札幌100マイル

円山飼育員日誌~サルと一緒!

円山動物園のニホンザルを中心とした動物達と、ちょっと変わった飼育係をご紹介!

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いよいよ円山アースデイ



5月17日日曜日、3回目になる円山どうぶつえんでのアースデイ開催です。
ちょっとお天気は不安ですが、今年も33団体が園内で出展してくれます。

このアースデイ、動物園に大きなきっかけ、そしてつながりを作ってくれました。
新しい獣舎を造る時も、
あの人たちだったらここでどんな伝え方をするかな?
どんな要素を入れたらより楽しく出来るかな
と考えたりします。

当たり前ですが、動物園だけじゃ出来ないことがほとんどです。
人のことだけじゃなく、動物のこと考えるのもみんなとやっています。

なんだかほんわかしたお祭りです。
ぜひ遊びに来てください。

動物園の使い方

21日土曜日 小樽の桂岡幼稚園が主体となって行っている
「ちびっこ大将のくにクラブ」 が動物園で開催されました。



このクラブでは教え込むのではなく、自ら発見し、記憶し創造して行けることを、大切に活動している、小学校1年生〜4年生が対象のクラブです。
この日メインでやるのは、日ごろお世話になっている「おたる自然の村」の二杉さん
勉強がてらに私も参加です。

ついこの間まで小学生用の教材を作っていて、どうやって子供達一人一人の意見を表に出させることが出来るかと考えていたので、形は違えど大切なお手本です。

まずは今日やることの説明
二杉さんの話す順序、内容にも聞き耳を立てます。
その後私もちょっと動物の話させてもらい、次は班分け。
25人の子供達を3班に分け、観察する時注目する体の部位を決めさせます。
大人は各班2人づつ付き添います。

今日のテーマは 「多様性」 色んな動物の同じ部位を見てどうして違うかを考え、そこからその動物の食べ物、生活、棲みかとの関係を想像し、最終的に生き残るために必要な進化や棲み分け、そして多様性を考えるのが落としどころです。

言葉にすると難しいですよね
これを楽しく、実感し、自分の言葉として出すように導く、テクニックが必要です。
付き添いの大人は幼稚園の先生がほとんどですが、ただの先生たちではありません。
プロジェクトワイルドの講習を受け、意見を引き出し、広げ、落とし所に導くことを知っている方々です。

でもそういうことを知っている人がやるから余計楽しく出来たりするんですよね。



この前日から一般公開のホッキョクグマの赤ちゃんも違う視点から観察です。




飼育員の話も聞きながらいっぱいメモしてます。
見方、気づき方を教わると色んな物が見えてきます。

2時間の観察時間、ぜんぜん足りなかったようです。
慣れてくると次々と疑問が湧いてきます。

これは子供達が書いてくれたもの


おもしろい気づき、発見の連発です

今回のどうぶつえんでの活動、
「楽しい!」 はちゃんと子供達の心に残っていると思います。
でも、それ以外のなにかも芽生えたのではないでしょうか。
地球には人間以外の生き物が住んでいる、当たり前のことですがなかなか自分とつなげて考えられないことでもあります。

3月3日生まれの女の子!  決断

親のラッシュの様子は変わりません
乳の張りも強くはなっているけどいまひとつ。
子供は座る時間が長くなってきました・・・

17時決断です。

18時授乳ということで準備開始!

父親ののプッチョには「ちょっとごめんねー」と外に出てもらい、ラッシュと子供を分けます。
子供は座ったままです。

心配していた分けてからの母親の状態も落着いており大丈夫そう
使う道具は牛用の哺乳瓶と初乳ミルク

でかいでしょ

動物種によって乳の吸い方も変わります。
これは乳房の構造にも関係することですが、人間なんかは乳頭に細かい穴が沢山開いていて、舌を丸め乳首を包み込み吸引という飲み方です。
でも牛はミルクが一度乳房内の乳槽という所にたまり、そこから乳頭内にストロー状になっている管が伸びているので、子供がしごくように吸うのが飲み方です。

今回も人用の哺乳瓶で先に試してみたのですがやっぱりダメ、指を奥の方まで入れると強く吸うのですが、人間用では吸えません。キリンはうまく飲んだんだけどなー

母ちゃんのラッシュが心配そうに覗いています。



エランド担当は飼育員2年目の松田さん、子供がなれてきて一人でやってもらいましたが、体の間接がすべて90度になってます、緊張したそうです。



確認することがもう一点、  ちゃんと飲み込んでいるかどうか?
獣医の伊藤さんが珍しく真剣な目で見ています。




18時の次に22時と2回やって初乳からの抗体の面では大丈夫
そして子供の体力も明日までは持つでしょう
あとは 「母ちゃん 頼むよ!」 と言い残し家へ帰りました。


次の日
朝、熱帯動物館に行くと、すでに松田さんが和らいだ表情




ラッシュえらい! ちびすけよくやった!
喉も動いてます
乳房も吸われたため片方へこんでます
出てるし、飲んでる!これで大丈夫でしょう
人工哺育でもいいのですが、やはり母ちゃんが一番です



これは今日の写真です。
 



子供の体もがっしりしてきたし、ラッシュも人と子供の間に必ず入り込み子供を守ってます。
よしよし


あとは名前かー
そうだ 名前は後日公募します!
皆さん良い名前付けてやってください

20090318-08.jpg
でもひな祭りに生まれて女の子だから、やっぱり名前は○○ちゃんかなー

3月3日生まれの女の子!

