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2014年10月29日 の投稿一覧

金融全般⑰:「株式について」

こんにちは。

金融全般の第17回目は、「株式について」です。

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割と昔から投資されていらっしゃる方もいれば、「怖いもの」
だと思って敬遠されていらっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

今回は、投資という面からみた「株式」について書いていきた
いと思います。

一般的に「株式」とは、「株式会社」の部分所有権であり、その
株式会社のオーナーであることの証となる有価証券です。

株式を保有する「株主」さんは、保有する株数に応じて、その
当該株式会社が保有する資産や稼ぎ出す収益・配当などを所有、
受け取れる権利を有することになります。

また、株主の責任は有限責任であり、出資額以上の負担をする
必要はありません。会社が万が一倒産し、大きな負債を抱えて
いても、株主は自らの出資額以上の損失を被ることはないです。

というのが、教科書的な「株式」の説明になります。

株式会社と言っても、「上場会社」と「非上場会社」に分けられ
ます。

知り合いの会社で、「株主になってほしい」ということで、未上場
株を保有することはあるかもしれませんが、これは稀有なことで、
一般的に投資の世界で株式と言えば、「上場会社の株式」という
ことになります。

株式会社が上場(公開)するという段階を経ますと、その会社の
株式が、株式市場で日々売買されることになります。

売買されるということは、株価が存在し、それが毎日変動すると
いうことになるのです。

未上場の会社の株式は、株価算定という専門家などによる査定が必要
になりますが、上場会社の株価は常に売買されているので新聞などで
確認することが可能です。

未上場株は専門家による株価算定が必要なのに、上場株の株価は売買
されているからすぐにわかる。

では、上場株を売買している人たちは、どういう基準でその株価が
高いとか安いとか判断しているのでしょうか?

株式を売買するということは、基本的に投資目的がメインですので、
買うなら安く買いたいし、売るなら高く売りたいと思っているはず
です。

ある価格での売買をするということは、それなりの根拠が存在する
ということになります。

学術的に言いますと、上場株の株価算定方法は本当にたくさんの考え
方がありますが、ここでは本当に一般的な2つの方法をご紹介いたし
ます。

まず、もっとも一般的なのは、PER(株価収益率)という指標による
判断です。

PER = 株価 / 1株当たり当期利益

という式で求められるものですが、考え方とすると、1株の価値は、
その会社が1年で稼ぎ出す利益の何年分の評価をしているかという
基準を示しています。

PERは○○倍という単位で表示されるので、PER20倍だったら、その株価
は、その会社が稼ぎ出す最終利益の20年分の評価がされているのだと
いう理解をするのです。

概念が良くわかりませんよね?

はい、私もよくわかりません(笑)。

でも、これが株式投資の世界で最も使用されている株価を評価する指標
なのです。

2014年10月29日現在で、東証1部上場銘柄の平均PERは15.93倍となって
います。

※参照:株式市場の各指標

http://www.nikkei.com/markets/kabu/japanidx.aspx

つまり、東京証券取引所の第1部という主要企業が上場している市場の
全銘柄の今期予想利益を基準にして、現在ついている株価は、その企業
たちが今年稼ぎ出す見込みの利益の約16年分の評価をしているという
ことになります。

この倍率を、海外の株式市場と比べてみたり、同じ業種の他の会社と
比較したりして、割高とか割安を判断しているのが実情です。

絶対値として、どのくらいが高いとか安いとかの基準があるわけではなく、
あくまでも「相対的」に、他と比較して「高い」「安い」と判断する
ことになります。

株価の割高割安を、このPERで判断するということになりますと、その
数値を決める要因は2つとなります。

①株価
②1株当り当期利益

株式投資とは、究極はどういうものですか?と尋ねられたら、こう答え
ます。

「②の当期利益の当て合戦です」と。

株価は、その利益に対してPERの倍率で無理がないところまで変動する
ことが出来るので、どこまでの株価がつくかはPERの「E」、つまり、
「Earnings(利益)」にかかっているということになります。

ですから、ファンドマネージャーやアナリストの方々は、その企業に
取材をしたり、業界動向を分析して、将来的な会社の業績予想をする
ことによって、その企業の株価が割安か割高かを判断して、投資行動
をしているのです。

ですから、推理ゲームが好きな人は、株式投資が向いていることになります。

今の世の中はこういう風に動いているから、こういう業種の企業の業績が
良くなるはずだ

というようなシナリオを立て、その通りになるとしたら、人より早くその企業
を見つけ出し、その株式が割安なまま放置されていたら、それを保有して
おくことで、実際にそのシナリオが現実化した時に、その企業はこれまで以上の
利益を出すこととなり、それが周知の事実となれば株価はそれに見合うだけの
上昇をすることになります。

