札幌100マイル

円山飼育員日誌~サルと一緒!

円山動物園のニホンザルを中心とした動物達と、ちょっと変わった飼育係をご紹介!

2014年12月 の投稿一覧

おサルの引っ越し大作戦 ~その4~

みなさんこんばんは。

ずいぶんと引っ張っていますが、今回で「引っ越し大作戦」は完結するので、

どうぞお付き合いくださいませ。

 

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「ブルーシートで追い込み作戦」が大成功し・・・

 

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無事に室内の部屋に全頭収容することができました。

先に移動したおサルもいるので、現在約55頭のサルが室内におります。

 

さて、ここからおサルたちはどうやって熱帯動物館の方へ引っ越しをしたのでしょう?

 

これから順を追って説明していきますね。

 

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こちらが室内の部屋ですが、実はホースを境に右が小部屋、左が大部屋の2部屋となっております。

まずは中にいるサルたちを全頭大部屋に移動させ、小部屋を空にします。

そして仕切り扉をちょっとだけ開けると・・・

外に出たいので小部屋の方へサルが来るんですね。1頭入ったところで仕切り扉を閉めて捕獲開始。

 

 

飼育員1人が小部屋に入り、中にいるサルをタモ網ですばやく捕獲します。

このときがサルも人間も一番危険な作業。

あまりサルを追い詰めすぎると向かってきますし、離れているとなかなか捕獲できません。

いわゆる「絶妙な距離感」ってやつですね。

あまり強引に捕まえるとサルがケガをしますし、かといって力を抜くと咬まれたりします。

いわゆる「絶妙な力加減」ってやつですね。

そしてできるだけ短時間で捕まえなくてはいけません。

ですがサルも必死に抵抗します!

小部屋の中をすごいスピードで飛び回ったり、威嚇してきたり、オリにしがみついて離れなかったり・・・

まぁ、いろいろありますが、そこはやっぱり飼育員。

サッとタモ網で捕まえます。

 

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網に入ると数名で個体識別します。

 

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マイクロチップでも確認し・・・

 

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すばやくサル箱の中へ入れます。

 

もう一度。

 

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こんな感じでサル箱へ。

スピード勝負なので写真がブレブレでスイマセン。

 

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それから逃げないようにしっかりと梱包して・・・

 

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体重測定して・・・

 

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階段をせっせと登り・・・(けっこう重い!)

 

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軽トラに乗せて輸送。

熱帯動物館へは人力で搬送しました。

 

この作業を延々と繰り返し、すべての作業を終えたのは15時30分。

 

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おサルたちは1頭もケガすることなく、全頭無事に引っ越しすることができました!

 

これで全4話の「引っ越し大作戦」シリーズは完結です。

長々とお付き合いありがとうございましたー!

 

 

 

おサルの引っ越し大作戦 ~その3~

みなさんこんにちは。

引っ越し大作戦も3話目になりました。

さっそく続きをアップしていきますねー。

 

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このように巨大ブルーシートの壁を作り、一番下のモート部分にサルたちを移動させ・・・

 

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最後尾からこの追い込み部隊が時計回りにジワジワと少しずつエリアを狭めていき、

室内の部屋へと追い込む作戦です。

 

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こちらは部屋に追い込む最後の砦。緊迫した空気が伝わってきますね。

ブルーシートなので、サルが勢いよく突っ込んでもケガをしないという訳です。

 

 

すべての準備が整ったので・・・

プランB「ブルーシートで追い込み作戦」1回目のスタート!

 

 

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最後尾の追い込み部隊がジワジワと前進すると、サルたちもジワジワと前の方へ移動していきます。

よしよし。作戦通りだな。

 

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プレッシャーをかけないようにジワジワと・・・

 

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順調順調・・・

 

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ここで一旦ストップ。

最後の追い込むところは気をつけないと追い詰められたサルたちが予想外の動きをしたり、

サルや人間がケガをしてしまう恐れがあるので、より慎重にならなければいけません。

 

 

サルたちの様子を見ながら、飼育員みんなで呼吸を合わせて一斉に追い込みます!

