札幌100マイル

円山飼育員日誌~サルと一緒!

円山動物園のニホンザルを中心とした動物達と、ちょっと変わった飼育係をご紹介!

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全国の飼育係が集まった

12月に信州に出かけてきました。
目的は「第24回全国飼育の集い 長野大会」への出席です。

富山空港から見た立山連峰

まずこの「飼育の集い」とはなんぞや?と言う話しですが、
これは全国の飼育係が集まり勉強、情報交換、交流をしようというのが目的の年1回の催しです。

24年前
「研究会や他園との交流などは獣医師や役職者がすること!飼育係は動物の世話をしていればよい!」
という風潮が残っていた中、 飼育係が飼育動物のためにも、自分達のためにも、横のつながりを作っていこう!と京都で始まったのがこの会です。

今では全国の園館の有志が持ち回りで開催しています。参加費は自費です。
私も12年前の北九州大会から参加してますが、今でもあの時の緊張を思い出します。

若き朝倉は先輩に交流会の入り口まで連れて行かれ、そこで 「じゃあ 頑張れよ!」 と放り出されました。
気が付くと周りには約200人のひげ面や目つきの鋭い、噛んだら苦ーい汁出しそうなおやじ達、
名簿と名札を見比べながらその時担当していたカンガルーに詳しそうな人に恐る恐る話しかけます。
「有袋類のこともっと知りたいのですが、勉強会などないでしょうか?」
消え入るような声です。
「そんなんねーよ!」の冷たい返事
ああそうですか、お邪魔しましたとその場を立ち去ろうとしたら
「そうだ お前作れ」 
ええー そんなー 僕は津軽海峡の向こうから来た田舎もんで、飼育もまだ経験が浅く・・・ 
話は聞いてくれません。設立準備会議スタートです。

でもおかげで、その有袋類勉強会も今年で11年を迎えました。日本の動物園での有袋類飼育にいくらか貢献出来ているのではないでしょうか。

やらなきゃだめ、考えなきゃだめ、会わなきゃだめ、話さなきゃだめ、そして飲まなきゃだめ、基本を教えてくれたのがこの集まりです。
動物の相性を踏まえたペアリングや繁殖技術の伝承、けっこうな事の基礎がこの会で話されたりします。
有意義な集まりです。

こんな良い集いなのですが、残念なことに家庭での理解は得られません。
嫁は「どうせ遊んで、飲んでるだけでしょ!一人で旅行して!」と毎年きつい言葉を投げかけます。
まあ、半分は当たっているのですが・・・

長くなりました、本編は次回と言う事で

道東めぐり3 知床三昧

あいだが開いて大分前のことになってしまいましたが

道東めぐり3日目 いきます。 

会議は午後からだったので、午前中は家族で行動。
斜里から知床峠を越えて、行った事が無かった羅臼ビジターセンターへ向かいました。
いやー 良い施設です。環境省が建てただけあり、しっかりしたコンセプトの基、お金もかけて中をつくりこんでます。

      
職員の方が 「しっかりしすぎて企画などでいじれるスペースが少ない」 とぼやく位ですから。


   
来館者の動線を確保しながら、博物館的なハンズオンでしっかり立ち止まらせ、感じるという部分を実物、疑似体験で楽しみながら与えています。

でもこのクマの手や、羅臼の地形をゲーム感覚で操作しながら見られるBird’s Eyeなんかは、札幌にあり動物園にも関わってくれている北海剥製さん、エンビジョンさん作成ですから円山の方が取り入れ易いはずですよね、 お金か問題は・・・


羅臼のビジターセンターをゆっくり見すぎてホテルに戻ったのは会議開始15分前、急いで会場へ向かいます。
今日はまず 「国立公園・保護地域のクマと人の折り合いの付け方」ということで、
知床、尾瀬、上高地、アラスカで実際に保護、管理、調査をされている4名の報告と、パネルディスカッション。
      
クマの専門家の方々ではありますが、クマだけではなく地元の人、経済をしっかり考慮に入れた活動こそが、クマの将来を守るために、クマと人との折り合いをつけるために必要だということを(難しいことではありますが)色々な実例を交えてお話されていました。
難しいことではあるが、続けなければいけない、やらなければいけないという思いが壇上と会場を包み込んでいました。
そこに動物園が背負える役割、しっかりと考えていかなければいけません。


