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2014年11月08日 の投稿一覧

『日本のモータースポーツ黎明期物語 砂子義一伝説』(kindle版)

『日本のモータースポーツ黎明期物語 砂子義一伝説』

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最初は金持ちの道楽だったカーレースの世界に、自動車メーカーが会社として参戦し、そしてプロのレーシングドライバーという新しい職業が生まれていく−という過程を、日本のレーサーの草分けである砂子義一の生涯を通じて描いた作品です。

と、さらっと書きましたが、私は砂子義一なる人物のことは、名前すら知りませんでした。この本の冒頭に登場する「日本グランプリ」という、F1とはまったく無関係なカーレースのことも、この本で初めて知りました。第1回日本グランプリの開催は1963年、鈴鹿サーキット開業の翌年のことです。

第2回日本グランプリにプロのレーシングドライバーとして参加した砂子義一は、カーレーサーになりたくてなったわけではありません。そもそも、1937年生まれの砂子義一の前には、プロのレーシングドライバーなどという職業は存在していなかったのですから、なりたいと思うはずもありません。

そんな時代に、工業高校を出てバイクメーカーに就職した砂子義一が、プロのレーシングドライバーになっていく経緯は、現在からみれば驚くほど牧歌的です。

 

この作品(電子書籍)は、著者による砂子義一氏へのロングインタビューを中心に、著者がこつこつと集めた資料や、砂子義一氏提供による貴重な写真を、出版社を使わずにまとめたものです。旧来型の紙の本であれば費用面での高いハードルがあった自費出版が、電子書籍の登場によって容易になり、こうして成果物として多くの人の目に触れられる形になりやすくなったことは、素晴らしいことです。

ちなみに、amazonプライム会員だと、無料で読めます(が、私は280円で購入しました…このブログを書くにあたってamazonの当該ページを見直してから、じつは無料で読める=読めた=のだと気づいたのでした)。

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