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by 大熊 一精

大熊 一精
プロフィール

1967年生まれ、埼玉県川越市出身。
銀行系シンクタンクに12年間勤務の後、2002年から札幌市に移り住み、現在はフリーランスのコンサルタントとして活動中。 「一日一冊」を目標に、ジャンルを問わずに、本を読んでいます。読書量全体のうち、電子書籍端末で読む割合は3割ぐらい。 札幌市民になってからは、毎年、コンサドーレ札幌のシーズンチケットを購入し、2014年シーズンで13年目。週末ごとに悲しい思いをすることのほうが多いのに、自分が生きているうちに一度ぐらいはJ1で優勝してほしいと願いながら、懲りずに応援を続けてます。
著書「北大の研究者たち 7人の言葉」(エイチエス、2012年刊)


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『東洋の神秘 ザ・グレート・カブキ自伝』(辰巳出版)

『東洋の神秘 ザ・グレート・カブキ自伝』(辰巳出版)

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帯に曰く「波乱に満ちた人生録!」とありますが、スキャンダラスな話は、ほとんど、出てきません。本人の周辺では、いろいろ、起こっているのですが(とりわけ終盤に出てくるSWSのあれこれはキツいものがありますが)、語り口がさらっとしていることに加え、著者(ザ・グレート・カブキ)は混乱の渦中には身を置くことなく、さりとて保身に走って慌てふためくでもなく、つねに、自分の立ち位置、あるいは自分の役割を冷静に、まるで他人のように自分自身を見つめていることもあり、デビュー50年のプロレスラーの自伝にこんな言葉を使うのは妙だと思いつつも、読後感は「さわやか」です。

もちろん、わかりやすいエピソードは、たくさんあります。

ゴッチは新日本プロレスのファンやレスラーから”プロレスの神様”と崇め奉られたが、俺は猪木さんによるイメージ戦略の賜物だと思っている。俺はゴッチのことを強いとはとても思えなかった。(p.60)

 

馬場さんは俺にも5年契約の話をしてきたが、それは断った。しかし、馬場さんは輪ゴムで止めた札束を紙袋に入れて、俺の前に出してきた。俺も全日本には貢献してきたという自負がある。しかし、ギャラの面ではまったくと言っていいほど、いい扱いを受けてこなかった。それが団体がピンチに陥り、今更金を積んできたのである。俺の目の前で馬場さんは「よく見ろ」と言いながら、懐中電灯で金の入った紙袋の中を照らした。(p.187)

 

こうしたことを堂々と言えるのは、著者には、自分で自分の人生を作り上げてきたという自信があるから、であり、その自信の土台には、磨き続けてきたプロレスの技術と、絶えず考え続けてきたお客さんを喜ばせる工夫がある、ということが、読み進めるうちに、わかってきます。

私にとっては、フリーランスで生きていく、うまく世の中をわたっていくためにはどうすべきか?の、いい教科書になりました。まさかこの本をこういうふうに読むことになるとは思いもしませんでしたが、だから読書は楽しいのです。

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