札幌100マイル

動物病院だより メガネ獣医奮闘記

現場で働くメガネの獣医3名と動物たちとの悲喜こもごもをお送りします。

2011年04月 の投稿一覧

は虫類・両生類館オープン当日

こんばんは、眼鏡の獣医の3番目です。


当初の想定よりも頻繁な更新が続いておりますが、
いったいいつまで続くのやら、
あまり期待せず、お付き合いいただければ幸いに存じます。


さてさて、去る4月23日、は虫類館・両生類館がオープンしました。
あいにくの天気ではありましたが、たくさんのお客様がお越しくださいました。





オープンを待つ方々。期待にお応えできたでしょうか?





職員も緊張した面持ちで、その時を待っております。



7つ道具の剪定ばさみを握りしめ、
テープカットのイメエジトレエニングに余念がないカリスマですが、
エアテープカットに終わります。





オープンと同時に館内へ。混雑しつつも楽しんでいただけたましたか?



鳴り物入りでオープンいたしました、は虫類・両生類館ですが、
週末・祝日等々は混雑が予想されております。
24日の日曜日も、一時入場制限がかかり、
館外でお待ちいただくこともありました。

GW期間中も大変混雑するかと思われます。
ご迷惑おかけしますが、何卒ご理解ください。

は虫類・両生類館、じっくり見れば見るほど
その魅力がにじみ出てくる施設であると、自負しております。
末永くお付き合いいただければ幸いです。




「首を長くして待つ」という言葉を体現したコウヒロナガクビガメ。
館内にて皆様をお待ちしております。意外とダイナミック。



最後になりましたが、華々しいオープンの傍ら、
ガビアルモドキ1頭が死亡しました。
解剖の結果、内臓の疾患が確認されました。
そのような身体に移動のストレスがかなりの負担となった可能性があります。

ワニの専門家も、ワニの輸送はとても難しいとおっしゃっていました。
その死を教訓とし、猛省するとともに
27年間もの園への貢献に感謝。

マイケル治療中

皆さんお久しぶりです。

メガネ獣医2号です。

ここ数日のうちに来園された方の中にはお気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、オオカンガルー一家のお父さん『マイケル』が体調を崩し、現在治療を行っております。


少し前までのマイケル。胸筋のムキムキぶりが、調子の良さを表しています。

今日はその様子をご紹介しようかと思います。

1回目のブログで獣医ネタは他の獣医に任せると宣言したにもかかわらず、舌の根も乾かないうちに獣医ネタに頼るあたり、いかにネタに困窮しているか我ながら透けて見えますね。

さて、発端は4月17日の日曜日。
ご存知の方も多いかもしれませんが、カンガルー館で密かな人気の親子(兄弟)ゲンカ。
オス同士が力比べをするわけですが、これが始まるといつの間にか人だかりができるほどの人気でした。

まずはにらみ合い


自分の強さを誇示するように胸を張り背伸びします


手を合わせてのけん制


主武器の蹴り。尻尾でバランスを取って蹴りを繰り出します。
人間が本気で蹴られると大怪我するほどの威力だそうです。僕は蹴られたことがないので分かりません。



こんなふうにもつれあっていることもあります


これまでは、やはり『父は強し』ということで、マイケルの勝利に終わることがほとんどで、勝者が敗者を追い込むということもなく、お互いケガをすることもありませんでした。


この日もマイケルとその息子ビートは取っ組み合いのケンカをしていたわけですが、この日はなぜかマイケルが負けてしまい、その上かなり激しく追い打ちをかけられたらしく、発見した時には既にぐったりとしている状態でした。

