札幌100マイル

円山動物園ブログ

円山動物園の動物の近況や出来事などを綴ります

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電柵

さあ今回は電柵設置までの流れを紹介させて頂こうと思っています。

かなりの長文になることが予測されますので心して読んでください!



それではまいりますか


はい これが電気柵ですね。  設置までの流れの前に電気柵とはどのようなものなのかを説明しますね。


電気柵とは文字通り電気の流れた柵なのですが別名は心理柵と言います。

なぜ心理柵なのか?  それは動物の心理に働き掛けるからです!

電気柵に触れた動物は強い衝撃を感じます(野生界では経験しないような馴れない痛み) 嫌な思いをすると動物は電気柵に近づかなくなるんですね。

人間も何か嫌な思いをしたら次回からは気をつけるようになりますよね? 

それと同じで動物も嫌な思いをしたら次回から気をつけるようになるのです!


まあそれを利用したのが電気柵=心理柵なのです! お分かりいただけましたかね?
ちなみに動物の体には害をなさない程度なので安心してくださいね。


どれくらいの衝撃か興味のある方は観光牧場なんかに行くと設置してあるので試してみてください(自己責任ですから本気にしないでくださいね)

まあ自分も電気柵で感電したことがあるので動物園で声をかけていただければどんな感じかは説明いたします。  自分にはもうしっかりと心理柵が働いています(笑)

さて電気柵について理解していただけたところで設置までの流れに行きましょうかね。



まずファームエイジさんの持ってきた電柵の道具をシカ舎裏に運び入れます。
映っているのは酪農大の学生さんとファームエイジの川崎さんです。(左側の濃い緑の服の女性です)
次です。



電柵を付けるもとになるポールに線を引きます。 この線を頼りにポールを土にさしたり電柵をつないでいきます。

この黒いポールはグラスファイバーで出来ているのでしなやかさがあります!このしなやかさのおかげでシカがぶつかっても倒れたりしないんですね。



次は黒いポールの線のところに後で電気を流すリボンをつけるための金具をつけます。

この準備が終わればいよいよ放飼場に設置しに行きます。





まずは電柵設置場所の四隅にポールを立てていきます。



もちろん自分も手伝っていますからね。  しかしながらシカ舎の放飼場は石だらけでなかなかポールが入っていかなくて苦労しましたね。 悪戦苦闘です。



なんとかポールを立てていよいよ電気を流すリボンを付けます。 

リボンって何よ? と思いの方が多々いらっしゃると思いますので説明しますね。

電気柵の電気を流す帯状の布で金属製のワイヤーをとおしたものを通称リボンと呼んでいるのです。 リボン以外にもワイヤーだけのものあるのですが今回はシカが当たってもしなやかさのあるリボンタイプを使うことのしました。

さて 話を戻します。




女性陣がリボンを付けている間も男性陣は黙々とポールを打ち付けていきます。




途中でクマ館担当の河西さんも手伝いに来てくれました。 助かりました。


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黄色い金具の登場です。 これは人が中に入るときの扉となる場所につける絶縁の持ち手がついたものです。 これが無いと感電しますね。

これで二カ所の設置完了ですね。  あと二カ所です。
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さてリボンの付け終わった電柵に今度は電源につなぐための電線を装着します。
画像の黒いやつがそれです。
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こんな感じで装着です。    

さて今回の電源はどこから確保するのかといいますとこちらです。
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はい  ソーラーですね。

このソーラー一台で今回設置した規模であれば二倍くらいまでまかなえるほどの余裕があるそうです。  凄いですね。

ちなみに天気悪いと駄目じゃないかとお思いの方がいらっしゃるかもしれないので付け加えておきますが曇りが一ヶ月続いても大丈夫なくらいの性能があるんです。


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今回は電気柵がシカ放飼場の奥と手前で離れているので電線は地面の中をはわせてあります。 上の写真の土の色が少し変わって見えるのがそれですね。


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全部の器具の設置が終わったらこの標識を付けます。 もちろん人間用であってシカに知らせているわけではありませんよ。

