検証5  サルの目線がTシャツの柄と私の顔を行き来している   おっ!

さあ絞られてきました、どうやら犯人はTシャツか精霊かなんとなくのようです。

容疑者インドネシアTシャツ こんな物です。


うちの園長がインドネシアのタマンサファリに出張した時に頂いたお土産ですが、
普段着として着こなす自信がなかったので仕事用におろしました。
動物は沢山写っていますがサルが驚くような柄ではないと思ったのですが・・・

今まで着ぐるみがサル山の近くに来て大騒ぎになったことはありますが、絵を見て大きく反応した記憶はありません。

(ちなみにこのTシャツには反応なし)

オフィシャルショップお土産 体育座りサルTシャツ

答えにたどり着くため、いよいよ実験に移ります

実験1   上着を着てみる
実験結果 反応元に戻る

どうやら容疑者はTシャツかなんとなくに絞られました。

確証を得るため最後の実験です。
実験2   新人で年下の獣医高江洲くんを呼び出し、説明せずにTシャツを着せサル山に入れる。

実験結果

囲まれる・・・


引きつった苦笑い・・・

どうやら犯人はTシャツのようです。
もしかしたらサルには違う風に見えるのでしょうか?
それとも色が関係するのでしょうか?
基本的に構造は人間と同じはずですが・・・

まあ今度、色の実験やって見ましょう。
どんな茶色に反応するのか。

んっ 待てよ Tシャツに精霊がついているって可能性は・・・

ヒグマ

先日「ヒグマの会30周年記念フォーラム」に参加してきました。



ヒグマ関係のフォーラムや会議、講習に参加したのはこれで何度目になるのでしょう、自分でも分かりません。

実は私、北海道に住んでいる動物好き一個人として、一番大きな目標として持っているのが、
「ヒグマと人間の共存」なのです。
もちろん動物園職員として、ニホンザルのことであったり、環境教育であったり目標は山ほど持っているのですが、死ぬまでになにがしたいかと聞かれればこの問題を解決することです。
うーん 重い

きっかけは10年ほど前にスウェーデンでのヒグマ管理について聞いたことでした。
聞いた話によると札幌とは条件が違うにしろ、民家の近くにヒグマが生息し、ベリーがなる時期には人々はその森に入っていく、でもここ200年事故はない。(本当かな?)
なんで?どうしてそんな関係がつくれるの?
出来ることだと思っていなかったのでものすごい驚きでした。
でも詳しく聞いていくうちに、ヒグマの管理、子供、大人への教育、そして森に対する価値観の違い、必要な物が少し見えたのです。
その後、知床に講習受けに行ったり、向こうの人と飲んで話したり、札幌で活動している人に話し聞きに行ったり、その人と飲んで話したり。
札幌でもうまくいく可能性があるんだなということを実感しました。


「自分に出来ることはなんだろう?」
色々考えてみましたが、やはり一番効果的なのは動物園という場所を使って正しい情報を伝えることなんでしょう。
フィールドに出て調査もしたことの無い私です、クマの飼育は代番(休みの人の代わりに)でもやったこと無い私です、でもなんとか役には立てそうです。


いつかヒグマの担当になることもあるでしょう。
その時私はどんな動きをするでしょう?想像するとちょっと怖い気もします。

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