「いまだ-!」

残念ながら追い込んだ瞬間の写真はありませんが・・・

 

 

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予想以上にうまくいき、約50頭を収容!

 

 

もう一度最初の配置に戻って2回目。

2回目は約5頭が室内に入りました。

 

 

しかし残りの約10頭が捕まらない、捕まらない。

わずかな隙間から逃げ回り、なかなか室内に入りません。

一度突破した隙間をちゃんと覚えているんですね。さすがおサルさん。頭がいい!

 

 

なんて感心している場合じゃないか。

 

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3回目は部屋の前で陣取り・・・

 

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部屋の前で待ち伏せ、タモ網で捕獲作戦。

 

それでも逃げるサルもいます。

 

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最終手段は1頭1頭素手や・・・

 

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タモ網で捕まえて、ようやく全頭を室内の部屋に収容完了。

 

 

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残りのサルがいないのをみんなで確認して撤収。

 

 

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そして昼過ぎには作業終了。

すごいチームワークでしたね!!

めでたしめでたし・・・

 

 

ではありません!

まだ続きがあるんですよー!

室内に収容したおサルたちを引っ越ししなければいけません。

どうやって室内にいる50頭以上のサルたちを1頭1頭引っ越ししたのか。

気になりますねー。

ドキドキしますねー。

 

続きは次回っ!

 

 

おサルの引っ越し大作戦 ~その2~

みなさんこんばんは。

気になっていると思うので、さっそく前回の続きをアップしていきますね。

 

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結局プランAで11頭しか捕獲できなかったので、

プランB「全員でサル山に入り、巨大なブルーシートでサルを室内の部屋に追い込む作戦!」に切り替えます。

 

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まずは現在の状況報告と作業の最終確認。

さぁ、作業に取りかかりましょう!

 

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まずサルたちが上に登らないようにチェーンソーで木を伐採していきます。

 

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安全第一で頼みますよー!

 

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次にチェーンやハシゴを巨大なクリッパーで撤去していきます。

 

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見た目以上に大変な作業なんですよ。

 

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同時にスプレーでブルーシートを持つ人の立ち位置を描いていきます。

 

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洞窟の入り口もコンパネで封鎖。

 

作業している間、おサルたちはどうしていたかというと・・・

 

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こんな感じで山の頂上に集結していました。

もうすぐ終わるからあと少し待っててよー。

 

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約1時間でずいぶんさっぱりしたサル山になりました。

 

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そしてここで秘密兵器、4mの巨大ブルーシートを次々と投入!

 

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どんどん投入してすぐに設置していきます。

 

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綿密な打ち合わせをしただけあって、手際よく設置されていきます。

 

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別角度から。

 

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すべての準備が整いました。

 

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いよいよ緊張の追い込み作業スタートです。

 

 

と、また長くなってしまったので、続きは次回に!

 

 

 

 

 

 

おサルの引っ越し大作戦 ~その1~

みなさんこんにちは。

お久しぶりのアップです。

 

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前回アップしましたが、おサルたちは熱帯動物館の方へ引っ越しをして1ヵ月が経ちました。

サル山の改修工事が終了する来年の夏~秋頃まで仮住居での生活となります。

 

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お客様からも「近くて見やすい」「おサルさんってこんなに大きかったんだ」「土の上を歩いて気持ちよさそう」

といったお声をいただいております。

 

さて、最近お客様からよく質問されるのは・・・

「75頭のおサルさんたちをどうやって引っ越ししたんですか?」

 

みなさんすごい気になりますよね。

なので、今回から引っ越しの様子をアップしていこうと思います!

