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オランウータン飼育日記&円山四季だより

by zooyoshida

プロフィール

吉田 淳一

担当動物はオランウータン、ツル、トキです。
以前に、クマ類、海獣、シマウマ、ビーバー、カワウソ、クジャクを担当していました。飼育員として26年間勤めています。
これから、オランウータンの日常生活などについてお知らせしていこうと思います。


投稿したブログ数:2821件

仮母の記憶。

 今から二十年以上前の記憶だから定かではない所もあると思いますが、鳥の仮母

の話をしたいと思います。


オシドリの卵を七面鳥の♀に抱かせたことがあります。当時、雛が孵化しても中々雛

が育たない事が多かったのです。人工的に孵化させて育てたりもしましたが、同じ様

な状況でした。何とかたくさんのオシドリを増やすために、色々な実験をしました。



 この鳥がオシドリです。雌に見えますが全部雄なのです。繁殖期のオスは鳥の中

でもかなり派手な色彩をしており、飾り羽がすごく目立ちます。  木に止まるところ

が他のカモ類と違います。 水辺の林の樹洞に営巣し、孵化した翌日には歩き始

め、巣穴から飛び降りて、母親について歩いたり泳いだりします。 とても珍しい鳥だ

と思います。


 昔は七面鳥をたくさん飼育していました。きちんと抱卵し、子育てが上手かった個

体がたくさんいたので、オシドリの卵を抱かせて、たくさんの雛を育てて貰おうと思

い、実験した事がありました。


 実験には成功したのですが、困ったものを見てしまいました。  普通のケージで
 
飼育していればそんな事はおこらなかったのですが、たまたまプール付きの飼育舎

で、実験をしていたので事件がおこったのです。

 その種ではないものが育てると、刷り込み現象と言うのがおこりまして、それはどう

言う事かといいますと、将来の繁殖相手は、最初から育ててくれた種のものが、繁殖

相手なのです。つまり七面鳥はオシドリのお母さんになる訳です。

 今回の場合、孵化したオシドリの雛達は、七面鳥のお母さんに育ててもらっていま

す。お母さんは、それは大事に大事に育てていました。もうそろそろいいだろうと小さ

なゲージから、そのまま大きな飼育舎に放したのです。 そしたら、たくさんの雛達

は、一目散にプールに飛び込みました。本能でしょうね。 慌てたのは七面鳥のお母

さんです。鳴きながら子供達を呼ぶんですね。そっちいっちゃ駄目、溺れてしまうか

ら・・・。必死の形相で叫んでいます。でも雛達は言うことをききません。気持ち良さそ

うに泳ぎながら、水浴びを楽しんでいます。  しばらくして、お母さんは意を決して少

しずつ水の中に入って行きました。(プールは段々と深くなっていく方式です。)お腹

も胸も水に浸かっています。どんどん入って行くのです。このままなら溺れてしまい

ます。

 
 この後のことは記憶にないんだよね。


 よほどの理由がない限りこのようなことはしない方がいいかな。

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