札幌100マイル

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

爬虫類と猛禽類のDeepな世界。

2012年07月 の投稿一覧

青い龍 アオホソオオトカゲVaranus macraeiの産卵。

青く輝く美しいオオトカゲ、アオホソオオトカゲ(Varanus macraei)が産卵しました。





いやーこの時をどれほど夢見てきたことか。


アオホソオオトカゲはWWFによって2001年インドネシアのバタンタ島で発見された世界で2番目(主観)に美しいオオトカゲです。

我々の間では「太った豚になるよりは痩せたアオホソオオトカゲになれ」と言われるように、この種は細身で繊細で誇り高きトカゲなのです。

欧米の動物園では樹上性のオオトカゲの仲間(ツリーモニター類)の飼育繁殖が盛んに行われていますが、アオホソオオトカゲの繁殖例は非常に少ない。
僕の知る限り、動物園ではドイツのケルンZoo、オーストリアのビルゼンZooでの記録のみです。

日本では一部の愛好家の方々が飼育しているくらいで、動物園ではほぼ飼育されておりません。
この美しく魅力的なオオトカゲを紹介していくために日本の動物園でも飼育繁殖技術を確立させたいと、我々円山Zooは強く思っていたのですよ。

そして感動の交尾の様子



欧米の動物園を巡った際もツリーモニターの飼育環境は細かく視察しています。
僕の印象としては個体を良い状態でキープさえしていれば「カナヘビ」のように勝手に殖えてくれるって感じでした。

しかしこの「良い状態」ってのが難しい。

これは欧米ならではの飼育環境が効果的に働いていると強く感じますね。
意外に思うかもしれませんが、欧米人が作る飼育環境って日本人から見ればそこまでする必要はないだろうってくらいに基本に忠実という印象があります。
熱、光、水に限らず、飼育ケージ、レイアウトも含めてね。

日本の動物園の場合、様々な制約の中で飼育環境を作っていく場合がほとんどですので、結果コンパクト&シンプルの中で応用を効かせながら機能させていくという管理になりがちです。
でもね、やっぱり様々な障害が次から次へと出てきましてね。
そしてふと気付かされるんですよ。
基本を理解した上で応用を効かせてきたつもりが、実は応用はおろか基本すら理解できていなかったとね・・
今更ながらそんな事を強く思い知らされている今日この頃なんですよ。

この種は基本に忠実なしっかりとした環境で管理していかないと良い状態を保てない、のりしろの小さいトカゲなんです。
だから様々な事を日々教えてくれる存在なのですね。

今回の卵は有精卵かどうかもわかりませんが、経過を見守りたいと思います。
もし有精卵であれば孵化までの期間は約半年。長すぎて胸が苦しいです。

そしてこちらは度々交尾しているミドリホソオオトカゲ。


なぜかこちらは全然産んでくれません。。
たぶん基本と気合が足りないのだと思います。
では。

夜の動物園。

夜の動物園がはじまっております。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/gyouji/2012night.html

そしてこの期間は、動いているシロマダラを見ることのできる唯一の時でもあります。
20120728-00.JPG

皆様、この貴重な機会を逃さず奮ってご参加ください。

あと先日孵化したスペングラーヤマガメの育成環境も観察できます。
20120728-01.JPG

こちらは昼夜関係なくほとんど動きませんがじっと観察してみてください。
ちなみにまだ餌付けもできていません。少々不安です。

その下には親御さん達もおります。
20120728-02.JPG

こちらも合わせて観察してみてくださいね。

では皆様、動物園で素敵な夜をお過ごしください。

マレーガビアル来園。

野毛山動物園よりマレーガビアル(ガビアルモドキ)の幼体2頭がやってきました。
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-632.html
1頭はバックヤード、もう1頭はすでに展示を開始しております。





