札幌100マイル

円山動物園ブログ

円山動物園の動物の近況や出来事などを綴ります

2018年10月 の投稿一覧

記録更新

10月11日に出産したハダカデバネズミが、出産後19日を経過しました。

以前にもブログで書いたとおり、円山動物園のハダカデバネズミは いわゆる「女王バチ」にあたるポジションがまだ決まっていないため、 子育てに成功した例がありません。

昨年5月に出産した時も、生後18日で子どもが死亡してしまいました。 今回も5頭の出産は確認したものの、生き残っているのはたった1頭。 でも、なんとか最長記録を更新することができました。

 

これが生まれた時の写真 小指の先のような大きさで、このままで生まれてもいいの?と思ってしまうくらい 無防備な感じです。

DSC_0000_BURST20181014152409401

 

こちらは生後11日目。 色が大人と同じようなピンク色になってきて、大人と同じように皮膚が少したるんできました。 この時は、群れが動き始め、寝室とは別な場所に連れられてきてしまいました。 以前も似たようなことがあった後、子どもが死んでしまったので、この時は心配しましたが 無事乗り切ってくれました。

DSC_0919

 

生後17日目で、授乳しているのでは?という写真が撮れました。 以前の出産では見られない光景だったので、今回しっかり育ってくれているのは きちんと授乳できているからかなと考えています。 それにしても「子ども」というイメージとは程遠い顔…。

DSC_1012

 

これが本日の写真。 今日も群れが大きく動いていて、一瞬姿が見えなかったので焦りましたが 後ろの方でちょこちょこと動いていました。

(写真右の丸い穴の近くにいるのがわかるでしょうか?)

15408892300246

 

今年8月に発表された、麻布大学、慶応技術大学、熊本大学の研究によれば ハダカデバネズミの「働きネズミ」は、「女王ネズミ」の糞を食べて ベビーシッターとなることがわかったそうです。 糞の中に含まれているホルモンが、働きネズミたちの母性本能を目覚めさせ ベビーシッターに変えるのだとか。

https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2018/8/28/28-47491/

人間は母乳を飲んで、お母さんから免疫を受け取りますが、なんと糞を食べて 母性を受け取るというのは何とも不思議な生き物です。 円山動物園のデバたちも、立派なベビーシッターになって、子どもを大切に育ててほしいなと願っています。

DSC_0001_BURST20181016155333002

 

 

↓この写真は、赤ちゃんが女王から生まれている真っ最中のところです。ちょっとショッキングかもしれませんので苦手な方は拡大を控えてくださいませ。

15394730600304

それにしても不思議な生き物だ…

女王争い

 

ハダカデバネズミは、土の中で群れで暮らしている毛の無い出っ歯の、名前そのまんまのネズミです。

群れの中にはハチやアリのように女王がおり、その個体だけが妊娠・出産して子孫を増やしていきます。 その他の個体は”兵隊ネズミ”や”働きネズミ”となって、巣を守ってエサを集めたりするのです。

15383523552181

 

さて、円山のデバネズミも先日お腹が丸くなり、乳頭が飛び出してきたことを確認したため、観覧制限を取らせていただきました。

 

で…………妊娠しているのはどちらでしょうか????

cap_MOV_0639_00_00_43_03

 

答えは「どちらも妊娠している」です。

どうも、まだ円山のデバネズミたちの群れではまだ誰が女王になるか決まっておらず 覇権争いが続いているようなのですね。

 

このままだと、せっかく子供が生まれてもお世話をするネズミたちにうまく働いてもらえないかもしれません。

かと言って小指の爪よりも小さな子どもたちを人工保育することも非常に難しい。

まずは、女王確定のために何ができるかを考えていますが、争いはまだ続きそうです…。

 

pageTop