これを付けていないと誤って触ってしまう方がいるかもしれませんからね。


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・・・・・・電気が流れていたら一発アウトですね。
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さていよいよ電気を流して通電しているかの確認です。  電圧は9800ボルトでした。

野生動物に対しては少し強めの電圧にします。  牛で5000ボルトとかですね。
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ちなみに電柵の中には人参とトウモロコシを植えました。 種からなのでどこまでのびるかはわかりませんが・・・

さて電気柵の設置通電の確認が済みましたのでいよいよシカさんに登場してもらいましょうか! と 思ったのですがこのままいくと恐ろしい長さになるので (もうなってる)シカを出してからの話は次回に置いといて 今回の設置の目的をお知らせしますね。

ここからは文字だらけです。ご了承くださいね。



現在北海道ではエゾシカが爆発的に増えています! その数53万頭とかになっています。 

原因は 人がオオカミを絶滅させた  食料となるものが増えた(農作物など)
隠れ家が増えた(人工林の増加)  暖冬で降雪量が減ったなどがあげられます。


ざっと見ただけでも人間が原因と分かりますね。    今北海道では増えすぎたシカを減らすために年間13万頭ほど捕獲しなくては数を減らせないと言われています。  しかしそのうち捕獲できているのは7万頭ほどと言われています。

シカは2歳になると繁殖可能になるのでこのままでは増える一方です。

捕獲方法は猟銃を使ってのハンティングのほかに囲い式の罠などがあります。


さてここで今回の電柵とのかかわりが出てきますよ。 囲い式の罠は周囲を高いフェンスで囲い中に餌を入れてシカをおびき寄せて中に入ったシカを一網打尽にする方法です。

しかしフェンスの設置はコストがかかります。そこで今回囲い式罠のシカを搬出する場所などを電気柵におきかえれないかの検証をするために酪農学園大学との共同研究で実験的にファームエイジ株式会社協力のもと電気柵の設置にいたりました。

具体的には電柵と電柵の間が餌箱側と奥では違います。1.5メーターと1メーターです。


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この間ですね。


この間をシカが電柵にある程度馴れた後で通るかどうかが今回の実験の重要なポイントです。

通ったかどうかは酪農大で用意して頂いた赤外線センサー付きのカメラで動画を撮影しての検証です。
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こんな感じのカメラですね。


この間をシカが安心して通るようであれば今後の北海道でのシカ捕獲の方法が劇的に変わるときが来るかもしれませんね。 コスト削減が出来れば色々な市町村でのせっちが期待できるのです。

とまあこんな感じで今回の設置についてご理解いただけましたかね?
要するに何メーターまでならシカが通るかが重要なんですね そこを調べるために設置しているのです。

前の回のブログに書いたとおり動物園の研究の場としての機能が実践されていてなおかつそれをお客さまも見ていただいて北海道の現状を伝える環境教育でもあるのです。


とまあ小難しい話なのでもしもっと詳しく聞きたい方は是非動物園に来てシカ舎にいる自分に聞きに来てください。
パーマネントが目印です。

近くの獣舎にもパーマネントな方が居るので間違わないように気を付けてくださいね。



さて過去に類を見ないほど長々と書いてまいりましたが今回はこれくらいにしておきたいと思います。


最後に
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はい ウチダさんでした。  彼も北海道で話題の動物?ですよ(特定外来生物として)

ウチダザリガニについてもそのうちやらなくてはいけませんね。

さて 次回は電気柵とシカ~未知との遭遇(接触?)でお会いしましょう!

今回も長々とご覧にいただいて感謝いたします。  (毎回長いですからね)

次回も長々やらせて頂きますね それではまた・・・・・・・

エゾシカ舎からのお知らせです。

こんにちは! 今回はエゾシカ舎からのお知らせです。


本日13時から色々と作業をしていたのでお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんがエゾシカ舎放飼場に電気柵を設置しました。



こんな感じですね。

今回の設置につきましては札幌市円山動物園、酪農学園大学、ファームエイジ株式会社との産学協同研究のいっかんとしての設置です。
お客様のご理解とご協力をお願いします。

目的は現在農業被害に困っている農家さん達が利用している電気柵を今後生態学的な研究で用いるために必要なデータを取りを行うとともに、より多くの方に野生動物による農業被害の深刻さや実態を知る機会をつくるという目的があります。


今回の設置でなんで動物園でやらなきゃいけないの? と疑問に思う方も多いと思いますので少し説明させて頂きますね。

まず動物園は従来より4つの社会的機能をもつといわれています。

1.教育   2.レクリエーション   3.自然保護   4.研究


こんな感じです。 ご存知でしたか?

