札幌100マイル

円山動物園ブログ

円山動物園の動物の近況や出来事などを綴ります

『爬虫類・両生類館』カテゴリーの投稿一覧

コウヒロナガクビの産卵、2016。

今年もコウヒロナガクビガメが産卵してくれました。

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円山動物園ではこれまで2回の産卵を経験しておりますが、孵化には至っておりません。

それどころか、有精卵かどうかもわかっていないのが現状です。

以前もお話しましたがこの種の繁殖は非常に困難でして、世界的にも数例しか確認されておらず、ここ10年くらいは新たな報告例もありません。

それくらい繁殖の条件がよくわかっていないのです。

コウヒロナガクビはオーストラリア南東部に生息するカメでして、「高温多湿の夏」と「冷涼で乾燥した冬」という中で一年のリズムが組み立てられています。

そしてこのカメが特殊なのは、わざわざ秋から冬にかけて産卵するということです。

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まあ冬といってもこの種の生息地はそれほど寒冷な土地ではないので下がっても10度程度ですが、それでも産卵するのに適切な時期とは思えません。

そんな特殊な生態が、このカメの繁殖の難しさに繋がっているわけです。

円山動物園では、ブリスベンの気候を基準に飼育環境を組み立てておりまして、それに従い光周期や水温の年変化を再現しております。

今年の産卵は11月23日で、野生同様に冷涼な環境の中で始まりました。

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今回は9卵、見た目は健康そうだけど、どうなんでしょうか。

これまでいろいろな孵化法を試してきましたが、今回は「自然に忠実作戦」で挑むことに決めました。

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現在の孵化器の設定温度は21℃、卵の表面温度は20〜22℃の範囲で管理しています。

このまま3ヶ月程度維持し、徐々に温度を上げていく予定です。

まずは有精卵であること、そしてこの孵化法が適切であることを心から祈るのみです。

 

 

ヒラセガメの繁殖2016。

昨年に続き今年も無事に孵化してくれました。

ヒラセガメは自然下では急激に数を減らしている絶滅危惧種。

円山動物園ではこの種を含めたアジアの希少なカメたちの繁殖に積極的に取り組んでいます。

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今回は3匹が誕生。

右端の大きい仔は昨年産まれ、比較すると随分大きくなりました。

ほんと順調に美しく成長してくれています。

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この種の管理は決して容易ではありません。

健康に美しく成長するためには、土壌生物(例えばワラジ虫とか)を維持できるような繊細な飼育環境を必要とします。

今回孵化した仔ガメたちは、やっとお腹の卵黄嚢が吸収されたばかりで、まだ餌付けすら済ませていません。

これから様々な餌の中からこの仔らの好みを探し出して、給餌を行っていきます。

ちなみに昨年産まれの1匹は何も食べようとせず衰弱していったため、しばらくの間は強制給餌で管理しました。

今ではすっかり元気に成長していますが、仔ガメに対しての強制給餌は非常に気を使う作業で苦労するのです。

今回の仔たちは、どうだろうか。

無事に自力で食べてくれる事を祈ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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