札幌100マイル

円山飼育員日誌~サルと一緒!

円山動物園のニホンザルを中心とした動物達と、ちょっと変わった飼育係をご紹介!

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青と白の特権

一昨日の雪、すごかったですね。
動物園でも一日雪との戦いでした。


サル山も見えないぐらいに吹雪いております。

吹雪の中、ロードヒーティングが入っている場所に避難している
さる達を撮ろうとしても、雪にピントが合ってしまうぐらいです。



それでも、ちびすけ達はかまわず遊んでいますが、雪に埋まっています。





一夜開けると、雪がやみ空は青く、湿り気を帯びた雪が木の枝にが張り付いています。
こうなると動物園内、別世界です。


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開園前の動物園、人気は無く鳥の声と除雪機の音しか聞こえません。

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普段職場としてなれきっているこの景色ですが、ふと気づくと贅沢だなーと思います。
夏は職場に入って一つ目の深呼吸で木と土の香りが肺に入ってきます。
秋には枯葉の上を思いっきり歩けます。
春には日当たりによって日をずらして咲く桜の木に囲まれます。
しかも動物達がいます。
それなのに札幌駅から車で10分です。

贅沢です、 ありがたやありがたや・・・

開園前の特権許してください。 その分昼間は頑張ります。

お別れはキリンのユウマの鼻息で
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冬の必需品

みなさん 明けましておめでとうございます。

今年も円山動物園をよろしくお願いいたします。
さて、冬本番を向かえ、サル山もすっぽり雪に包まれています。
ニホンザルは約200種類いるサルの仲間で、世界一北に棲むおサルさんですが、
やはり寒いよりは暖かい方が好き。
そんなサル達に冬の必需品を用意しました。
下の写真が必需品設置前と設置後です。
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そう、必需品とはトラックのタイヤです。
尻ダコがついているとはいえやはり雪に座るとお尻が冷たい!
タイヤは氷が着いてもすぐ取れるし、日が照れば温まるのもはやい!
サル達に人気のアイテムの一つです。

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サル達が喜んでくれるのは飼育係としては嬉しいものです。
ただ、このタイヤ重い!

まずは、5本のタイヤを雪の中から掘り出して、手すりの上から「えいやっ!」と投げ込むのですが、
手すりの上まで持ち上げるのが大仕事です。
「んふ~っ おりゃー」と筋肉番付の出場選手しか出さないような声を上げタイヤを山の中に放り投げます。
このとき気を付けなければいけないのが下にサルが居るかどうか。
手すりの上にあるタイヤをプルプル震えた手で押さえながら「お前らどけー」と怒鳴ります。易しい口調で言う余裕はありません。
何とか5本投げ入れると今度は山の上へ上げる作業。
また「んふ~っ おりゃー」と悩ましい声をあげ始めます。
「お前らも手伝え!」とサル達に無理な注文を出しながらタイヤを良さげな場所へ設置。

作業が終ると体はカクカク、イスにに座ると真っ白な灰状態です。
でも去年はもうちょっと楽に出来たような・・・
筋力の衰えが実感できる年に一度の作業、来年も一人で出来るでしょうか。
でもその前に、春にはこのタイヤ出す作業が・・・
考えるのは止めましょう、やらなきゃいけない事が目の前に来ればやるんでしょうから。

今年もサルともども、よろしくお願いします。

窓拭き

        
年に何回か、サル山に隣接している「展望レストハウス」の2階サル山側の窓拭きが行われます。
屋上からロープを使っての作業ですから(しかも下にはサルが居るまま)、最初の頃はロッククライミングを趣味にしている方が作業してくれていました。
「こえ~」 「あのサルこっち見てる!」 「落ちたら食われるぞ」といろんなこと言いながら作業は進行していきます。
        

開園時間前に行うこの作業、私はというと下からサルがロープを登って行かないように監視しているのですが、最初は「なんだありゃ?」と見上げているサル達もすぐなれて餌を探し始めるので暇なものです。ですからサルと一緒に落ちてる小麦を探してます。結構難しいです!木片の中から小麦探すの!サル達が5粒見つけるうちに1粒見つけられるかという差です。自分で食べるという真剣みが足りないからでしょうか?
悔しくてちょっとずるしたくなります。

今日も平和な1日の始まりです。

          

サルに氷のプレゼント!