 

 

10月29日。

引っ越しの日は約1ヵ月前に決まりました。

ニホンザル全頭捕獲。これは過去には何度も行われていました。

ですが、全頭捕獲して「他の獣舎に引っ越しをする」というのは開園以来初の大仕事です。

 

ニホンザルの捕獲と言っても、これがまた大変な作業でして。

オスの成獣だと私(身長175㎝、体重70㎏)が馬乗りになっても簡単に立ち上がるぐらいの力があります。

さらに気をつけないとサルがケガをしたり、人間が咬まれたりする事故が起きてしまうので、慎重かつ迅速な作業をしなければいけないんですね。

それを今回、全75頭を捕獲するわけですよ。

さらにですね、

群れを長い間分断してしまうと、サルたちの力関係が崩れるなどの悪影響が出てしまうので、作業は1日で終わらせなければいけません。

日が明ける7時から日が暮れる16時がタイムリミット。

この9時間の間に全作業を終えなければなりません。

 

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獣医、担当者、前担当者、前々担当者で連日連夜の作戦会議。

いろいろなことを想定し、何十回もシュミレーションして頭に叩き込んでいきます。

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さらにその作戦を全動物園職員に説明していきます。

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連日会議。カイギ。かいぎ。

 

今回の作戦は・・・

プランA、室内の部屋にサルたちの大好物を用意して、たくさん入ったところで扉を閉める作戦!

プランB、全飼育員がサル山に入り、巨大なブルーシートでサルを室内の部屋に追い込む作戦!

これが今回の大まかな作戦。

 

まずはプランA。

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室内の部屋に大好物のバナナ、ブドウ、パン、落花生などを用意します。

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次にこのいかにも怪しげな箱(?)に獣医が身を潜めます。

このときちょっとでも物音を立てるとサルたちは逃げて行くので細心の注意が必要となります!

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準備万端でこんな感じ。

毎日同じ時間に扉を開けて、

サルたちに「この時間に扉が開いたらおいしいものが食べれるんだ」ということを教え込ませます。

これを毎朝7時30分に約1ヵ月継続・・・。

その結果、約半分の35頭ぐらい入るように。

よしよし・・・地道な作戦は順調に遂行しているぞ。

 

 

いよいよ当日。

飼育員は午前6時出勤で、まずは自分の担当動物の作業を終わらせて待機。

 

そして刻一刻と運命の7時30分が近づいてきます。

私は普段と同じ行動をしてエサを用意。

その間、扉を閉める大役を任されたメガネ獣医1号はそわそわと落ち着きません。

二人とも緊張感MAXで・・・

ついに7時30分を迎えました。

プランAの開始です!

 

来た来た。30頭ほどが入りました。

 

「よし!いまだ!」

扉を閉じます!

 

・・・ん?

閉まりません。

なにかに引っかかりました。

なんと1~2頭のサルが扉を塞ぐように座り込んでいたようで。

 

なんてこったい!

 

さらに「ガチャン」と大きな音も出てしまいました。

もう最悪です。

 

「泣きっ面に蜂」とはまさにこの状態。

昔の人はうまいこと言いますね。

 

気づいた他のサルたちは、扉を塞いでくれたサルに感謝しつつ慌てて外へ。

結局1回目で捕獲したのはたったの11頭。

 

私の1ヵ月の苦労がぁぁぁ!

 

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唯一の救いはアルファオス(ボス)の「中松」が入っていたこと。

まぁ、マイペースというか・・・警戒心がないというのか・・・笑

 

気を取り直して2回目。

 

しかし、さすがサル。2度とこの作戦には乗ってきません。

ま、当たり前ですわな。

 

この時点で9時すぎ。すかさずプランBに作戦変更します。

なにせ時間がないもので。決断力が大事ですからね。

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待機していた全飼育員がサル山に集結!

状況報告して準備に取り掛かりますが・・・

 

 

かなり長くなってしまったので、続きは次回に!

 

 

 

 

 

 

 

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