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*un journal*

自分のアンテナにひっかかったものを綴った日記

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『シアターキノ』タグの付いた投稿

映画 『マン・オン・ワイヤー』

 

マン・オン・ワイヤー
1974年8月7日、朝。23歳のフランス人大道芸人フィリップ・プティはNYワールド・トレード・
センターのツインタワーの間に張られた細い綱の上を渡ろうとしていた。高さ411mの
巨大な2つの建物の間にワイヤーを渡してその上を歩くのだ。命綱はない。6年前に
雑誌でツインタワー建設計画について読んで以来、友人達と入念な準備をしてきており、
ついに念願の夢に挑むときがくる。


-2008年度アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞受賞-

この作品の公開を楽しみにしていました!
「人生綱渡り」とか「綱渡り人生」は聞きますが、今は無き
WTCのツインタワーで「人生を賭けた綱渡り」をやって
のけた美しい犯罪者フィリップ・プティ。
こんなに魅了されたドキュメンタリーは初めてかも。
まるでファンタジー映画を観ているかのようなドキュメンタリー。

映画を観ていると、プティの仲間達と一緒に前代未聞の挑戦
(犯罪)に心奪われ、共犯者になったかのようにワクワクドキドキ。

エリック・サティの「ジムノペディ」が流れるなか、プティが美しい
姿勢で優雅にツインタワーを綱渡りをする姿はただただ圧巻。 
その姿を見ていたら、なぜか涙がこぼれた。

今は無き、NYワールド・トレード・センターのツインタワーの貴重な
建設映像は必見。本作は、その後の運命に触れていないだけに感慨深い。

超人的なプティはもちろん凄いけれど、前代未聞の挑戦に協力し
支えてきた友人達に拍手を贈りたい。

原題:Man On Wire
監督:ジェームズ・マーシュ
出演:フィリップ・プティ/ジャン・ルイ・ブロンデュー/アニー・アリックス ほか
上映時間:1時間35分
「公式サイト」

シアターキノにて上映中


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映画 『サガン-悲しみよ こんにちは-』



サガン-悲しみよ こんにちは-
わずか18歳で、処女作 『悲しみよ こんにちは』 がベストセラーとなり、ありあまる
富と名声を手にしたフランソワーズ・サガン。 アンドレ・マルローの娘フロランス、
作家ベルナール・フランク、ダンサー兼脚本家のジャック・シャゾらを親友とし、
自由奔放な社交生活を楽しむようになるが...


サガンの「悲しみよ こんにちは」といえば、タイトルに
惹かれて高校時代に読み、自分と同世代でこんな
大人っぽい小説を書いたサガンに驚いたことと、
文庫本がやけに薄かったことを覚えている。
本作は、その小説を読んだ時よりも衝撃的で波乱に満ちた
フランソワーズ・サガンの人生を描いた伝記映画。

大胆で繊細、才能と強運も持ち合わせたサガン。 
自分らしさを貫き通した生き方は、マネできないだけに魅力的。
そんな彼女の寂しさや孤独に満ちた晩年の姿が切ない。

サガンの18歳から69歳までを1人で演じるのは、
映画『エディット・ピアフ 愛の讃歌』でピアフに
成りきっていたシルヴィ・テステュー。
本作の熱演もさることながら、写真などで見るサガン本人に
とてもよく似ていて、これまたビックリ。

シンプルな黒ワンピースにパールや豹柄のコートなど
フランスをイメージさせるサガンのファッションにも注目。

改めて、ジーン・セバーグの 『悲しみよ こんにちは』 や
小説を読み返してみたい。

英題: SAGAN
監督・脚本:ディアーヌ・キュリス
出演:シルヴィー・テステュー/ピエール・パルマード/ジャンヌ・バリバール ほか
上映時間:1時間55分  PG-12
「公式サイト」

シアターキノにて上映中


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映画 『精神』



精神
外来の精神科診療所「こらーる岡山」には、年齢も性別も症状もさまざまな人々が
通ってくる。自殺未遂を繰り返す人もいれば、何十年も病気と付き合い自らの哲学や
信仰、芸術を深めていく人もいる。さまざまな心の問題を抱えた人々の精神世界を
照らし出しながら、現代に生きる日本人の精神のありようを克明に描き出していく