大型のワニの輸送はリスクがありすぎますが、幼体の場合は低リスクです。
袋に入っているワニたち。まずは頭の位置を確認。



そして手を入れてゴニョゴニョっとまさぐりこねくり回します。



出た。


展示している大型個体と比較してみてくださいね。
特徴である細長い鼻先が際立っております。



まだま赤ちゃんだけど小2くらいのパワーはありますよ。
暴れられるとちょっと気持ち悪いです。



昨年産まれなのに全長はすでに1m近くあります。巨大ワニの成長は早いです。



一応雌雄チェックもしますが、このサイズだとまだ断定はできません。



無事に展示場へと収容です。



旧カンボジアモエギハコガメ&トッケイヤモリ展示場にて展示しております。


モエギハコガメ達は現在はセンターラボにて管理しております。
短い展示期間ではございましたが、爬虫類・両生類館ではこういった展示の入れ替えが今後も継続的に行われていきます。

何だかんだで全てピンボケ画像でお伝えしてまいりました今回のブログ。
撮影された画像全てがピンボケという奇跡の事情によりまして、多少お見苦しい点はあったと思いますがご了承願います。
是非美しい実物を観察してみてください。

あくまでも個人的な感想を申し上げますと、幼体のマレーガビアルを見るとなんだかとっても変な気分になります。
普段巨大な個体しか見ていなからだと思いますが、なんだかとても変な気分になるのです。
是非皆様もこの何とも言えない不思議な感覚を体感してみてくださいね。

スペングラーヤマガメの孵化。

以前紹介したスペングラーヤマガメの卵。
http://sapporo.100miles.jp/zoo_honda/article/293
とりあえず一匹目が孵化しております。


http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-630.html

元気なのでひと安心。


お腹はこんな感じ。
ヘソみたいのは卵黄が付いていた場所。すでに吸収されて跡だけ残っていますね。


スペングラーヤマガメは絶滅危惧種であると同時に、日本を代表する希少カメ「リュウキュウヤマガメ」の近縁種でもあります。
そんなこともあって動物園において飼育下繁殖技術を確立させる必要があると強く思っていたのですよ。
ここでの技術の蓄積が将来的にリュウキュウヤマガメに必ず利用できますからね。
いざという時のために近縁種において繁殖技術を身につけておく。大切な事前準備です。


これが世界一素敵なカメ(主観)リュウキュウヤマガメ(ヤンバルにて撮影)

これから餌付けやら何やらで難儀な作業に入っていきますが、順調に成長してくれると良いですね。
飼育が安定するまで時間はかかりますが、来週中にもセンターラボにて公開予定なので、是非育成の様子を観察してみてください。
残りの卵はあと3つ、今年はスペングラー年になりそうです。


給餌ガイドツアー。

爬虫類・両生類の給餌ガイドツアー。




週2~3回金曜を除く平日限定で午後2時30分より行っております。

草食性種が中心の日もあれば



肉食性種中心の日もあり。



皆様いつも真剣に僕の話に耳を傾けてくれます。
まるで瀬戸内寂聴の法話会のようです。
本当に感謝しております。



来園者に溶け込みながらのガイド。
このオーディエンスとの一体感がたまりません。



子供達も真剣に話を聞いてくれます。
まるでお爺ちゃんから戦争の話を聞いているかのような真剣な眼差しです。
いつもご静聴ありがとうございます。



質問コーナーあり、そして小さなサプライズありのガイドツアー。


ツアー時間は約50分。
館内が狭く混み合う事もありますが一時の非日常をご堪能くださいね。
皆様のお越しをお待ちしております。

スペングラーヤマガメ。

世界で2番目に素敵なカメ(主観)、スペングラーヤマガメの産卵が始まっております。


先日もですね、アーノルド坊やは人気者のオープニングテーマを口ずさみながら何気に水槽内の土をまさぐっていたんですよ。
そしたら指先に特有の感触、1卵発見です。



現在3卵を管理中で全て有精卵。
昨年は高温になりすぎて大失敗してますからね、今年は慎重に行ってますよ。



スペングラーヤマガメは中国南部、ベトナムに生息する小型の陸棲カメで絶滅危惧種。
円山動物園ではセンターラボの片隅でひっそりと繁殖に取り組んでいるんですよ。

この真ん丸の眼を見開き鎌首を持ち上げる姿。
そう、これが世界のカメ好き達を魅了して止まないスペングラーの代表的なポージングです。


知れば知るほど誰しもがこのカメの事を大好きになると思います。
では皆様、無事にベビーが誕生しますよう、それぞれ各々の神様に祈っていてくださいね。

pageTop