野生動物は通常、弱っている姿をあまり見せることはありません。
野生下ではそれが命取りとなることもあるからです。

となると、マイケルの状態はかなり悪いということが見て取れるわけで、すぐさま獣医師が診察・治療にあたりました。


診察の結果、外傷はそれほどないものの、腹部臓器にダメージを受けていることが分かり、投薬による治療を開始しました。



現在も1日1回午前中に2時間ほどかけて点滴を行っています。
午前中に点滴中のカンガルーの横で、それを眺める短髪メガネの小太りがいることがありますが、決してサボっているわけではなく、マイケルの様子を観察したり、動くマイケルに合わせて点滴掛けを移動させているのです。
もしも見かけることがありましたら、心の中でそっと応援をお願いします。


やっと少しずつですがご飯も食べられるようになり、少しずつ体の力も戻ってきました。でもまだまだ油断はできません。

まだまだ平常時よりは力も弱いので、普段は出来ない爪切りもこの機会にやっています。
マイケルの爪はうまいこと自然に削れず、内側に巻いて伸びています。
自分の体に刺さることはないでしょうが、若干使いづらそうにしていたので、いつか切ってやろうと目論んでおりました。

爪切り後の爪。大分まっすぐになりました。まだ若干曲がっていますが、これ以上やると身が出るので今回はここまでです。
普段やろうとしたら麻酔かけないととてもできないので、ある意味今がチャンスです。



さて、最後になりましたが、ここまで若干明るく書いていますが、決して楽観できる状況ではありません。
まだまだ一日のほとんどを寝て過ごしていますし、起き上がってもしょんぼり首を下げたまま。食欲があることだけが好材料です。

思えば大先輩の獣医さんから『食べれているうちは大丈夫』というような格言めいた言葉を聞いたことがあります。
思い返してみれば、これまで、『もうダメだろう』と思った動物が持ち直したり、予想以上に長く持ってくれたことがありましたが、そんなとき、その動物はしっかりと食べていました。
今回も彼の生命力を信じて、そのサポートをしていきたいと思います。
皆様の温かい応援をよろしくお願いいたします。

子グマと軽トラと北大と

皆様、こんばんは。メガネ3号にございます。

本日のお題は、本園の人気者、ホッキョクグマにございます。



昨年の12/25に生を受け、母ララの絶大なる愛を一身に、
すくすくと成長を続ける子グマ。
すくすくとは申しましても、相手は地上最大級の肉食獣、
柱に傷をつけ、身長を測っていくわけにもいかず、
そっと成長を見守る日々が続いておりました。

しかしながら、去る4月19日、一念発起、母ララからお子を一時預かって、
身体測定その他もろもろに踏み切ったのでございます。



気合が入る、メガネ1号氏。  ブログ登場はまだか。



数少ないホッキョクグマとの接触の機会、
撮影の準備等々整えていたのではございますが、
暗黒なるクマ館寝室での作業、
子を返せとばかりに、寝室の扉をたたき続ける母ララのプレッシャー、
子供とはいえ猛獣、吠え暴れる被写体、
幾多の試練の中では、お見せできるような写真は数少なく…。

それでも幾許かの写真をもとに作業の様子をお伝えしたく存じます。




尾の長さを測っております。
暴れるお子を抑えるは、非獣医メガネ。
大事なメガネもずれていく、緊張感。




マイクロチップの挿入シーン。
1cm程のチップの中には番号が記録されており、
それがこの子の、一生モノのアイデンティティとなるのでございます。





足のサイズも測ります。身長体重の測定も終え、順調な生育が確認でき
関係者一同、安心に胸をなでおろしたのでございます。


そんな中、一向に写真に映らないメガネ2号が何をしていたかと申せば




一心不乱に、お子の毛を抜いておりました。
御守りに入れて肌身離さず持ち歩くためなどではもちろんなく、





愛軽トラとともに




一路、北大獣医学部へ


こちらでDNAを解析して、性別を判定するのでございます。

ホッキョクグマファンの皆々様、
結果が判明いたしますまで、いましばらくお待ちくださいませ。




この一連の状況が、テレビジョンにて放映されることと相成りました。
HBCにて明日4/22、PM6:15ごろからの放送予定ということで、
ご覧いただければ幸いに存じます。

