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円山動物園ブログ

円山動物園の動物の近況や出来事などを綴ります

『爬虫類・両生類館』カテゴリーの投稿一覧

ムオヒラセガメで繁殖賞。

ムオヒラセガメで日本動物園水族館協会より「繁殖賞」をいただきました。

http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics2_1027.html

「ヨウスコウワニの繁殖」から7つ目の受賞です。

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円山動物園では、急激に数を減らしているアジア産カメ類の飼育下繁殖に積極的に取り組んでおり、この種に関しては昨年4頭、今年3頭が孵化し順調に生育しております。

今後は新たに飼育を開始してくれる園館を増やし、さらなる個体数の増加に務めていかなくてはなりませんね。

地味で世間からはあまり注目されませんが、とても大切な存在だということをみなさまにお伝えしておきます。

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爬虫類たちの春。

爬虫類両生類館では現在繁殖期の真っ最中でございまして、日々個体の状態を観察しながらペアリングを繰り返しております。

スペングラーヤマガメ。

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ここ数年少しセーブしていたモエギハコガメ。

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ヒラセガメ。

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貴重なアジアのカメたちの保全に飼育員の立場から貢献しているわけです。

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こちらはムード型の求愛を行うコウヒロナガクビガメ。

そろそろ有精卵が欲しいところ。

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こちらもムード型のヨツメイシガメ、必死の求愛行動見せてくれます。

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セーブしていたアオダイショウの繁殖も再開。

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今年は2ペアの交尾を実施。

再び美しい仔ヘビたちが誕生するでしょう。

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こちらはジムグリの交尾。貴重なシーンです。

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ニホンカナヘビはどんどん産卵しております。

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アメリカドクトカゲのペア、積極的にメスを追尾。

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正直、まだまだ目標を達成できていない事も多いですが、

じっくりと地道に成果を残していきますよ。

 

野草。

 

やっと草食性の爬虫類達に野草を与えられる時期がきました。

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市販されている葉野菜も悪くはないのですが、

やっぱり「野の物」の方が栄養面から見ても断然にいいわけです、タダだし。

タンポポ、アカツメクサ、シロツメクサ、ルーサン、ハコベ、クワ、イネ系、など、園内は食材の宝庫。

 

こんな若くてうまそうなタンポポの株を見つけると、僕はすっかり舞い上がってしまいます。

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旬な物をふんだんに使える幸せ。

 

花も素晴らしい食材です。

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リクガメもイグアナもみんな大好きです。

この時期になると自然と脳が野草チャンネルに切り替わり、移動中は無意識に下ばかり見ながら野草を探してしまいます。

おかげで園内のどこにどんな餌となる野草があるかは把握できていて、草刈り作業が一斉に行われてしまっても、ここにだけは残っているという場所も抑えております。

これからはこの野草類を摘んできて、オリジナルサラダを作るのが日課です。

 

さっそくサイイグアナにも約半年ぶりの特製野草サラダを提供しました。

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野草をさけて、人参だけを器用に食べてます。

ではまた。

脱皮。

「羨ましい・・」

気持ち良さそうに脱皮しているアオダイショウの様子を見ていると、つい心の声が口から出てしまいます。

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爬虫類は、人類がどうあがいても絶対に手に入れる事ができない能力をたくさん持っておりまして、その中でも最も羨ましい習性の一つがこの脱皮です。

少々の怪我や肌荒れなんかも、脱皮を繰り返すことで綺麗に治ってしまうんだから、こんな素晴らしいことはありません。

彼らに「美容」といった概念は今後も無用でしょう。

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そんな習性からヘビは古来より「再生」「不老不死」というイメージを持たれ、医療・医学のシンボルとされてきました。

特にギリシア神話に出てくる名医アスクレピオスの杖が有名で、WHOをはじめ様々な医療機関のマークとして使用されています。

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ちなみに上の画像は脱皮前のアナコンダくんです。

ヘビは脱皮が近くなると体全体が濁り、ツヤもなくなります。

たまにこの状態のヘビを見て「なんか顔色悪いね、このヘビ」とヒソヒソ話している来園者の方を見かけますが、なかなか鋭い観察眼です、たしかに健康そうには見えません。

またこの時期はヘビも非常に神経質になっておりまして、餌も食べませんし(食べる個体もいます)攻撃的になる個体もいます。

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この状態は脱皮直前まで続きまして、肌の濁りが消えクリアーに戻ったらその後脱皮が始まります。

ヘビは脱皮が始まるまでの準備期間はかなり長いのですが、脱皮自体はあっという間で早ければ10分程度で終わってしまいます。

だから多数のヘビと日々戯れている僕であっても、脱皮中のシーンに出くわすことってなかなか難しいんですよ。

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ほんと世間は彼らのことを、やれ下等生物だとか、やれ手足がなくて気持ち悪いとか言いたい放題ですが、ヘビは進化の過程で無駄を削ぎ落としてこの形態になったわけです。

進化の過程でこれほど思い切った選択をし、これほど地上生活に適応していった生物が他にいたでしょうか。

シンプルにもほどがあるってくらい、ヘビにはもうこれ以上削るところがありません。

まさに最終形態、斬新すぎます。

断捨離の極み、進化の極み、下等どころか世の中で最も洗練された生物と言っても過言ではないと、僕は個人的に思うのです。

 

 

 

 

 

 

 

春化。

これまで冬モードであった爬虫類両生類館も完全に春モードへと切り替わりました。

ずっと穴で冬眠していたヒガシニホントカゲが姿を見せるようになり、

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地蔵のようにピクリともしなかったカナヘビたちも元気に動き回っております。

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冬季は岩の隙間かちらりと見える鱗の一部を観察するだけだったアルマジロトカゲ。

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今は親子3頭でたびたび姿を見せてくれます。

実に仲睦まじい光景に普段トカゲには抱かないような感情を持ってしまう今日この頃です。

 

こちらはシナワニトカゲのペア。

オスの鮮やかな体色、エナジーがみなぎっています。

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先日孵化したエゾサンショウウオの幼生。

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順調に日々ぐんぐん成長しております。

春到来です。

 

 

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