ユキヒョウ 「シジム(メス)」と「アクバル(オス)」の同居について
Posted by zoozakki on 2017年5月14日(日) 20:56
園内はコブシやサクラが満開の季節、
開花と共にメジロも渡ってきました♡
さて、ユキヒョウの「シジム(メス:6歳)」と、
「アクバル(オス:11歳)」の同居について、
担当の三浦(麦ワラ)から、状況をお伝えしたいと思います。
4月16~24日の期間、メスのシジムに、今シーズン4回目の発情が見られました。
その内、20~23日は、シジムの発情行動がより強くなり、
アクバルもシジムへの意識が集中している為、同居をしました。
同居は寝室で実施。
同居のタイミングは、
①オリ越しで互いに鼻を鳴らして積極的に、挨拶行動をしているのか。
また、
②オリ越しにシジムがアクバルを誘い移動をする、
この移動に反応してアクバルが追尾をしているのか。
以上の行動から、
アクバルとシジムの「発情レベルのバランス」がとれているのかを判断します。
同居のタイミングは、飼育員が誘導する事では無く、ペアの行動から伝わってきます。
より集中して観察、観察、観察から機会をねらいます!
食肉目ネコ科については、発情状態が良好なので、
同居をして交尾という、シンプルな事柄ではありません…
発情のバランスが取れていなければ、
その気の無い個体は、嫌がって威嚇をします、
身がキケンと感じれば攻撃する場合もあるのです。
ユキヒョウでは、同居は慎重な見極めが必要となります!
また、同居計画をたてて、従事する職員の役割を決め、
万が一に備えて、闘争回避用の高圧ホースや竹竿を準備します。
結果については、交尾行動が20日に28回、21日は32回、22日は19回あり、ペア共に負傷もなく同居ができました。
今後については、シジムの今季発情周期から、次回発情は5月20日前後を予測しています。
発情が無い場合は、妊娠の可能性もありますが、ユキヒョウの季節発情(冬~初春)が終了しただけかもしれないので、
観察、観察、観察から判断となります。
ちなみに、当園ではネコ科の同居方法は大きく分けて2つあります。
① 繁殖期の発情中のみ同居をして交尾をさせる方法。
(ペアの相性がまだ十分わからない場合)
ペアの発情レベルの見極めが重要になります。
間違えればリスクがある場合もということ…、
繁殖期に入れば、日々の観察がより重要になります。
シジムは、今回はじめての同居だっため、こちらの方法で行いました↑
過去2回、「リーベ」と「アクバル」との同居はこちら↓
② 繁殖期の前からペアを同居動物として馴致をして過ごさせる方法。
(ペアの相性が良いとわかっている場合)
繁殖期の発情中には親密な関係ができている為、交尾は容易となりますが…
その分、この関係を築くための同居馴致期間は長く、毎日見極め、見極めをしながら、
闘争させずに徐々に同居時間を伸ばしていきます。
つまり、馴致期間中は動物たちと飼育員の緊張が続く、大変な事柄となります。
「人と動物と環境の絆をつくる動物園」
―札幌市円山動物園―
ネコ科の同居中に思うことは、
飼育下での「種の保存」について、本当に大変であるということ…
野生下では、好きであればペアとなり、
嫌であれば回避して、他の個体を探しに行くなどと、
当然ですがうまくバランスがとれているし…
夢物語ですが同居だけに特化した、
自然の行動を引き出せる獣舎があれば、
繁殖が少しでも容易になるのかな?…と、
色々考えてしまう…麦ワラでした。
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