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映画 『ロルナの祈り』
Posted by bluestar on 2009年3月23日(月) 12:53
【ロルナの祈り】
ベルギーでの幸福な生活を夢見てアルバニアから来たロルナは、国籍を得るために
闇ブローカーと手を組み、麻薬中毒者のクローディ(ジェレミー・レニエ)と偽装結婚する。
麻薬を断とうと苦しむ彼の面倒を仕方なくみていたが、彼女に生きる希望を抱くクローディの
純粋さが、彼女の心を動かしていく。
実はこの映画を観て、ヒロインの心理・行動が理解できず
モヤモヤした状態で2週間ほど経過。
物語が淡々と進むためか、偽装結婚相手のクローディと向き合おうとせず
無愛想だったロルナが突然とった行動に理解ができなかった。
後になって考えてみると、ロルナの想いも少しは理解できるけれど、
もっとクローディとの関係を長く描いて欲しかった。
繰り返し観るとまた違った感想になるのかも知れないけれど、
ダンデンヌ兄弟作品を堪能できなかったのは残念。
ロルナのとびっきりの笑顔と、ラストのベートーヴェンのピアノ・ソナタが印象的。
『ある子供』で赤ん坊を売ってしまう若い父親を演じていたジェレミー・レニエが
本作では麻薬中毒者のクローディを演じている。ダメ男役が良く似合う。
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:アルタ・ドブロシ/ジェレミー・レニエ/ファブリツィオ・ロンジョーネ
公式サイト 上映時間:1時間45分 シアターキノにて公開中
映画 『エグザイル/絆』
Posted by bluestar on 2009年3月7日(土) 19:47
【エグザイル/絆】
ブレイズとファット、タイとキャットの4人は、中国返還間近のマカオで再会した。
ボスのフェイを銃撃して逃亡したウーを巡り、敵と味方にわかれることになってしまう。
しかし、深い絆で結ばれた5人の運命は予期せぬ方向へと突き進む。
公開を待ちに待った甲斐がありました。
もう、カッコイイ~の一言! 久しぶりの香港ノワール映画の傑作。
裏社会に生きる男たちの友情とロマンをとことんスタイリッシュに描いている。
冒頭から、巧みなカメラワークとセリフの少なさにドキドキワクワク。
背景説明はなくセリフが少なくても、二転三転するストーリーとこだわりの
映像美でラストまで飽きさせないジョニー・トー監督はやっぱりスゴイ!
スローモーションを取り入れた、激しくも美しいガン・アクション。
ジョン・ウーファンは必見。
緊迫感の中でときおり見せる、ユーモラスも見所。
黙っていれば渋くてかっこいいオジサン達が、無邪気に戯れ
子供がそのまま大人になったような姿が印象的。
男たちの絆がうらやましい。
終始、男のダンディズムにしびれまくり。
女子にもおすすめ、イマドキの男子には見習ってもらいたいなぁ。
監督:ジョニー・トー
出演:ニック・チョン、アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ラム・シュ、ロイ・チョンほか
公式サイト シアターキノにて公開中 上映時間:1時間49分
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映画 『そして、私たちは愛に帰る』
Posted by bluestar on 2009年3月7日(土) 09:17
【そして、私たちは愛に帰る】
ハンブルクに住む大学講師ネジャットの父親アリは、ブレーメンで一人暮らしだったが、
同じトルコ出身の娼婦イェテルと暮らし始める。ところが、アリとの口論からイェテルを死なせてしまう。
ネジャットはイェテルが故郷トルコに残してきた娘アイテンに会うためにイスタンブールに向かう。
素晴らしい人間ドラマ。 見応えがありました。
監督・脚本は、『愛より強く』のトルコ系ドイツ人のファティ・アキン。
ドイツが抱えるトルコ移民の問題をベースに、すれ違う3組の親子の
出会いと別れを3部構成で描いた秀作。
ドイツで暮らすトルコ人のネジャットと父アリ。
トルコからドイツへ出稼ぎにきたイェテルと、反政府活動家の娘アイテン。
アイテンを助けようとするドイツ人のロッテと、猛反対する母スザンヌ。
すれ違い、反発し合いながらも強く結びつく親子の絆が印象的。
エンドロールまで続くラストシーンは余韻が残る。
個人的には、料理やドリンク、オリエンタルな音楽も魅力的な映画。
公式サイト シアターキノにて公開中 上映時間:2時間2分
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映画 『BOY A』
Posted by bluestar on 2009年2月23日(月) 00:02
【BOY A】 公式サイト
子供の頃に犯した犯罪により、人生のほとんどを刑務所で過ごしてきた青年が
ジャックと名前を変え、ソーシャルワーカーのテリーから仕事とアパートが与えられ
過去を隠して新しい生活を始めるが...。
過去に犯罪を犯した青年の心の葛藤と社会復帰の難さを描いた人間ドラマ。
イギリス映画だが、少年犯罪や引きこもりなど、まるで日本を描いている様な
社会派映画でもある。
犯罪を犯した青年が社会復帰するところから物語は始まり、心優しく
純真無垢な主人公に好感を持ちながら、徐々に彼の過去が明らかとなる。
身近な人や愛する人が過去を背負っていたら、自分はそれを受け入れることが
できるのだろうか? 深く考えさせられた。
ナイーブなジャックを見事に演じているアンドリュー・ガーフィールドの
繊細な演技は圧巻。 はにかんだ笑顔に母性本能をくすぐられた。
どこかで観た顔だと思っていたら、作品的にはイマイチだった『大いなる陰謀』で
ロバート・レッドフォード演じる大学教授の生徒(トッド)だった彼。
今後、大注目されそうな予感。
ソーシャル・ワーカー(テリー)役は、ケン・ローチ監督作『マイ・ネーム・イズ・ジョー』
の演技派ピーター・ミュラン。 ジャックと接する父親のようなまなざしと
実の息子とのぎくしゃくした関係を好演。 渋い演技にご注目。
重いテーマですが、是非ぜひ観ていただきたい秀作。
シアターキノにて公開中 上映時間:1時間47分
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映画 『未来を写した子どもたち』
Posted by bluestar on 2009年2月18日(水) 12:56
【未来を写した子どもたち】
インドのカルカッタ。売春窟で生まれた子どもたちの将来は、親の仕事を継ぐ以外になかった。
写真家ザナ・ブリスキは売春窟での撮影を続けるうちに、子どもたちにカメラを与えて写真教室を開く。
初めて自分たちの可能性を知った子どもたちは、写真を通して将来に夢と希望を抱くようになる。
ザナは子どもたちの将来を案じ、その環境から救い出したいと努力するが、それは苦難に満ちた道のりだった。
第77回アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
ちなみに今年は81回目。日本公開までずいぶん時間がかかっていますが
公開してくれたことに感謝。
ニューヨークで活躍する女性写真家ザナ・ブリスキが、売春窟の子供たちに
写真教室を開き孤軍奮闘する姿を追ったドキュメンタリー。
自らの過酷な境遇を運命と受け止める子供たちが、カメラを与えられ
目をキラキラと輝かせて自由にシャッター切る姿が印象的。
子供たちの笑顔と豊かな感性はすばらしい。
恵まれた環境にいるはずの自分が、子供たちからパワーをもらいました。
子供たちが教育を受けるための基金を創設したザナさんの行動に感銘を受けた。
映画のラストで知ることとなる子供達の現状は、これが現実と受け止めつつも、
胸が痛い。
「未来を写した子どもたち」公式サイト
シアターキノにて公開中 上映時間:1時間25分
※キノでは子供たちのすばらしい写真が展示されています。
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