今回の電柵は4の研究に当たるということです!電気柵を通して今の北海道のシカが増えすぎた現状などもお伝えできるので1の教育にも含まれるかもしれませんね。

ちなみに3の自然保護なら野生動物の自然復帰などがそれにあたりますかね?

とまあこんな感じで動物園には色々な役割が含まれていることを是非皆さんに知っていただきたいですね。  もちろんここには書いていませんが種の保存なども大事な役割ですよ!

この4つの事を踏まえて動物園を見るとまた違った一面が見れて面白いかもしれませんよ。 ポスターや飼育員の解説などには色々とメッセージが含まれていますので是非皆さんもメッセージを受け取ってくださいね。


さて文字がだいぶ多くなってしまい申し訳ありません。 

電気柵についてはまた次回にでも設置までの作業風景を織り交ぜながらしっかりと説明させて頂きますね。

最後に


はい 恩(めぐむ)くんのその後を少し報告です。

だいぶふっくらしてきましたね。 ただ画像を見ていただければお分かりのように正面から見て右側の角が裂けていますね。  困ったものですね。

今日朝見たときにはまだ血が滲んでいたので夜から朝にかけてどこかにぶつけてしまったのかもしれませんね。

シカの角はぶつけて裂けたりすると形が変形してしまうので心配です。 来年生える角はまた元通りなんですが 今年はカッコ悪いままになるかもしれませんね。

また追って報告していきたいと思います!

それでは今回は文字が多くなってしまいましたが最後までご覧いただきありがとうございました。

次回は「電柵」か「ウチダ」か「緑化計画」でお会いいたしましょう。

エゾシカ舎のちょっとした変化やら何やら

こんにちは。

今回はタイトルどうりシカ舎の変化などについて書きたいと思います。

まずは放飼場の変化についていきます。


まずこの写真です。

何をしているんでしょうね?  写真の人物は髪の毛の巻き具合から自分だと推測できますね。(昨年の5月頃の本田さんのブログを参考にしてください)


次の写真にいきましょうか


これが一週間後ぐらいの写真ですね。 この写真で何を伝えたいか気づく方はなかなかの観察眼をお持ちですね。

さあ次に参りましょうか



これが今日の写真です。  もう半数ぐらいの方が気がつきましたかね?


勇(いさむ) 芽(めい) 道(みち)ですね。 寄ってみましょうか。



もう気がついていただけましたよね? そうですこれです!


この緑です!!  

今エゾシカ舎にはこのような変化がおきています! まあ「エゾシカ放飼場緑化計画」と名づけておきましょう

最近動物園によく来られている方なら気がつくほど薄らと緑に覆われてきています。

ちなみに最初の写真


こちらですね。 これは種を蒔いた後に土をかき混ぜていた画像でした。
シカの放飼場はなかなか広いので大変でしたね。

ちなみに蒔いた種はオーチャードとクローバーです。

これからは雨が降った後に種を蒔いて少しずつ植物を定着させていこうと思っています!
ただですね彼ら(鹿)はこのとうり



そうです 草を食べるんです!まあ草食動物なので当たり前ですね。彼らの場合肉を食べた方がビックリですね。

草を食べる=生えてきた草も食べるということです。 生えたそばから食べられていてはクローバーもオーチャードも堪ったもんじゃないですよね。

な・の・で 今はシカさんの機嫌を損ねないように常に満腹でいてもらうように餌を多めにして「ニーッ」という催促の声が聞こえたら餌をあげています。

ただ 朝のご飯は先日のブログに書いたとおり11時15分からのお食事タイムで与えているので朝一にまず青草を与えています。 それでも満足のいかない勇くんは調理場の窓から覗き込み催促します。

こんな感じですね。

芽ちゃんにいたっては放飼場から柵をくぐってお客様側に出てきて草を食べる始末です。 ほかの子たちも生えてきた草をむしゃむしゃ食べ始めてしまいます。
本当に勘弁していただきたいものですね。


それでも今のところは間食されることもなく緑が生えて来ています!