ご覧いただいた後、本園まで本グマに会いに足を運んでいただけたならば、
恐悦至極、感謝感激にございます。

獣医のお仕事

ご無沙汰しております。メガネ3号にございます。



4月の一大事、新は虫類・両生類館のオープンまで1週間を切り、
某カリスマ飼育員も、あの天然パーマネントもアピールに余念がありませんが、
不肖メガネもアピールに一肌脱ぐ所存にございます。


は虫類・両生類館オープンには、微力ながら弊メガネも関わっているのでございます。



先日はカリスマ飼育員とともに豊平峡ダムへ行ってまいりました。
ダム管理事務所の方には感謝感謝にございます。

軽トラを運転して、流木回収へ。



メガネと雖も、獣医に非ず。

園内には少なからずメガネが生息しておりますが、
必ずしも獣医とは限りませぬのでご注意を。



またある時は



大水槽の水質調整。
新しい施設では、水槽の成分が水に溶けだすことがあるため、
水質調整の必要に迫られるのでございます。
大量の水をかき回す重労働。
非力メガネは蚊帳の外、撮影に専念しておりました…。


ご紹介いたしました写真等々では、
メガネが何をしているのか伝わりにくいかとも存じますが、
は虫類・両生類館には、
拙メガネが自らのQOLを削って文章をしたためた看板などもございます。
新しい施設を、隅々までご覧いただければ幸いに存じます。



最後に、新施設への偉大なる最初の一歩を踏んだ動物をご紹介いたします。



この方。

旧施設ではずっとベンチを温めていたこの方ですが、
この日は重要な任務を完遂されました。

ただしこの方、新施設でもベンチを温め続けることになるやもしれませぬ…。

ご紹介

様々なところでほのめかされていた、獣医ブログにございますが
とうとう開設の運びと相成りました。

本ブログでは初お目見えとなります、メガネ3号にございます。

円山動物園で働く、メガネ獣医3人でお送りいたします本ブログでございますが、
第2回ということで、今回は3人のメガネの見分け方をお伝えいたしたく存じます。

そろいもそろって中肉中背、ほぼ30代のメガネ男子3人でございますれば、
鑑別には熟練を要するのでございます。




まず私共のリーダー、メガネ1号氏。



本園一の美白を誇る1号氏。
その透き通るばかりの白さは、われわれの日頃の倦み、疲れ、邪念などなどを
吸い取るかのよう。
最年長・最古参の頼れるリーダーにございます。





続いて、メガネ2号氏。



類稀な行動力は、目を見張るばかりにございます。
家に帰れば一児のパパ。
お子様の話をされる2号氏の御顔は慈愛と幸福に満ち満ちていらっしゃいます。






最後に、拙メガネ3号にございます。



ヨウスコウワニの赤ちゃんに似ていると言われます。
物心ついてからというもの、ホモサピエンスのつもりでおりましたが、
哺乳類ですらなかったのかもしれません。
手先足先が尋常じゃなく冷えるのは、冷え症でなく、変温動物であるが故か。



以上、華のない3人でお送りする本ブログにございますが
皆様、ゆるゆるとお付き合いいただければ、幸いに存じます。

開設のごあいさつ

東日本大地震により、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
また、被災されたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。


さて、それでは改めましてみなさんこんにちは。
そして初めまして。

メガネ獣医2号と申します。

ついに円山動物園の獣医さんのブログを開設することになりました。
一昨年の夏ぐらいから、獣医たちの中でも開設しようと話し合っていたのですが、なかなか踏ん切りがつかず一年以上・・・(笑)

マンを持しての登場でございます。


円山動物園には3人の獣医がおりますので、その3人でのんびり更新していく予定です。
皆さま末長くお付き合いください。


さて、まずは自己紹介ということで、改めましてメガネ獣医2号と申します。
円山動物園には一昨年の春に配属されましたので、ここで2年弱の間、獣医さんをやっております。