株式投資とは、つまり、その企業の業績を当てるゲームをしているといっても
過言ではないと思っています。

しかし、経済環境はその局面によって大きく変化することがあり、株式投資自体
をしている場合ではないという状況になる時があります。

その企業の十何年先までの利益の期待をして株を買っている場合ではない。

株式に入れてあるお金を回収し、比較的安全と思われる国債や他のものに資金を
移動しようという局面が、東日本大震災、アジア通貨危機、ブラックマンデーなど
そういう事件が起こったりすると台頭してきます。

こういう時に重要視されるのが、PBR(株価純資産倍率)という指標です。

これは、

PBR = 株価 / 1株当たり純資産

で表され、PERと似ていますが、分母は会社の利益ではなくて、その企業の純資産
です。

つまり、その企業が保有している土地や工場、キャッシュなど、本当にその企業が
現時点でどのくらいの純資産を持っているかを分母にして、株価はその何倍の価格
をつけているかを評価する指標です。

PBR=1倍 というのが、上場している株式を全部買い占めて、会社を清算してその
試算を全部売却したらトントンという数字です。

通常のマーケットでは、PERが主役として株価の割高割安を判断しているので、PBR
は1倍より大きな数字であることが一般的なのですが、前述の経済のクラッシュがある
と価値うんぬんよりもとりあえず株を売りたいという群集心理が働くために、PBRが
1倍を割れるものが続出します。

PBRが1倍を割れるということは、株式を全部買い占めて、会社の資産を売却したら
利益が出るという水準です。

実際にそういう風に清算することは難しいことですが、PBR1倍というのが一つ株価の
最低限の水準として存在していることになるのです。

私も過去に、オリックスがかんぽの施設を安く買っていたということを国会で追及され
たことがあり、オリックス株が暴落したことがありましたが、その時のPBRは0.3倍を
割っておりました。

異常ともいえる割安さに、思わずオリックス株を買わせていただいたことがあります。

基本的に会社がつぶれることがなければ、純資産並の価値は絶対にあるわけなので、
何か本質的な問題以外でPBRが1倍割れしている時は、その企業が潰れないで通常通り
営業できるのであれば、いつか評価される時が来るはずなのです。

そのオリックス株は、間もなくきちんと評価される時が来ました。

という風に、いろんな株式投資の指標などがありますが、簡単にいえば、PERとPBR
だけを知っていればよく、通常はPERだけを見ていれば十分かと思います。

要は、株式投資はその企業の業績を当てるゲームである

ということですので、経済ニュースや企業動向に注意しながら、いろんなシナリオを
立ててみて、その実現性を調査したりして、その精度を上げていくのが株式投資の
王道なのです。

それが出来るようになればよいのですが、いきなりは難しいという方のために、他にも
コツがあります。

株式は、現在約3400社が上場しており、私たちは株式を売買することが出来ます。

それだけ数がありますと、全てに目が行き届かないのです。

人知れずいい会社が割安で放置されていることがあります。

こういう銘柄の間の評価のギャップが存在するのが株式投資が人気がある1つの要因
だと思います。

ご自身の周りで、あの企業の業績がよさそうとか、この新商品はとても良いから売れる
はずだとか、ちょっとしたことが株式投資のヒントになることもあります。

そう考えると、日々の生活でのちょっとした気づきが、株式投資に結びついてくるのです。

株式投資をすると、この商品はどこが作っているのかな?とか、この会社のサービスは
とても良いから伸びるはずだといったように、社会に対して今までとは違った観点で
接することが出来、日々の生活がより内容の濃いものになるのです。

世間のことをより詳しく考える癖がつく。

これも株式投資を通じて得られる副産物だといえるかもしれません。

株式投資をこの1回のブログで書くことはとても難しいですので、改めて、「株式投資」
という専門の連載を別途していきたいと思いますので、楽しみにしていてください。

今回は「株式について」書かせていただきました。

ご参考になれば幸いです。

金融全般⑯:「債券について」

こんにちは。

金融全般の第16回目は、「債券」について書かせていただきたいと思います。

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債券と聞くと、あまり馴染みがないかもしれません。

昨今では、「個人向け国債」が発行され、個人投資家の皆様も国債が購入
出来るようになったと騒いでおりました。

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個人向け国債を発行すること自体について、私の意見はいろいろとありますが、
ここではおいておいて、債券についてお話したいと思います。