3月3日のひな祭りの日、エランドに女の赤ちゃんが生まれました。



生まれたのは昼間、11時ごろ足が出始めました。
足が出始めた時、周りにはお客様が沢山いたのですが、親が落着いていたので、ロープを張った人止めの外から一緒に見守っていただきました。

12時20分ごろ出産です。安産にほっと一安心。
写真は12時50分ごろの写真ですが、もう立ち上がっています。

ここまでは順調です
・時間がかからない出産
・生まれた子供を親がちゃんとなめ羊膜を取っている
・子供呼吸あり
・子供立ち上がる

はえば立て、立てば歩めでは無いですが、次々と期待と心配が出てきます。

さあ、次の段階は授乳です。
ここで観察するのは
・子が親のもとに行くか
・子が乳頭を探せるか
・親が嫌がらないか
・乳頭に吸い付けるか
・ミルクは出ているか です

お母さんのラッシュの乳頭は朝から比べても大きくなっていますが、
乳の張りはいまひとつ、初産のせいもあるでしょう。

子がふらふらとラッシュに近寄っていき、乳頭を探します。
「がんばれー」 隙間から声にならない応援です。

あれっ ラッシュ嫌がってる・・・

急遽、熱帯動物館を封鎖し親子を再度落着かせます。
子供は何度もチャレンジするのですが、ラッシュの拒否は強くなり、
蹴るまではしませんが、腰あたりに子供の顔が触れると皮膚をピクピク震わせ立ち去ります。

子供は疲れて座り込むことが多くなってきました。



ここで選択肢が二つあります。。
一つは
初乳には抗体が含まれており子供の成長には大切な物です。
しかも、その抗体を子供が吸収できるのは、生後1~2日、それ以降は消化器で分解し違う形で吸収してしまいます。
その部分と子供の体力を考えて牛用の初乳を与えるというのが一つ。

もう一つは
やはり親が与えるのがベストです。しかも牛とエランドの違いもあります。
明日の朝まで様子見る、子供の体力に賭ける作戦です。

判断基準は観察

その間にも時間は過ぎていきます・・・

長くなったので続きは次回にしましょう

動物園を会場に!

先週、2つの催しが園内で開催されました。

1つは 2/23 「北海道環境教育研究会の発表会」です。


これは私も会員になっているものですが、
北海道で環境教育をやっている者の、横のつながりを持とう!より良い形を作って行こう!
と、集まっている会です。

メンバーは大学教授、学校の先生、生徒達に一般の方、そして動物園。
一見硬そうですが、やっている事は身近なこと、



市民と一緒に近くの海岸のゴミを片付けたり外来の植物を駆除する活動。
ミジンコから見た環境について。
うちの学校では外国産の割り箸止めてみました!
将来、大沼で泳げるようにきれいにするぞ!
先生達ですが、卓上の理論だけでなく、住民と一緒に行っている活動がほとんどです。

それに話してっみると変わった人ばかり、
絵本に詳しかったり、トンボの専門家だったり、アラスカでトナカイ追いかけてたり、
インドネシアに蟻見つけにいったり。
聞きたいこと山盛りです。

これからは動物園で、一見難しそうだけど実は身近な発表を見ていただける形が出来たらなーと考えています。


2つ目は 2/28 
あつい!たのしい!おもしろい!「わたしの動物園」
NPO法人の「えこらぼ」さん主催で北海道環境教育ミーティングが協力です。


前半部、まずは基調講演
北九州市の到津(いとうづ)の森公園の園長岩野さんを向かえ、うちの金澤園長と2本立ての講演です。
到津の森公園は、一度閉園の危機に至ったのを市民とともに立て直した動物園です。

動物園に熱い思いを持っている2人の園長。
決められた持ち時間に話しが終りません。
やり方が少し違えど 「わたしの動物園」 と思ってもらえるように全力で動いている2人の言葉が聞いてるわたしの体に突き刺さります。
あいたた もっと働けってことですね・・・


時間は押し気味なれど次はパネルディスカッション


パネリストは
到津の森公園市民ボランティア代表 松浦さん
あそベンチャースクール代表 田中さん
北海道子連れプロジェクト代表 平島さん
札幌トヨペット社長の 田中さんです。

それにアドバイザーとして岩野園長、金澤園長

コーディネーターはここ数年動物園にはまってくれている、初代オントナ編集長
現在の公職多数でなにがメインか良くわからないフリーライター野谷さんです。

濃いメンバーです。
このメンバーで1時間10分の枠は無理だし、もったいなさすぎ
アドバイザーにセルジオ越後、ジョージ与那城、パネリストに大榎克己、長谷川健太、堀池巧呼んで、1時間で静岡サッカーの今後について話せと同じぐらいもったいないです。

そんな中、それぞれが「わたしの動物園にするために」と話していただきましたが、
やっぱりもっと聞きたかったというのが素直な感想。
でもまあ、到津の方以外はいつでも聞けるんですけど。


さあ、後半
園内各所でプログラム体験です。
5つの団体が出展し、お客さんに向けゲームやクイズに紙芝居、楽しい環境教育です。




寒かったせいか、ちょと来園者が少なかったのが残念でしたが、
大人でも「へー」という内容が楽しく展開されていました。


このごろ皆さんが会場として動物園を使ってくれます。
それもただ、場所としての会場ではなく、より伝えやすい、感じやすい場所として動物園を選んでくれます。
仲間がつながり、広がり、同じ方向に向かう人が増えていっています。
どうです皆さん、仲間に入ってみませんか?

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