まぁ2年っていうと結構経験を積んでいそうな響きがありますが、動物園獣医としてはまだまだヒヨッコで、日々テンパりながらお仕事をしています。

ただ、2年もいるとさすがに色々動物園のことが分かってくるわけで、私からは個人的に"なるほど!"と思った動物園の裏側をご紹介していきたいと思います。


第1回目はどんな人が働いているの?です。
獣医のことじゃないんかい!というツッコミが聞こえてきそうですが、獣医さん的な医療ネタは他の二人が書くでしょうから、そちらにお任せすることにします。


さて、本題です。
ご存知の方も多いと思いますが、円山動物園は札幌市役所の一組織です。
園長以下、経営管理課と飼育展示課があり、経営管理課には経営係と管理係、飼育展示課には飼育展示一係、飼育展示二係があります。

役所っぽい・・・

経営係は動物園の経営全般(そのまんまですが・・・)に関することをやっています。

具体的には、動物園を広く知ってもらうためのPR活動をしたり、マスコミなどのメディアに売り込んだり、旅行会社とタイアップして色々な企画をしたり・・・と、動物園の入園者増、経営状態の改善のための様々な対外的営業活動を行っています。
また、市役所内部の調整窓口として、市役所の他の部署との連絡調整も行っています。
たまに雑記帳ブログに投稿している『ちゅった』さんも経営係の人です。

管理係は動物園全体の施設・設備の管理を行っています。
動物園は動物舎などたくさんの施設の集合体です。
エゾシカ・オオカミ舎のように新しい施設もあれば、熱帯動物館のように築40年を超えている施設もあり、『床のコンクリが剥がれた』とか、『ボイラーが壊れた』などのトラブルがしばしば起こります。
管理係はそのようなトラブルに迅速に対応し、また計画的に施設の補修・維持を行ってくれる部署です。
金属加工や木工の技術を持っている方もいるので、『こんな道具・設備を作ってほしい』などの要望にも応えてくれます。

飼育展示課は文字通り動物の飼育と展示を行っています。
まぁこれも名前そのまんまなんですが、分かり易いことは良いことです。
こんなのひねった名前付けてもしょうがないですしね。


飼育展示課には我々獣医師や飼育員さんたちが所属しています。
一係と二係はどう違うのかというと、基本的には変わりません。
サル山より下を一係、それより上を二係が担当しているという施設の場所の違いだけです。

ちなみに一昔前までは『飼育課』だったそうです。
要は動物を飼う・維持する・繁殖するということを主な目的として捉えていたんですね。

んで、何年か前に、『飼育だけではなくて、お客さんにどうやって見てもらうか、どうやって動物のことを知ってもらうかを考えなければだめだ』ということで、『飼育展示課』という名前に変わりました。
従来の『飼育をする』という基本に加えて、『動物を見てもらい、さらにそれを通してメッセージを伝える』という要素が加わったわけです。
ちょっと役所っぽい発想ですね(笑)

なので今では、掃除・餌やりなどの動物の世話はもちろん、『動物がより過ごしやすく、本来の行動を発揮できるようにするためにはどうしたらよいか』とか、『お客さんがより動物を身近に感じ、興味を持ってもらうにはどうしたらよいか』、『動物を通して、絶滅危惧動物や動物の生息環境の悪化などの地球環境に関する問題について考えてもらうにはどうしたらよいか』などをみんなで考えるようになりました。
毎日園内の色んな所で行われている『ドキドキ体験』や飼育員さんたちのブログ、動物のところに設置されている様々な看板もその取り組みのひとつです。

とまあこんな感じで、動物園を運営しているのです。
もう少しくらいならウンチクを語るネタもあるのですが、長くなってしまったので、ここら辺で終わりにします。

・・・とまぁ初回からお堅い感じになりましたが、まぁ初回ですから軽いジャブみたいなもんですよ。
そのうち嫌でもユルくなると思うので、初回くらいは・・・ということで、これからもひとつよろしくお願いいたします。

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