国債も、債券の一つです。

債券とは、ある主体が期限を定めてお金を借入したい時に発行する証券で、
通常、期限、利息、額面金額が定められているものを言います。

国が発行するものを「国債」

地方自治体が発行するものを主体によって、「東京都債」「○○県債」

企業が発行するものを「社債」

という風に呼んでいます。

債券には、外部の格付機関から安全度を示す「格付け」というものがなされており
投資家の方々に債券の安全度の基準が与えられています。

例えば、S&P社によると最も安全なものは「AAA」格として表され、「BBB」格まで
が投資適格債券とされております。

それ以下のものは、「ジャンク債」と呼ばれ信用度が比較的に低い債券とされてお
ります。

一般的に信用度が高い格付けの高い債券ほど、「利回り」が低く設定されており、
格付けの低い債券は「高利回り」に設定されております。

銀行が安心な企業には低金利で貸し付けますが、初めての取引先とか信用度の低い
企業には高めの金利設定をするのと同様です。

債券は、基本的に「元本保証商品」です。

誰が元本保証をしているかと言えば、その「発行体」です。

国債ならば、国が元本を保証していますし、企業ならばその企業が元本保証してい
ます。

債券は、発行されたときに購入して、定められた期限である「満期」まで保有すれ
ば元本が返ってきますし、その間は定められた「利息」を受け取ることが出来ます。

最近人気の債券としては、SBIホールディングスという企業が出した1年満期の債券で、
「SBI債」というのがありますが、1年の満期で利回りが1.52%となっています。

SBIという会社が1年以内に倒産しなければ、元本保証で1.52%の利息が受け取れると
あって、発行されてすぐに完売するような人気商品となっています。

※参考:SBI債

https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_bond&cat1=bond&cat2=japan&dir=japan&file=comment/bond_japan_P2442_01.html

こういうものがあると知っているのと知らないのでは、お金の活かし方に
大きな違いが出てくるのです。

もちろん、発行する主体の信用度を調べる必要がありますし、期間にも注意を
払う必要があると思います。

また、債券は満期まで持つのが基本なのですが、途中で売買することも可能
です。

しかし、途中で売買するとその時の金利状況や信用状況などによって債券の
価格が変動しており、発行時とは違った条件となります。

信用度合いの変化がなかったとして、世の中の金利状況だけが変化したと
仮定しますと、

金利が上昇したら、債券価格は下落します。

金利が下落したら、債券価格は上昇します。

さあ、難しくなってきましたか?

どういうことかと言いますと、

例えば、期間5年満期、利息1%の債券が発行されたとしましょう。

1年後、世の中の金利は2%に上がったとします。

すると、1年後に新しく発行される債券は2%くらいの金利がつけられる
ことになりますので、過去に発行された年間1%しかもらえない債券の
魅力は低下してしまうのです。

同じ債券を持つなら金利の高いものを持ったほうが有利ですよね?

ですから、最初の債券を売買しようとすると、残りの期間4年間持った
時に2%の金利を受け取ったのと同じことになるように債券自体の価格
を下げることによって釣り合いを保つのです。

債券は当初の価格が100円としますと、満期まで持っていれば100円帰って
来ます。

当初の債券を残り4年間持ってたとすると、発行から1年たった時点からで

1年目:1円(100円の1%)
2年目:1円
3年目:1円
4年目:1円+元本100円

の合計104円受け取れることになります。

新しい債券でもし4年満期の債券があったとしたら、

1年目:2円
2年目:2円
3年目:2円
4年目:2円+元本100円

の合計108円受け取れることになるので、

金利が2%に上がってしまった後に、1%の金利しかつかない債券を
同じ100円で買ってしまうと、4円損することになります。

となりますと、この時点で1%しか金利がつかない債券を売買しよう
とすると、100円の元本に対して96円という価格がつくことになります。

そうすると、

1年目:1円
2年目:1円
3年目:1円
4年目:1円+額面100円(投資元本は96円)

ということで、満期の時に96円の元本に対して100円帰ってくるので、
その時の4円の利益を足してちょうど8円の儲けが出る換算になり、2%
の債券を買ったのと同じことになるということです。

お分かりになりましたか?

日本経済新聞などを見ていますと、「国債利回り」という指標が書かれ
ておりますが、過去に発行された国債などは、現時点の金利水準や今後
の金利動向を鑑みて、頻繁に途中売買されているので、債券価格の変化
によって、今の市中での実質的な金利はどのくらいなのかということを
知ることが出来るようになっているのです。

基本的には、私たち個人投資家は、債券投資をする場合には、満期まで
持つというのが前提になりますので、途中売買のことは考えなくても
良いのですが、債券の特色としてご紹介いたしました。

基本的には国の信用度が一番高いということになっているので、国債の
利回りが最も低くなっています。

皆さんのご存じの企業でここは大丈夫と思われる企業が社債を発行され
ていたら、その利回りは国債よりも高くなっていることでしょう。

詳しくは、お近くの証券会社で、今どういう債券が発行されていて購入
することが出来るのか、お問い合わせいただければ教えてくれると思い
ます。

いつまでも銀行預金だけにしているのではなくて、こういうものもある
んだということを知っていただき、これなら大丈夫だろうと思うものが
あれば、試しに購入して利回りの違いを体感していただくのもよろしい
かと思います。

お金に働いていただく先は、普段接しているところ以外にたくあんある
ものです。

運用商品の特性を知って、積極的に使っていきたいものです。

ということで、今回は普段はあまりなじみのない「債券」について、
書かせていただきました。

少しでもご参考になれば幸いです。

濱本学泰

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