夜の来訪者
Posted by winterpj on 2011年2月7日(月) 18:53
今日からいよいよ始まりました! 円山動物園スノーフェスティバル!!!
と いう話題は明日以降に持ち越しまして。(えーー??!!)
今日は、ここに書き記しておきたいと思います。
雪の降りしきるある夜、閉園後の動物園を訪れた珍妙なお客さんのことを・・・
ことの始めは昼下がり。
その日、酪農学園大学で仕事をしていた私に緊急出動命令が下った。
「この人、ドイツの狩猟協会のお偉いさんらしいねん。
鷹匠もやってて本田サンに会いたいそうやから、動物園連れてって」
そこにいたのは、金髪ボウズに立派な口髭の大男。
「鷹匠に会いに連れてってくれるって?素晴らしい!
じゃあちょっとだけ、この狩猟管理学研究室の学生さんとお話したいんだけど。
ほら、このシカ皮はきちんと加工すればもっと柔らかくなるよ。
靴やズボンも作れる。ドイツでは地面に埋めて発酵させる伝統技術があってね。
それで作ったズボンは、・・・えーと・・・10万円くらいかな。高いけど一生モノだよ。
そうだ、「原始技術学会」ってとこのホームページを見せてあげよう。
自然のもので火をおこしたり家を作ったり、昔の技術を研究してるところさ。
おもしろいだろう。あ、何か質問はある?ドイツのシカ肉料理?
それもネットで見てみようか。そうだ、バッファローバーガーって知ってる?
アメリカの大富豪が山をまるごと狩猟場にして、バッファローを放してるんだ。
これは超金持ちのための施設だけど、こんなの作るのもいいんじゃない?
ドイツの猟場は小さいけど、自然が日本と似てるから、参考になるかもね。
あ、大学祭でシカ肉料理出してるの?なんだ、料理法知ってるんじゃないか。
バーガーは初心者にいいよね。ドイツにも慣れない人が多いから、よく牛肉を混ぜるよ。
そうだ、僕が生まれたスロベニアを見せてあげよう。ほら、山、湖、城・・・」
彼のトークは窓の外の雪のように、
あるいはブログリレーのように、・・・・・・。
じゃあそろそろ、と外に出たのはすでに4時過ぎ。
「あ、ちょっと待って。コートに雪が積もってる!これは写真撮らなきゃ!
その前に立って。そう、それから僕のことも撮ってくれる?」
大麻駅前では、高さ3mの白い壁が車道と歩道を隔てているのだった。
「ドイツで?うん、降るけどせいぜいヒザ丈くらいだよ。
いや~日本でいいカメラ買ったから嬉しくてね~」
ここで、道中明らかになった彼の個人情報を一部ご紹介。
地中海を臨む小国スロベニアで生まれて1歳のときドイツに移住し、
18歳で家を離れて大学生活を始め、両親はその後イタリアに移住。
最初は獣医を目指していたものの いろいろあって眼の外科医になり、
学生時代に知り合った「第二の両親」に触発されて鷹狩りを始めたが
執刀医が足りない病院を転々とする生活のため鳥を飼うこともままならず、
そうこうするうち自分自身の眼がやられて療養と手術が必要となり、
そこでできた1週間を使って「憧れだった日本に行こう」と思い立ち、
狩猟協会のサイトで調べた名古屋市民に連絡して3日後に機上の人となり、
正月をその家で過ごしたあとは知床で野生動物ウォッチングと温泉を堪能し、
シカを撃ちたいと言うととりあえず酪農学園の狩猟管理学の先生を紹介され、
知床からレンタカーを飛ばしてアポなしで酪農学園に乗りこんだ・・・
ということらしい。
ちなみに、この翌日の早朝に札幌→成田→ドイツへ飛んで、ソッコー手術とのこと。
はてさて、円山公園駅からの山道に感動しながらたどり着いた動物園。
迎えてくれたのは本田師匠とメガネ獣医3号。
氏と師匠との間を飛び交うオオワシ、オオタカ、イヌワシ、ハヤブサなどなど。
その会話にまったく付いていけず。。
「あ~楽しかった。まだまだ話したいけど、そろそろ行かないと。
炊飯器買いに行かなきゃ」
炊飯器?!
山下りの途中、彼のたっての願いで北海道神宮に寄り道。
刺激的な手水で手を清め、門扉のスキ間から社殿をのぞき見。
行燈や石灯篭がお気に召したようで、念を入れて写真撮影。
ああ、やっと札幌駅にたどり着いた。
「あ、そうだ、最後にヌードルスープを食べたいんだけど。
あー、でも食べたら買い物したくなくなるから、先にお店に行こう」
そうでしょうとも。
ところで・・・ドイツでそんなにゴハン食べるの?
「いや、全然」
あ、そう。
某大型電器店に入ると、買いたいものは炊飯器と電気ポットと計算機に増えていた。
「あ!!ちょっと待って、カメラの望遠レンズも欲しいんだった」
親切な店員さんにあれこれ質問し、レンズをつけて試し撮りさせてもらう。
「うん。見た目がかっこいいね。決めた、買おう。あとレンズクリーナーも」
お次は電気ポット。
これは、彼のおメガネに叶わなかったらしい。
炊飯器も、店員さんいわく「海外では使えないんですよね~」
「まあ、いいか。どうせ荷物もう30kg超えてるから入らないし」
それから計算機。文字が大きいものが欲しいらしい。
一番大きな計算機を眺めて、
「・・・小さいな。もっと大きい、ゾウが使うくらいのが欲しかったんだけど。
前に映画で見てイイな~と思ったんだよね~。
ま、ないならしょうがない」
結局レンズだけでお会計、かと思いきや。
「そうだ、三脚が欲しい!」
あれこれ見た末、ウデがぐにゃぐにゃ曲がるゴリラなんとかいうものに決定。
ご満悦で今度こそお会計。
店員さん、大変お世話になりました。
さて・・・ヌードルスープを探しに駅地下に潜ってみると。
既に時は9時を回っていたのだった。
唯一開いていたラーメン屋さんに連れていくと、しばらくサンプルとにらめっこ。
「う~~~ん・・・ これは、違うんだよなぁ・・・。
ちょっと脂っこそうだしなぁ…。お腹に悪いかなぁ・・・。
・・・・・・やっぱり、やめておこう。
ホテルに帰って荷物まとめて空港ホテルに行かなくちゃ」
・・・と、いうわけで。
空きっ腹を抱えたまま彼を駅前のホテルに送り届け、長い長い午後は幕を閉じたのだった。
ちゃんちゃん。
酪農学園からは、突然こんなオモシロい出会いが降ってくるかもしれません。
キーワードは野生動物、エゾシカ、外来種。などなど。
ここでひとつ宣伝を。
2月20日(日)のサンデーセミナーでは、酪農学園の学生と動物園との共同研究の成果を発表します。
エゾシカの電気柵に対する反応、円山動物園と旭山動物園での獣舎に関する来園者アンケート、
リハビリ中のオジロワシの回復状況。
どなた様も大歓迎です。ぜひぜひお越しください!
他にも、酪農の学生は動物園でこんな活動をしています。
社)エゾシカ協会ホームページもどうぞ(エゾシカ料理まつりの情報あり)。
以上、狩猟免許試験を昨日受けてきた小菅でした☆
まさかの写真なしブログ。次回もお楽しみに。
へば、また♪