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オランウータン飼育日記&円山四季だより

オランウータン飼育日記&円山四季だより

2007年06月 の投稿一覧

テイジロウの怯え。驚き。(1)



 19年度中に屋外施設を改築する予定ですが、現場の状態等を把握するため、業

者の方や市の設計担当者達が多数、類人猿館内に入ってきました。そして、屋外放

飼場を長い時間かけて寸法を測ったりしていました。見慣れない作業服の男性達が

どやどや入ってきたものですから、テイジロウはびっくり驚いてコンパネ板の陰に隠

れてしまいました。なんぼ呼んでも出てきません。隠れたままです。(女性や子供達

なら大丈夫なのにね。)  (写真の撮影時間は間違っています。)




 少し慣れてきたのかな。じっと観察しています。





 これからが大変なのです。誰も居なくなったのに警戒してなかなか移動しないので

す。(屋外に出ないのです。)何度も語りかけて、外は大丈夫だよと説得しなければ

ならないのです。あ~あ、大変だな。チンパンジーやゴリラなら、お前ら俺の縄張りに

何しに来たんだ。挨拶せんかい。という感じで大騒ぎですよ。ほえたり、檻に体当た

り、壁をぶったたいたりして威嚇します。勿論、ウンチや給水器に溜まっている尿もぶ

っかけてきます。まだ若いから仕方がないかな。圧力が500キロ以上ある「力」持ち

なのにね。

今年もオオムラサキの幼虫発見。



 去年に引き続き、今年もオオムラサキの幼虫を確認しました。先輩飼育員が三十

数年前に種から育てたエゾエノキ(オオムラサキの食樹)が大木に育ち、昨年、野性

のオオムラサキがそこから飛びたつようになりました。

昨年は数匹の蝶が飛び立ちました。
 
 
エゾエノキの苗。

  これは昨年、一年ものの苗を移植しました。2~3年育ててから園内に植樹しよう

と思います。成虫が吸う、樹液が出る木が少ないのが気になります。



動物園

  日本の「国蝶」オオムラサキ。日本産タテハチョウ科のなかでは最も大型の美麗

種です。羽化直後の新鮮な雄が、翅を開いたときの青紫色の輝きは、神秘的で「自

然のつくりだした芸術品」と言われています。

幼虫はエノキやエゾエノキの葉を食べて成長します。秋にエノキの根もと近くの落ち

葉にとまって越冬し、若葉が生えるころ木によじ登り蝶になる準備をします。成虫は

雑木林のクヌギ、コナラ、クリなどの樹液を吸って生活します。


  現在、自然破壊や生息環境の悪化で、分布域や個体数が確実に減少していま

す。

ベッド作り(本物?)屋外にて



  堀の下の枝を運ぶテイジロウ

 


  ベッド作り(本物?)屋外にて。
 
 抱えきれないほどの木の枝を与えたところ、堀の下まで降りていき台の上まで運 

こんで、ベッドを作りました。塩梅がよさそうですよ。木の枝に生っていた実を食べた

りしていましたよ。(*剪定した枝の利用です。この枝も短く切ってサル山で再利用し

ています。)




  ベッド作りで指にとげが刺さっちゃたよ。


一気に抜けた

タンチョウの羽根

 


