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電柵
Posted by zoozakki on 2010年7月14日(水) 17:50
さあ今回は電柵設置までの流れを紹介させて頂こうと思っています。
かなりの長文になることが予測されますので心して読んでください!
それではまいりますか
はい これが電気柵ですね。 設置までの流れの前に電気柵とはどのようなものなのかを説明しますね。
電気柵とは文字通り電気の流れた柵なのですが別名は心理柵と言います。
なぜ心理柵なのか? それは動物の心理に働き掛けるからです!
電気柵に触れた動物は強い衝撃を感じます(野生界では経験しないような馴れない痛み) 嫌な思いをすると動物は電気柵に近づかなくなるんですね。
人間も何か嫌な思いをしたら次回からは気をつけるようになりますよね?
それと同じで動物も嫌な思いをしたら次回から気をつけるようになるのです!
まあそれを利用したのが電気柵=心理柵なのです! お分かりいただけましたかね?
ちなみに動物の体には害をなさない程度なので安心してくださいね。
どれくらいの衝撃か興味のある方は観光牧場なんかに行くと設置してあるので試してみてください(自己責任ですから本気にしないでくださいね)
まあ自分も電気柵で感電したことがあるので動物園で声をかけていただければどんな感じかは説明いたします。 自分にはもうしっかりと心理柵が働いています(笑)
さて電気柵について理解していただけたところで設置までの流れに行きましょうかね。
まずファームエイジさんの持ってきた電柵の道具をシカ舎裏に運び入れます。
映っているのは酪農大の学生さんとファームエイジの川崎さんです。(左側の濃い緑の服の女性です)
次です。
電柵を付けるもとになるポールに線を引きます。 この線を頼りにポールを土にさしたり電柵をつないでいきます。
この黒いポールはグラスファイバーで出来ているのでしなやかさがあります!このしなやかさのおかげでシカがぶつかっても倒れたりしないんですね。
次は黒いポールの線のところに後で電気を流すリボンをつけるための金具をつけます。
この準備が終わればいよいよ放飼場に設置しに行きます。
まずは電柵設置場所の四隅にポールを立てていきます。
もちろん自分も手伝っていますからね。 しかしながらシカ舎の放飼場は石だらけでなかなかポールが入っていかなくて苦労しましたね。 悪戦苦闘です。
なんとかポールを立てていよいよ電気を流すリボンを付けます。
リボンって何よ? と思いの方が多々いらっしゃると思いますので説明しますね。
電気柵の電気を流す帯状の布で金属製のワイヤーをとおしたものを通称リボンと呼んでいるのです。 リボン以外にもワイヤーだけのものあるのですが今回はシカが当たってもしなやかさのあるリボンタイプを使うことのしました。
さて 話を戻します。
女性陣がリボンを付けている間も男性陣は黙々とポールを打ち付けていきます。
途中でクマ館担当の河西さんも手伝いに来てくれました。 助かりました。
黄色い金具の登場です。 これは人が中に入るときの扉となる場所につける絶縁の持ち手がついたものです。 これが無いと感電しますね。
これで二カ所の設置完了ですね。 あと二カ所です。
さてリボンの付け終わった電柵に今度は電源につなぐための電線を装着します。
画像の黒いやつがそれです。
こんな感じで装着です。
さて今回の電源はどこから確保するのかといいますとこちらです。
はい ソーラーですね。
このソーラー一台で今回設置した規模であれば二倍くらいまでまかなえるほどの余裕があるそうです。 凄いですね。
ちなみに天気悪いと駄目じゃないかとお思いの方がいらっしゃるかもしれないので付け加えておきますが曇りが一ヶ月続いても大丈夫なくらいの性能があるんです。
今回は電気柵がシカ放飼場の奥と手前で離れているので電線は地面の中をはわせてあります。 上の写真の土の色が少し変わって見えるのがそれですね。
全部の器具の設置が終わったらこの標識を付けます。 もちろん人間用であってシカに知らせているわけではありませんよ。
これを付けていないと誤って触ってしまう方がいるかもしれませんからね。
・・・・・・電気が流れていたら一発アウトですね。
さていよいよ電気を流して通電しているかの確認です。 電圧は9800ボルトでした。
野生動物に対しては少し強めの電圧にします。 牛で5000ボルトとかですね。
ちなみに電柵の中には人参とトウモロコシを植えました。 種からなのでどこまでのびるかはわかりませんが・・・
さて電気柵の設置通電の確認が済みましたのでいよいよシカさんに登場してもらいましょうか! と 思ったのですがこのままいくと恐ろしい長さになるので (もうなってる)シカを出してからの話は次回に置いといて 今回の設置の目的をお知らせしますね。
ここからは文字だらけです。ご了承くださいね。
現在北海道ではエゾシカが爆発的に増えています! その数53万頭とかになっています。
原因は 人がオオカミを絶滅させた 食料となるものが増えた(農作物など)
隠れ家が増えた(人工林の増加) 暖冬で降雪量が減ったなどがあげられます。
ざっと見ただけでも人間が原因と分かりますね。 今北海道では増えすぎたシカを減らすために年間13万頭ほど捕獲しなくては数を減らせないと言われています。 しかしそのうち捕獲できているのは7万頭ほどと言われています。
シカは2歳になると繁殖可能になるのでこのままでは増える一方です。
捕獲方法は猟銃を使ってのハンティングのほかに囲い式の罠などがあります。
さてここで今回の電柵とのかかわりが出てきますよ。 囲い式の罠は周囲を高いフェンスで囲い中に餌を入れてシカをおびき寄せて中に入ったシカを一網打尽にする方法です。
しかしフェンスの設置はコストがかかります。そこで今回囲い式罠のシカを搬出する場所などを電気柵におきかえれないかの検証をするために酪農学園大学との共同研究で実験的にファームエイジ株式会社協力のもと電気柵の設置にいたりました。
具体的には電柵と電柵の間が餌箱側と奥では違います。1.5メーターと1メーターです。
この間ですね。
この間をシカが電柵にある程度馴れた後で通るかどうかが今回の実験の重要なポイントです。
通ったかどうかは酪農大で用意して頂いた赤外線センサー付きのカメラで動画を撮影しての検証です。
こんな感じのカメラですね。
この間をシカが安心して通るようであれば今後の北海道でのシカ捕獲の方法が劇的に変わるときが来るかもしれませんね。 コスト削減が出来れば色々な市町村でのせっちが期待できるのです。
とまあこんな感じで今回の設置についてご理解いただけましたかね?
要するに何メーターまでならシカが通るかが重要なんですね そこを調べるために設置しているのです。
前の回のブログに書いたとおり動物園の研究の場としての機能が実践されていてなおかつそれをお客さまも見ていただいて北海道の現状を伝える環境教育でもあるのです。
とまあ小難しい話なのでもしもっと詳しく聞きたい方は是非動物園に来てシカ舎にいる自分に聞きに来てください。
パーマネントが目印です。
近くの獣舎にもパーマネントな方が居るので間違わないように気を付けてくださいね。
さて過去に類を見ないほど長々と書いてまいりましたが今回はこれくらいにしておきたいと思います。
最後に
はい ウチダさんでした。 彼も北海道で話題の動物?ですよ(特定外来生物として)
ウチダザリガニについてもそのうちやらなくてはいけませんね。
さて 次回は電気柵とシカ~未知との遭遇(接触?)でお会いしましょう!
今回も長々とご覧にいただいて感謝いたします。 (毎回長いですからね)
次回も長々やらせて頂きますね それではまた・・・・・・・
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