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by 大熊 一精

大熊 一精
プロフィール

1967年生まれ、埼玉県川越市出身。
銀行系シンクタンクに12年間勤務の後、2002年から札幌市に移り住み、現在はフリーランスのコンサルタントとして活動中。 「一日一冊」を目標に、ジャンルを問わずに、本を読んでいます。読書量全体のうち、電子書籍端末で読む割合は3割ぐらい。 札幌市民になってからは、毎年、コンサドーレ札幌のシーズンチケットを購入し、2014年シーズンで13年目。週末ごとに悲しい思いをすることのほうが多いのに、自分が生きているうちに一度ぐらいはJ1で優勝してほしいと願いながら、懲りずに応援を続けてます。
著書「北大の研究者たち 7人の言葉」(エイチエス、2012年刊)


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『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール(NHK出版)

『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール(NHK出版)

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日米同時発売、日本語版序文は瀧本哲史氏(『僕は君たちに武器を配りたい』『君に友だちはいらない』)との触れ込みで、紙の本と同時に電子書籍(Kindle)版も刊行された本です(私はKindleで読みました)。

ジャンルとしてはビジネス書として位置付けられ、書店ではそうしたコーナーに並べられるのだろうと思われますが、この本には、「いますぐ◯◯をやればこうなります」といった即効性の高いノウハウは、一切、書いてありません。ビジネスを進めるにあたって使える戦術的な事項もないわけではないのですが、全般には、戦略レベルよりさらに上のレイヤーの、いわば「心構え」が綴られた本です。

こういう本がおもしろく感じられるかどうかは、読み手の問題意識によって、大きく変わってきます。

2009年に話題になった『フリー』という、これもNHK出版から刊行された翻訳本があります。私は、この本を、刊行直後に読みました。当時参加していた勉強会のテキストに指定されたから、なのですが、勉強会のテキストになった理由は「これは素晴らしい本だからぜひ読むべきだ」というものでした。

しかし、これといって新しいことが書いてあるようには感じられず、何がすごいのか、さっぱりわかりませんでした。

ところが、それから何年か経って、自分自身のビジネスの課題と『フリー』の内容がシンクロしてきたような気がしてきて、再びページを開いてみたら、すいすい頭に入ってくるし、さまざまな刺激があって次から次へとアイデアが湧いてくる。

ここで紹介する『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』も、その類の本だと思います。基本的には起業家やベンチャー投資家向けの内容なので、それらと関係のない方の多くにとっては、何の面白みも感じられない本、だと思います。でも、起業家や投資家でなくとも、これから新たなビジネスを(起業に限らず会社員の立場での社内プロジェクトであっても)始めようと考えている方や、現状維持の延長線上に漠然とした不安を感じている方には、ご自身の問題意識をできるだけ具体的な姿にしたうえで、この本を読むことを、強くお勧めします。

絶滅か、それとも進歩か。それは僕たち次第だ。未来が勝手によくなるわけはない—ということは、今僕たちがそれを創らなければならないということだ。(中略)今僕たちにできるのは、新しいものを生み出す一度限りの方法を見つけ、ただこれまでと違う未来ではなく、より良い未来を創ること—つまりゼロから1を生み出すことだ。そのための第一歩は、自分の頭で考えることだ。
(終わりに 停滞かシンギュラリティか)

 

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