  一気に抜けた。

 6月14日、タンチョウの翼の羽がいっきに46本抜けました。15日は14本抜けまし

た。3日ぐらいの間に翼の羽が全部抜けるのです。(だいたい一年おきにこのような

現象が起こります。)一気に抜ける羽は生えるのも早いですよ。勿論、生えるまでは

飛べません。見た感じ体がふたまわり小さく見えます。

  抜ける。      
 
 オランウータンの毛は、人間の髪の毛と同じで一生延び続けます。同じ類人猿でも

チンパンジーやゴリラは、人間の体毛と同じく一定の長さになり、古くなったら抜け

落ちて新しい毛が伸びてきます。テイジロウはまだまだやんちゃでよく動き回るの

で、毛が擦り切れちゃって短くなっています。大人の老齢オスは、あまり動かないの

で擦り切れません。だからウェッディングドレスのように長い毛を引きずるのです。


鷹匠見習い

 鷹匠見習い。  

猛禽類のフリーフライト&鷹匠体験を手伝って、この秋で三年になります。未だに上

手く猛禽をコントロールできません。鷹を飛ばすのも受けるのも、風を見るのが難し

いのです。 鷹匠の本田師匠(北海道で1名、全国でも9名しかいない。)に日夜教え

て貰っていますが、センスの問題か?なかなか上手く鳶をコントロールする事が出

来ません。それでも鷹匠体験の手伝いはできるので、まあいいやと思ってやってい

ました。ところが、この春にデビューすることになったのです。

昨年の冬は、平日で3~4人という日も結構ありましたが、今年は30人ぐらい来るよ

うになり、人気が高まってきたので、師匠が休みの時もフリーフライトを行う事になり

ました。練習のときは、まあまあ上手くいっていたので、何とかなると思っていました

が、いざ行うとなかなか思うようにいきません。上手くいかないと喋りのほうもパニック

をおこして、何を言っているのか判らなくなり、悲惨な状態に陥ります。自信をもって

やっていないので、それが鷹にうつるのでしょうね。  


 現在、平日に百人ぐらい見にきてくれるようになりましたが、まだまだ、お客さんに

上手く話せない、上手く鷹をコントロールできないという状態です。


あんまり上手くできない時は、こう言うのです。「実は今日、本物の鷹匠はお休みで

す。代わって偽者の鷹匠の私がやります・・・。」  この言葉を、いつまで使えるか

な。


初夏の香り

藤棚


20070613-01.JPG

 初夏の香り。

 現在、動物園の藤は満開に咲いています。風がない時など藤棚の下に居ると、花

の香りが静かに落ちてきて、とても甘くいい香りですよ。藤の木陰でのんびりするの

もいいですし、お弁当を食べるのも如何でしょうか。高台になっているので、アザラシ

達の姿も見えますよ。
 
 ニセアカシヤの花が咲き出しそうです。花の天麩羅がめちゃ旨いです。


ゼニガタアザラシ

テイジロウの環境エンリッチメント(採食について)⑧



  今日の献立。

 これが一日分の食事です。(飲み物を入れて丁度30品目です。)これを3~四

回に分けて与えています。一日30品目を目標にかかげていますが、なかなか達成

できません。

各品目の量や種類は、毎日変化させています。人間だって美味しく豪華な食事で

も、毎日同じ料理なら飽きてしまいますよね。(毎日同じ食べ物でも、与えたら仕方な

しに食べていますけどね。)時にはバナナや林檎をたくさん食べたい時もあるだろう

し、スイカを食べたい時もあるでしょう。もっと食べる楽しみを与えたいと思ってやって

います。

テイジロウの環境エンリッチメント(採食について)⑦



 このポリ容器の中にも、セロリやサトウキビの芯、葡萄等が入っています。この中 

の物を食べるには、容器を逆さにして、中の物を出して食べるしかないのです。台の

上に乗って食べたり、ポールの上で食べたりしていましたが、床に二本足で立って食

べるのが、一番楽で、お気に入りのようです。普段は殆ど二本足でじっと立つ事はあ

りません。  珍しいですよ。


 

ミツバチの大群が飛来した。



 2時から始まる鳶のフリーフライトのとき、このオンコの木の横を通りましたが、この

時は何事も起こっていませんでした。終了後、この木の周りをたくさんの蜂達が飛ん

でいるのです。だんだん数が多くなってきて、数千匹になったと思います。驚きです。

木の中心部に蜂の塊ができて、それが大きくなるにつれ、跳んでいる蜂が減ってきま

した。

 鳶のビリー(♀)の様子が、変になった理由がこれでわかりました。




 テレビでは見た事があるけれど、実際に見るのは初めてです。あのたくさんの蜂の

中に居ても刺されないのです。とにかく驚きでした。

 時間がたち、飛んでいる蜂も少なくなり、塊になった蜂達もじっと動かなくなりまし

た。塊の長さは約60cmぐらいありましたよ。

  

ストレス発散。



 飼育員の持っている物は何でも欲しがります。触ってみたい、匂いを嗅ぎたい、齧

りたい。長靴も欲しがっていたので、穴あきの廃棄品を与えたところ、早速、匂いを

嗅いだりしていましたが、突然、齧ったり、写真の様に裂いたりしました。これもストレ

ス発散の一つかも知れません。よく物を壊しますよ。 

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