会議が終わり、次は場所を移して、あかしのぶこさん作「ヒグマの絵本」完成披露会、そして椎名誠さんの講演会。
ホテルには戻らず、セブンイレブンのおにぎりを頬張りながら車を飛ばします。
中身は鮭といくら、この辺が知床です。

絵本は知床のヒグマ対策の職員が作成に関わったようで、クマの生活、人間との関わりを描いた物です。(あかしさんも元知床財団職員です)
この手の絵本は、伝えたいという気持ちが強すぎて、字が多くなったり、内容が難しくなったりしがちなのですが、難しくはなく、かと言ってイメージだけでもなく、優しい絵本になっています。

椎名さんの講演は、さすが場数が違う、世界中での体験を基にした面白い内容でした。
テーマは「生きるために食べる」「食べるために殺す」と言った所でしょうか。
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最近、サル山のガイドでも「生きるために食べる」について話すのですが、私たちはなかなか普段意識できないですよね。
ちょっと前にTVでボビー(オロゴン)が、自分の子供に対して「とにかく食べれ!次いつ食えるかわかんないぞ!」「子供はとりあえず食べさせておけば大丈夫!」「食べさすのが教育だ!」と言っていたのを見ました。
「生きるために食べる」について、野生動物と人間というくくりから、今の日本人という部分を意識した瞬間です。 ボビー 見直しました。


そしてその後は、
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打ち上げにもぐりこみ知床の幸三昧!  2次会にももぐりこみ成功!たのしいー!



気が付くと12時過ぎ・・・・ ここは知床・・・・ 
そうだ、家族旅行だったんだ・・・・
ドキドキしながら、ホテルへ向かってテクテク テクテク徒歩15分・・・・
部屋番号は436 シミルーと憶えました・・・・
でも12時30分・・・・・
緊張してドアのノックは コン ココンッ・・・・
「あーけーてー」・・・・ 昨日より小さめの声です・・・・

道東めぐり終了です。

道東めぐり2 釧路・標津・知床

道東めぐり2日目
知床でのプログラムは夜からだったため、まずは、宿のすぐそば、釧路市こども遊学館へ!

      
入ってすぐのでっかい砂場へ突入したい気持ちを抑えてまず中へ。
子供を差し置いてネットジャングルへ入ったは良いけど、入口の炭鉱トンネルで体が詰まって動けず。
大人向けではないようだ。

この施設は3年ほど前にできた新しいもので、「来館者が自ら遊び、学ぶ」というコンセプトのもとに造っただけあり、小難しくなく楽しい。
計画段階で市民が参加し、運営にはボランティアが活躍。
動物園にもかかわってくれているアトリエブンクさん設計、今度詳しいこと聞いてみよう!

滞在予定を30分オーバー
次に向かうは標津サーモン科学館
なにがすごいって30mの展望台の上に輝くイクラ3粒!
ここにお金をかけたのがすごい!
      

さあ、だんだん時間が無くなってきた、知床での基調講演開始まであと2時間半
あー でも知床峠を通りたい! あのハイマツ帯を見てから話を聞きたいー
パチリ


ホテルに着いたのが開始40分前、カバンと家族を置いていざ会場のウトロ漁村センターへ。
着いてみると上野や多摩動物園の飼育係もいて、さすが、やるなっ!って感じです。(上野動物園の園長もいました)


基調講演でお話ししてくれたのは「ベア・アタック~クマはなぜ人を襲うのか~」の著者スティーブン・ヘレロさんでした。
クマとの事故はなぜ起きるのか、どうしたら防げるのか、どんな取り組みがあるのか、 国立公園での話が中心でしたが、札幌市もヒグマの生息地です、市として、動物園としてどう関われるかを考えながらの講演でした。


さあ、次は場所をホテルに移し、知床財団20周年記念式典&交流会です。
いつもなら 「さー飲むぞー!」 というところですが、この日はちょっと違います。
今回知床に来た目標の一つをここで果たさなければいけないからです。
それは 「フィールドでは難しいが、動物園でなら背負える調査・研究について専門家に聞く!」ということでした。