ぜひ皆さんもシカ舎の緑とシカのコントラストを見に来てくださいね。



さあ長くなってきましたが「何やら」のほうもいかせていただきますね。


恩くんのその後です!

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はい塞がりましたぁ~

この後は黒っぽい周りからもりあがっていき袋角が伸びていきますよ。
追って結果を報告していきたいと思いますので乞うご期待!

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いい顔して食ってます。


ちなみに
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勇くんはもう立派な袋角になっちゃいましたね。あともう一回枝分かれが増えてかんせいです!

この辺もそのうち触れていきたいと思います。


さあシカの話はこれくらいにして 実はもう一つ担当動物(?)がいます。

ウチダさんです。

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そうですウチダザリガニです!!  まあ写真では見づらいのでそのうち詳しくブログで紹介したいと思います。

関係ありませんがこの流木の組具合たまりませんなぁ わかる人にはわかるんですよね。 この話は長くなるのでウチダブログで紹介します。


ちなみにウチダザリガニは動物園正門から入ってすぐ左にある動物園科学館の奥のほうにいますので皆さんぜひ見逃さずに見てくださいね。


さあかなり長くなりましたがこれで終わりにしたいと思います。 長々とブログに目を通していただき感謝します!

最後に今日閉園後に電線でぐるぐる回る鳥がいると思いきやこいつでした。


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わかります?







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エゾリスでした ちょっとぶれてますね。 機敏に動き最後は電線から木に飛び移り姿をくらませました。


それではまた次回に・・・・・

エゾシカ舎からこんにちは

こんにちは。

4月から弓山さんに代わりエゾシカを担当することになりました渡邊です。
タイトルで気がつく動物園マニアの方もいるかもしれませんが去年の4月~9月末までは昆虫館を担当していましたので見た方も多いかもしれないですね。


遅くなりましたがこれからエゾシカ情報を色々発信していこうと思いますのでよろしくお願いします。

まずは最近の出来事を報告します。

6月22日にオスジカの恩(メグム)の角がやっと抜けました(正確には落角といいます)!!


まずこれが恩の落角(らっかく)前の状態です。 で・・・・

はい抜けましたぁ~

アップですね。 まだ抜けたばかりなので左側は血が出ています。
ちなみに左側は自分がシカ舎を掃除しているときに抜けました。 推定時刻10時10分です。



落角した角はこんな感じです。 あっ ちなみに動物園のシカさんの角が短いのは危険防止のためです。 奈良の鹿公園も角切りをする理由も同じですね。
この辺の内容については金曜日~火曜日11時15分から行っているエゾシカのお食事タイムの中で詳しく話していますのでぜひ聞きにきてくださいね。


さて話を戻して恩くんはといいますと・・・・

やはり気になるようで一輪車の持ち手に擦りつけてました。血がつくので勘弁していただきたいものですね。
恩くんは一輪車に戦いを挑むのが好き?でよく角をぶつけに来ます。そのくせ一輪車を動かすと飛び跳ねながら後ずさりするおかしなやつです。まあ本人(本鹿?)は楽しんでいるのでしょうね。


冒頭で6月22日にオスジカの恩(メグム)の角がやっと抜けました!といいましたが本来であればもっと早い時期大体が6月前には落角するのでやっとって意味です!一応説明しておきました。
ちなみにシカ舎のボス的な勇(イサム)くんは4月14日と15日に抜けました。
若い固体は抜けるのが遅いんですがそれでもちょっと遅かったですね。
まあ無事に落角して何よりです!

さて長々と書いてきましたが今回はこれくらいでおしまいにしますね。

次回はエゾシカ舎のちょっとした変化やら何やらをお届けしたいと思います。

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