2008年06月04日 の投稿一覧
スイス・チューリッヒ動物園 ドイツ連載5。
Posted by zoohonda on 2008年6月4日(水) 00:26
美しい町並みとリトマ川。
ここはスイス最大の都市、チューリッヒ。
そう、ウォッチマンの故郷である。
森の奥にそびえ立つのはアルプス山脈。(たぶん違うと思う)
目的はドイツだったんで、スイスに行く予定はなかったんですよ。
でもたまたまチューリッヒ空港を拠点に動くことになったんで、ついでに寄ったのがチューリッヒ動物園。
予定外だったもんで、ここはアポなしで客として行ってまいりました。
ほんとすばらしい園でしたね。
市立大斉藤先生もアポを取りしなかったことを悔やみ、その場で必死に担当者を呼んでもらっていましたから。
全体の印象はアメリカっぽい。
以前訪れたニューヨークのブロンクス動物園にいるかのような錯覚を受けましたね。
アメリカっぽいってのは、サイン(説明看板など)がとても充実しており、デザインもいい。
つまり、メッセージ性が強いってことですね。
動物舎内は動物に関することだけではなく、生息地の現状、人々の文化や歴史に関する展示物などもきれいに配置してあって、博物館の中に動物がいるって感じです。
それらは新しい施設になればなるほど、顕著に表れていましたね。
メッセージの発信の仕方が研究されている証拠です。進化しているんですね。
教育部門、デザイン部門がかなりしっかり機能していることが伺えました。
そして動物の飼育環境はというと、やはりヨーロッパスタイル。
こちらはゴリラの屋内飼育場。
決して広くはないけど、立体的な空間利用、放射式暖房が作り出す良質の熱。
まさに「環境の質はスペースよりも重要である」とういうことを強く認識させてくれるものでした。
特徴的なのは屋内飼育場にも必ず土を敷いていること、ゴリラに限らずほとんどの動物にね。
土を敷くことで、動物の精神面に良い影響を与えるし、何よりも湿度が維持できるんですね。
ここの動物達は気中の水に包まれていましたから。
これは飼育という概念が「対動物」ではなく「対環境」であることが伺えます。
僕はこれらの施設を観て、「これって全部水槽だわ」って強く感じたんですよ。
水槽ってのは限られたスペースに魚が生活するための様々な条件を作り出しますよね?
まさにそれなんです。
限られた中で良質な環境を作り出し、要素である動物をその中に溶け込ませる。
衛生面重視の日本では、大きな動物の室内には土を敷くってことはあまりないです。
まあ暖房も温風対流式だから、土を敷いても良い方には機能しないですね。
そのような環境の中で動物だけが浮いて見えちゃうんですよ。
環境に溶け込んでいない要素(動物)がそこにポツンとしてるように見えるんですね。
やはり熱の質や湿度など目に見えない条件をしっかり提供してあげないと、そこに溶け込むことはできないんですよ。
景観的ではなく本質的にね。
ゴリラは神経質だから、飼育下では腫れ物にさわるかのような扱いをされがちです。
でもここはガラス張りで思いっきり来園者に晒していましたね。
神経質な動物を神経質に扱うと、飼育環境に馴化できず悪循環に繋がることって結構あるんですよ。
短期的にストレスをかけてでも一気に様々な物に馴化させてしまうことってとても大切だと思いますね。
こちらの群れは非常に安定しており、来園者が騒ごうが何しようが全く気にしておりません。
繁殖も普通にうまくいっているようですね。
あとブロンクス動物園もそうだったけど来園者の環境がとってもよく考えられてるんですよ。
ここも動物舎の前がくつろぎスペースになっていて、そこで食事したりできるんです。
メッセージ伝えるためには来園者が心地よく長時間滞在できる環境が必要なんですね。
それがないとただ通り過ぎるだけの施設になってしまいますから。
寝っころがってコーヒー飲みながら、豆菓子食って大好きな動物を観察できたら最高でしょ?
そんな環境であれば何時間でも滞在するし、初めてサインをゆっくり眺める余裕もできてくるわけです。
メッセージを伝えるためには大切なことですよね。
まあそんなこんなでたまたま寄ったチューリッヒ。
ほんとうに素敵な動物園でした。
他にも素晴らしい施設がたくさんありました。それはまたの機会にね。
子供を押しのけ必死に写メを撮る、大人げない東洋人(僕)。