札幌100マイル

RSS 円山動物園ブログ

円山動物園の動物の近況や出来事などを綴ります

by zoozakki

プロフィール

円山動物園

札幌の中心部から近く、緑豊かでのんびりできる動物園です。
ちびっこはもちろん、大人も楽しめる空間を目指して奮闘中。
もちろん魅力的な動物たちもたくさん。
希少種の繁殖や、環境教育にも積極的に取り組んでいます。
そんな円山動物園の日々と、そこで働くひとびとのつぶやきを綴ります。
公式ホームページ:http://www.city.sapporo.jp/zoo/


投稿したブログ数:1345件

脱皮。

「羨ましい・・」

気持ち良さそうに脱皮しているアオダイショウの様子を見ていると、つい心の声が口から出てしまいます。

IMG_0279

爬虫類は、人類がどうあがいても絶対に手に入れる事ができない能力をたくさん持っておりまして、その中でも最も羨ましい習性の一つがこの脱皮です。

少々の怪我や肌荒れなんかも、脱皮を繰り返すことで綺麗に治ってしまうんだから、こんな素晴らしいことはありません。

彼らに「美容」といった概念は今後も無用でしょう。

IMG_0280

そんな習性からヘビは古来より「再生」「不老不死」というイメージを持たれ、医療・医学のシンボルとされてきました。

特にギリシア神話に出てくる名医アスクレピオスの杖が有名で、WHOをはじめ様々な医療機関のマークとして使用されています。

IMG_0330

ちなみに上の画像は脱皮前のアナコンダくんです。

ヘビは脱皮が近くなると体全体が濁り、ツヤもなくなります。

たまにこの状態のヘビを見て「なんか顔色悪いね、このヘビ」とヒソヒソ話している来園者の方を見かけますが、なかなか鋭い観察眼です、たしかに健康そうには見えません。

またこの時期はヘビも非常に神経質になっておりまして、餌も食べませんし(食べる個体もいます)攻撃的になる個体もいます。

IMG_0284

この状態は脱皮直前まで続きまして、肌の濁りが消えクリアーに戻ったらその後脱皮が始まります。

ヘビは脱皮が始まるまでの準備期間はかなり長いのですが、脱皮自体はあっという間で早ければ10分程度で終わってしまいます。

だから多数のヘビと日々戯れている僕であっても、脱皮中のシーンに出くわすことってなかなか難しいんですよ。

IMG_0322

ほんと世間は彼らのことを、やれ下等生物だとか、やれ手足がなくて気持ち悪いとか言いたい放題ですが、ヘビは進化の過程で無駄を削ぎ落としてこの形態になったわけです。

進化の過程でこれほど思い切った選択をし、これほど地上生活に適応していった生物が他にいたでしょうか。

シンプルにもほどがあるってくらい、ヘビにはもうこれ以上削るところがありません。

まさに最終形態、斬新すぎます。

断捨離の極み、進化の極み、下等どころか世の中で最も洗練された生物と言っても過言ではないと、僕は個人的に思うのです。

 

 

 

 

 

 

 

コメントは受け付けていません。

pageTop