前作の2005年・川崎市議会議員補欠選挙で自民党公認で出馬した
山内和彦氏に密着した『選挙』が面白かった想田和弘監督の第2弾作品。

見逃した...と思っていたら、シアターキノさんの延長上映に感謝感謝。

岡山県にある小さな診療所「こらーる岡山」を舞台に、撮影
(モザイクなし・実名で出演)に同意してくれた統合失調症や
うつ病の患者さんをナレーション・テロップ・音楽一切なしで
淡々と追った観察映画。

精神障害者の日常は、健常者と大きく変わることはなかった。
患者さんが抱えている心の問題って、現代に生きる人間なら
誰にでも身に憶えがあると思うから...。
偏見の壁とか精神患者と一般の人との違いについて考えさせられた。

映画はメッセージを訴える訳でも、結論を出す訳でもありません。
その場で起こったことを淡々と撮影した観察映画なので、
観方によって人それぞれの解釈ができる作品です。

英題:MENTAL
監督・撮影・録音・編集・製作: 想田和弘
出演:「こらーる岡山」のみなさん ほか
上映時間:2時間15分
「公式サイト」

★7月24日(金)まで、「シアターキノ」にて上映


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西川美和監督×川本三郎氏【豪華対談】@シアターキノ



楽しみにしていた 『ゼロ年代映画祭』 オープニング対談
西川美和監督×川本三郎氏(映画評論家)

会場となるシアターキノさんへ、かなり早めに着いてしまったので
サイン会用にパンフレットを購入して、お隣の 『kino cafe』 さんで一休み。

ん? cafeに入ってサプラ~イズ。
奥の席でシアターキノの代表と打ち合わせをしているのは
西川監督と川本さんでは...(背中しか見えないけど)。
うれしい偶然です。



満員の会場で始まった、西川美和監督と川本三郎さんの対談は、
近年の映画や、『ディア・ドクター』 について、思わず納得の
中身の濃いものでした。(もっともっと聞きたかった)


対談後、サイン+映画の感想を伝えて握手していただきました。

監督といえば、人間の深層を鋭くえぐる作品のイメージがあり、
「男前」な方かと思いきや...雑誌やTVで拝見する以上に小柄で
女優さん並に可愛いルックスの方なんです。短く切った髪型がお似合いでした。
このギャップ?に益々ファンになりました。 
直木賞候補になった「きのうの神さま」も読んでみようと思います。

今後、益々目が離せない西川監督。 次回作も期待しています!

※豪華な対談を企画してくれたシアターキノさんに感謝申し上げます。
 そして、川本さん早く風邪を治して下さいね。

映画 『ディア・ドクター』



ディア・ドクター
東京の医大を出て山間の小さな村に研修に訪れた相馬は、村の医療を一手に
こなす中年医師・伊野の人柄に触れ、充実感を覚え始める。ある日、かづ子と
いう独り暮らしの未亡人から頼まれた嘘を突き通すことにより、伊野自身が抱えて
いたある秘密が明らかになっていく...。


胸をえぐられるような兄弟の愛憎劇を描いた 『ゆれる』 から3年。
人間の深層心理を鋭く描く、西川美和監督の新作は、
「僻地医療」をテーマに、シリアスな展開のなかに、コミカルな
シーンを絶妙に取り入れた人間ドラマ。 
じんわり温かい気持ちになり、良い意味で期待を裏切られた。

西川監督って、人間や物事の二面性を描くのが上手過ぎる!
脚本・監督をこなし、溢れる才能に脱帽。 
キャスティングもみごとにハマっていて、主人公・猪野役の鶴瓶さん
や豪華なキャストの好演が光る。 

ファーストシーンから田園風景の「緑」と、場違いなBMWの「赤」
のコントラストが美しい。
さりげなく映し出される何気ないシーンも意味深で見逃せない。

改めて「医療問題」を考えたり、それぞれの立場で観かたが変わ
る映画だと思う。 個人的には、八千草薫さんと井川遥さん演じる
母娘の関係に、娘の立場で感情移入。あの空気感がたまりません。

オリジナル脚本三作目ですが、西川監督作品ハズレなし!

シアターキノでは西川美和監督 『ゆれる』 を1日1回上映中。
まだ観ていない人はこの機会に是非!
~7/4(土) 20:30  (※7/4(土)のみ 20:45)

監督・原作・脚本:西川美和
出演:笑福亭鶴瓶/瑛太/余貴美子/井川遥/香川照之/八千草薫  ほか
上映時間:2時間7分
「公式サイト」

シアターキノ,札幌シネマフロンティア にて上映中。


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