まず軽く腹を満たし、ビールをぐいっと飲んで、突撃!
弱った心を、ブタの角煮で勇気づけ、突撃! 繰り返します。

頑張ったかいがありました、いい話たくさん聞けました、皆さんありがとうございます。


9時過ぎ 自分のホテルに帰り、うろ覚えの部屋番号の扉を叩きます。
「あーけーてー」

道東めぐり 1 帯広・釧路動物園

ちょっと前の話ですが(10月10日~13日)、知床財団20周年記念イベントへ出席するため道東めぐりに出かけました。
その時のお話しをしてみたいと思います。

この間クマチームの視察でサホロに行ったばかりだったので、貯めておいたお小遣いももうありません。 
嫁に頼み込んで家族旅行と言う事で出発です。

1日目 
朝6時に出発し、まず目指すのは帯広動物園!
この間行ったばかりですが、前回は遅刻して時間が無く見逃した所もあったので(暗くなってたし、閉園してたし・・・)またお邪魔です。


今回は植村直己記念館も見れたし

象の調教も見られました

あと、うらやましーなー といつも思うのが

      
園内を散歩しているエゾリスたちです。 餌付けもせず、自然な状態の野生のエゾリスが近くで見られるのはうちでも求めている要素です。(でもうちはカラスがなー)
食べているのは松の美、体も変に太っていない(変に太ると胸におっぱいみたいな肉弛みが出来ます)美しいエゾリスたちです。
エゾリスの写真撮りたい方、是非帯広動物園へ!


豚丼を食べ いざ次は 釧路動物園へ!

今年初めての釧路動物園です。
道外からこられる動物園関係者にはここの北海道ゾーンはお勧めします。
北海道の釧路にあるからこそのこの展示は、釧路動物園として必要なものだと思います。

      

ただ、地元の人には当たり前の風景なのでなかなか認めてもらえないようです、ちょっと悲しい・・・
この問題は、どこの施設でも持っていますが、そこを何とかして身近な自然環境に関心を持ってもらうのもやらなければいけないことです。

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      長い年月、力を入れている丹頂鶴を見て


      
      うちでも分散飼育のため協力したいと思っているシマフクロウを見て

今日のお泊り場所、釧路駅前へ向かいました。

家族サービスと称してこの行程が組めるのは、あと何年あるでしょうか?
その年月が長く続くよう、家族に向けて「ためになる飼育員ガイド」を開催しています。
「さー つるさんの食べ物はなんでしょうか? 分かるひとー」
「はーい」  手を上げるのは嫁だけです。
もうチョイ腕を上げなければいけないようです・・・

2日目も動物園人的家族旅行が続きます。

自然活動の先生の集まり

昨日、小樽で行われた第9回CONE全国フォーラムにゲストとして参加してきました。

      

このCONE(自然体験活動推進協議会)とは野外活動を行う指導者の連携、スキルアップのための情報共有をすすめ、自然を舞台とする自然体験活動を促進しようという非営利団体です。

円山動物園ではここ2,3年、多くの外部の方と一緒に園内で環境教育活動を行ってきました。
それにより、動物園に来ていただいた方に喜んでいただいたのはもちろん、動物園側としても、今までやりたったが動物園の職員だけでは出来なかったことが出来たり、その内容も数段上に持ち上げることが出来たりしました。

動物園にとって、とても大きなことだったと思います。
環境教育というという小難しい、なんだか硬そうな物が、実は楽しく、簡単にできるものであるということ。
だけど、やるほうは根っこの大事な部分をちゃんと理解して「今この子供達には何が必要か」を考えないと楽しみだけで、その場だけで終ってしまうことを教えてくれたのもこの方々でした。

      

そんな恩のある方々から声を掛けてもらったので喜んでの参加です。
ホントは前日、前々日に行われたプログラムにも参加したかったのですが、休みに関わらずの仕事が入りこの日だけの参加となりました。

お題は「動物園の利用価値 円山動物園の場合・・・」です。
ちょっと宣伝っぽいですが、全国会議ですから他の動物園でも、うちでやっているような関係が作られればという願いをこめての題目です。

まあ、この辺は園全体として価値観を持たないといけないので急には難しいのですが、動物園関係者、野外活動関係者両方に触手を伸ばし、他のところでの実現を目指します。

発表後の話し合い、その後のパネルディスカッションにも参加させてもらい、多くの人と話が出来て得る物は多かったのですが

やっぱり悔やまれる あー悔やまれる

あの人たちとお酒を飲みながらゆっくり話し合いたかった!  いつも基本はこれです。

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