一昨日、年に一度のさる達の祭り、「氷のプレゼント」を行いました。
当日は開園前に大きな氷をさる山に入れ、昼からのお祭りに備えます。

年に一度のことなのにさる達は覚えているのです、この氷の上に山盛りの果物が置かれることを。
昼近くになると、50mぐらい離れていても私の姿を見つけるた「ウリャー ウギャー」(餌よこせー 早くしろー)と鳴いています。
氷の上にはスイカにメロン、バナナにオレンジ、おまけにブドウと盛りだくさん、さる達は盆と正月が一緒に来たような大騒ぎです。

お客さんも見ていますので飼育員は一応レイアウトも考えます。
半切りのスイカは両サイドでメロンは中央、その周りにはブドウとオレンジが色合いもよく、お店のフルーツ盛りを彷彿させるような置き方です。

皆さんにも見てもらえるようにさあ写真を撮りましょうと思ったら遅かった!
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サル塊が一つの生き物のように動いています。いつもなら気にする上下関係も気にしてません。



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      左の仔は飛んでます       真ん中の仔の口にはこれ以上入りません

1時間もすると残っているのは氷だけ、嵐のようなさる達の祭りでした。みんな良かったね!


さてここからは宣伝です。
このサル祭り、今年はなんともう一回やっちゃいます!
今週も暑い日が続くようなので、今度の日曜日8月10日の13時30分より第2回氷のプレゼント開催です。
皆さんサル祭り見に来てねー

おまけ
今年の発見
「果物をたくさん与えると、ニホンザルのウンコはチンパンジーのウンコの臭いになる」

おしりの秘密

さてさて、今回はおしりの秘密、さるの裏側を探ってみましょう!

みなさん、普通は 「さるのおしりは?」 と聞かれると答えは 「まっかっか」 です。
でも、通になると 「かっちかち」 や 「にっこにこ」 という答えもあります。
そう、さるのお尻には秘密がいっぱいなのです。

今日はその1 「しりだこ」 です。
「たこ」といっても人間の手のひらとか指に出来る皮膚が硬くなったものとはちょっと違います。
産まれた時にはもうついている、さるのおしりの機能なのです。

では使い方

           
モデルは、お母さんのはな代も気が強いけど、負けずにきかん坊のおてんば娘、最近大人の階段を登っているシンデレラ 「は代麻」チャン6才です。

乗っけてます。鉄棒の上に乗り体重を支えているのはしりだこです。
しりだこは触るとちょっと柔らかめの爪みたいな感じで、厚みがあり、硬いものの上に座るのにはぴったりです。
足裏、手、尻だこの3点で支えられ安定した中、目を瞑って味わっているのは川柳の枝でしょうか。


使い方2

           
今度のモデルは、弟、妹が兄さん、姉さんより強いニホンザル社会。ご多分にもれず兄さんのすず太を差し置いて、ブイブイ言わせ始めている次世代の風雲児「すず次」くん10才です。

挟んでます。鉄棒を挟み込んでいるのは二つのしりだこです。
さるは四足歩行ですから、人間のようにおしりの筋肉は発達せず、しりっぺたはほとんどありません。でもその分二つのしりだこで鉄棒をしっかりキャッチ、安定度は同じ3点支持のは代麻チャンより上でしょうか。
騒ぎを見つめるまなざしにも余裕があります。

どういう進化の過程で、このしりだこがサルたちに備わっているのか良く分かりませんが、これは人間にあってもいいかなと私は思います。
たとえジーパンのポケットの位置が変わるとしても。

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